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触っちゃ、ダメ……♡ でショ……?

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 時間が経つに連れ、私の中でユートの存在が大きくなっていく。以前ユートの存在を友人に分類したが、それはもう正確ではない。

 毎日のように優しく甘い言葉を囁かれ、食事も移動もトイレもお風呂も、どこでも一緒。全てが彼の手によって行われるが、時折戯れのように私自身に世話を行わせ、顔に三日月を三つ貼り付けて眺めている。

 何をするにも彼次第。大事なところも汚いところも全て彼の前では余すことなく晒され、私の頭は段々と正常な判断を行えず、停止していく。あまーい、甘い生クリームを口にしているような。そんな感覚。

 私の世話をしてくれる人。私の全てを晒す人。今の状況に名前をつけようと、答えを出そうとした結果、壊れかけた脳はある答えを導き出す。

――彼は私の大事な人。

 恐怖と閉鎖感はどこかに消え失せ、毎日ずっと一緒にいるユートを大事な、特別な人なのだと錯覚し始める。

 頭のどこかで「この考えはおかしい」と思うのに、状況がそう語っている。だってそうでしょ? 肌を見せるのは自分を受け入れてくれる大切な人にだけ。恋人に対して全てを晒すことをためらう人だっているのに、私はユートに全てを晒している。彼は私の身体に優しく触れてくれる。普通、嫌いな人の汚物なんか触らない。私の全てを受け入れているからこそ、彼は私に尽くしているのだ。

 私の中で答えは出ている。だが、私はそれを否定し、あくまで友情の延長線だと言い聞かせる。これはそう。おそらく私は、彼に『親愛』の情を持ち始めた。そうだ、親愛にちがいない。子が親に抱く安心感のように、飼い猫が主人に向けるようなそんな気持ちに近い。

 一方的に注がれた愛情に溺れない様に、私も彼に尽くさねばならない。与えられたものがどんどん積み重なっていく前に、私も彼に応えなければ。

「ユート」
「なァに? アイちゃん♪」
「いつもありがとう」
「突然どうシたの?」
「ユートにはいつも私のお世話してもらってるから、お礼を伝えたくて」
「えへへ。どういたシまシて♪」

 私の発言に少し驚きつつも照れて笑うユート。そんな彼に私は微笑みかける。

「もっと笑って見せて♪」

 頬に手を添えられ、私は彼と目を合わせて、もう一度微笑む。お返しにと彼は満面の笑顔を私に向けてくれる。

 どうして彼を怖いなど思ったのだろう。どうして逃げたいなどと思ったのだろう。逃げるべきではない、私はここにいたい。甘やかにトロトロに解かされる。ぬるま湯に浸かる心地からは自分の意志では決して抜け出せない。

「ソロソロお風呂の時間だね。先にトイレに行こっか」

 彼は私を抱き上げ、トイレへと向かう。便座の蓋を開け、ゆっくりと私を座らせる。

「ほら足を開いて」

 彼の指示通りに足を広げる。

「おしっこシてイイよ♪」

 彼の許可をもらい、私は放尿を始める。ジョボジョボと便器の水に私の尿が当たる音が響く。彼を好きだと認識した今では、この状況が生理的現象というだけでなく、淫猥な行為だと認識し始めていた。

――でも、どうして? 私は彼に親愛の情を向けているはずなのに、何でこれを淫猥な行為だと思うのだろう……。

 尿を吐き出しながら混乱している私の姿をユートは絶えず眺め、その音を聞いている。それだけで気持ちが良くなり、どうでもよくなってくる。

 ポタッポタッ。

 全ての尿が排出された膀胱は空になり、ユートはトイレットペーパーをまくり始まる。そして私の秘所に紙を添え、前から後ろへと彼の手が動く。

「……んっ♡」

 私の秘裂から透明な液が漏れ出しているのが自分でもわかる。だけど違うのだ。彼はあくまでペットのお世話をしているだけ。これは決していやらしい行為ではない。

 彼が紙から手を離した時に私の愛液が伸びる感覚がする。どうして、と自分の身体に問いたくなるが、それどころではない。私は彼にバレないように両手を伸ばし、「早く抱っこして」とせがむ。彼に抱えられて卑猥な橋が切れたのを見届け、彼に包まれながら浴室へと移動した。

 彼にシャツを一枚脱がされるだけで、私は何も身に着けていない状態になる。下着は捨てられてから履いていない。彼は世話するのに邪魔だと言っていたし、慣れればどうってことない。

――あれ? そう言えば……。

 トランプゲームで彼は下着を用意してくれると言ったのに、まだ用意してもらっていない。でも、今パンツを履いていたら、エッチなお汁でシミを作ってしまうところだった。危ない、危ない。

 彼が服を脱ぐのを待ち、一緒に浴室に入る。浴室のバスチェアは今は二つ用意され、互いの椅子に座り、身体を密着させる。
 
 この距離感が心地いい。背中に彼の胸板が当たるのも、覆われるように私の足に並ぶように伸ばされている足も。私の髪に触れる手も、全て。

 いつも通りに優しく頭が洗われるが、一人発情モードの私はそれだけで胸の先端をちょこんと立ち上がらせ、太ももをモジモジと擦り合わせる。

「アイちゃん? コッチ向いて」
「……」

 様子がいつもと違うのを感じ取ったのだろうか、身体を洗う時はいつも後ろからするのに、ユートは急に自分の方を向くように指示する。一人元気に立ち上がっている乳首が恥ずかしくて、私は両手で隠すようにしてユートの方へ向きを変える。

「どうシて、おっぱい隠してるの?」
「……」

 普段、隠すことなどしなかった私に、彼は当然の疑問を抱く。私は僅かに身体を揺らしながら、「今日は自分で洗いたい」と言うが、許可は下りない。おずおずと手を下ろし、彼の前に立ち上がった先端を晒す。彼は何も気にしていない風で、いつも通りに私の身体を洗っていく。彼は手に付けた泡を身体に広げ、その手の先が私の胸の先端を掠めた時に、身体を捩らせてしまう。

「あぅ♡」

 少し首を傾げたユートがもう一度、さらに二度、指を通過させる。それに反応するように、私はビクビク♡と仰け反るように身体を揺らす。

「アイちゃんどうシたの? 今日は変だね」
「んんっ♡ そんなことっ……、ないよっ♡」

 私は喘ぎ声を漏らしながらも必死にごまかす。そのまま彼の手が下半身までおりて、秘裂へと触れた時、彼は再び疑問を口にした。

「ン? なんかいつもと違う……?」

 彼は執拗に私の股の間で手を往復させ、その手が秘部を擦る度に、私は快感に身を捩らせてしまう。

「ヌルヌルする。……コレ何だろう」
「もうそこはっ……♡ 洗わなくていいからぁっ♡」
「シャワーで洗い流せばいいのかな?」

 彼は右手にノズルを持ち、私の秘部に向けてシャワーを当てる。シャアアアアと心地よい刺激に快感を得る。「あっあっ♡」と声を漏らす私に、彼は秘裂に手を伸ばし、左右に広げていく。閉じていた口が開かれ蕾が露出し、さっきより強い快感を得るがイクには物足りない。

「アレ、全然取れナイ……」

――あぁっ、たまらない♡

 ここでイクような事があれば、これから毎日ここに来る度に、この事を思い出してしまうだろう。それだけは避けたい。私はなんとか理性を取り戻し、この状況から脱しようとユートに声をかける。

「あっ、ダメっ♡ ゆぅとぉ……♡ もうっ」
「ン? この穴かな?」

――だめっ♡♡

 彼の指が私の秘穴に差し込まれようとした時、私はギリギリで彼の手を止める。下のお口は文句を言う様に、愛液をタラタラと流していた。

「はぁ……っ♡ 女の子はっ、ここからヌルヌルしたものが偶に出てくるのっ。んんっ♡ だからっ、気にしないでっ♡」
「そうなの? でも今までこんなことなかったよ?」
「だからぁっ♡ たまにっ♡ まれにッ……♡ 出ちゃうだけだからぁっ……♡ 大丈夫っ」
「フゥン?」

 彼の返事は納得してなさそうだったが、その手を菊門へ、足へと手を移動させる。もう火照り切った身体はどこを触られても、ビクビク♡と反応し、熱い吐息を漏らす。愛液は太ももまで垂れていた。

 ユートはシャワーヘッドを持ち、私を上から洗い流していく。私についた泡を全て洗い落した後、彼は私を湯船に浸からせた。ユートを見ると、彼の下半身は以前と同様に勃ち上がっており、頭がグツグツと茹った私はそこから目が離せない。

――先から、何か出てる……♡

「なんか……アイちゃん見てたら、勃っちゃった……♡ 最近はなんか、結構こういうことがあって……。俺も偶にこうなっちゃうんだ。アイちゃんと似たようなモノかな?」

――違う。あれはあくまで生理的な現象。何も考えちゃダメ♡

「……そうだね」
「なんだかアイちゃんに見られてると凄く恥ずかしいケド、こうして白いの出せば、収まるからっ♡」

 彼は泡を男根に這わせて、ゆっくりとそして徐々にスピードを上げて擦り始める。彼は目を閉じながら、自身の矛を追い立て声を漏らす。彼が見てないことをいいことに、私はその噴射口からいつユートの精液が飛び出すのか気になり、目が離せずに熱い視線を向ける。

 彼が前後に手を動かすたびに、泡の大半は下にボトリと落ちていく。残った泡が丁度その発射口を覆って、私の視線から隠れてしまう。

――見えない……。

 私は己の欲を抑えきれず、左手を伸ばしその泡を払いのけようと人差し指で亀頭に触れる。

「えァッ!? あっ、あっ♡ うあっ♡♡♡」

 ドピュウッ~、ピュルル~。ビュッ、ビュッ♡

 私の手に勢いよく彼の精液が発射される。まるで水鉄砲のようにピュッピュッ♡と飛んで来る白の液体が私の手にぶつかって、腕を伝って床に落ちて排水溝に流れていく。

「っはぁ、はぁ……♡」

 彼は眉を寄せてこちらを見る。息を荒く吐いて、頬が赤くなり、色を感じさせる。

「触っちゃ、ダメ……♡ でショ……?」

 吐息交じりに熱を持った目でこちらを見られ、無意識に蕾に触れていた右手を止める。そこではじめて彼をオカズに自慰をしていたことを自覚し、プシューっと顔から熱を放出していく。

「ごめん……」

 もう何に謝っているのかもわからない。彼の大事な陰部に触れたこと? 彼を見ながら自慰をしていたこと? 一人発情していたこと? 多分その全てに私は頭を下げ、深く、深く反省している。そして、いまだに私の肘からはポタリポタリと白いしずくが落ちていた。


◇◆◇◆


「アイちゃん、アイちゃん」
「何? ユート」
「アイちゃんが来てるオレの服、貸して? 違う服用意するから」
「え、何で?」
「イイから、イイから♪」

 半ば無理やりにベッドの上で服を脱がされ、ワイシャツを羽織らされ、ボタンを丁寧に留められていく。

「コッチの方が好きカモ♪」
「私はTシャツの方がいいんだけど」
「ダーメ♪ オレの服なんだから」

――あのTシャツ、結構気に入っていたのに……。

 ワイシャツはボタンが多くて、わずらわしい。少し不貞腐れた私は、もの言いたげな視線を彼に向ける。

「なァに? アイちゃん。そんな顔シて」
「そう言えば服用意してって言ったよね?」

 ユートは「しまった」と言いたげに目を見開いて、開いた口を手で隠す。

「も、モチロン! 覚えてるよ~」
「本当に?」
「だ、だって中々外出る機会ないシ。アイちゃん、オレがいないと死ンじゃうでショ?」
「そんなことないよ」
「そ、そんなコトより、楽シい話シよ♪ オレ、もう一回、アイちゃんが教えてくれた保健体育の話シてほシーな♪」
「なっ。今日はお喋りじゃなくて、お絵描き! お絵描きしよう! この手帳に、ね? ね?」
「いーよっ♪」

 私は二度と開催したくない講義から逃げ出した結果、絵心のないウサギをユートにやじられた。
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