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オレがカレシ……だよ?

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――またいない……。

 最近、ユートの姿が見えなくなることが増えていた。私はワイシャツ姿でユートを探してまわる。地下一階にはいない。今日もあの場所にいるのだろうか。

 私が階段の奥をぼうっと眺めていると、地下の重い扉が開くような音が聞こえた。私は慌てて部屋に戻り、ベッドの上で横になる。高鳴る心臓を鎮めるように、瞼を閉じ大きく息を吐いて吸う。

 部屋のドアが開く音がして、足音が近づいてくる。しかし、その足音がいつもと違う気がして、私は閉じていた目をそっと開き、顔をその足音の主に向けた。

「誰だ? お前」

 こちらのセリフだった。目の前には恰幅のいい男が私を見下ろしている。私は体を起こし、ズルズルとベッドの端へと移動して、距離を取った。

「ユートの次の餌か? アイツ備蓄とかするタイプだっけ?」

 男はしゃがみ込んで私と目線を合わせ、首をかしげて私を見ている。そして、ふいに布団をめくられた。

――な、なに!?

「え? 拘束してないじゃん……。てか、エッチな恰好してんね!」

 嫌な予感がして逃げ出そうとするが、男が私の両手首を掴む。叫んで抵抗するが、男の力には敵わない。男は私の手を頭上で一つにまとめ、シャツのボタンを片手で器用に外していく。その手が半分ほどボタンを外し終え、胸元が大きく開く。

「いやぁっっ! ユート助けてっ!」

 私は必死で抵抗するが男の手は止まらない。最後のボタンを外し終わった後、私の身体を見て男は感心するような声を漏らす。

「うわぁ……。えっろ……」
「……はなしてっ」
「何このクソエロい下着。最近のガキってこんなの着るの?」

 男は中央の布の切れ目を最大まで開き、私の胸の飾りが男の前に晒される。舐めるような視線で見られ、私は必死で身を捩らせるが、拘束からは抜け出せない。

――やだやだっ!

 男は厭らしい目を私に向け、言った。

「ユートの腹の中に入る前にヤッといた方が、もっと美味くなるんじゃね? 熟すって言うか……。まぁ、よく知らんけど」

 男は私の役に立たない下着から飛び出た胸の先端を右手を使って摘まむ。こんな男の手などで感じたくないのに、普段からユートに触れられていた身体は、僅かな刺激でも身体が大きく反応してしまう。

「んっ……♡ やっ……。ゆーとぉっ……」
「そんな甘い声で呼んだって、どーせアイツに殺されるんだぜ? 死ぬ前に、女の悦びを教えといてやるよ。知らずに死ぬなんて可哀そうだからな」

 いつの間にか背中に回された手によって下着は外され、男は親指と人差し指で乳首を挟みながら、私の乳房を回すように揉みしだいていく。たまらなくはしたない声を漏らす私に気を良くしたのか、彼はご褒美とばかりにその先端をキュッと掴む。

「あぁんっ♡」

 胸に与えられる刺激によって、自然に腰が揺れる。弄られた乳首は真っ赤になっていた。もっと触ってとおねだりしている乳首を無視し、男の手は下半身へと移動し、私の秘裂へと潜り込んでくる。

「ありゃ、思ったより濡れてねえな。ここにローションなんかないだろうし……」

 男は私の口に指を突っ込む。

「んっ! んん~~!」

 男の塩味のある指を咥えさせられ、二本の指に口の中が占領される。その指が私の舌を挟み前に引きずりだすように引っ張るため、舌の裏から唾液が溢れてくる。

「んあっっ。ん~~っっ」

 男は私の舌を開放し、あふれ出た唾液を掬い取り、私の秘部へと塗りつける。少し粘り気を纏った中指は、ズボズボと遠慮なく私の秘穴へと入っていく。

「やぁっ♡ ゆぅ、とっ♡ たしゅ……たしゅけ、あうっ♡」

 私はユートの名前を必死に呼ぶ。ユートが私を閉じ込めた張本人だとしても、今の私が頼れる人は彼しかいない。それに、私の身体を見ていいのはユートだけ。触れてもいいのはユートだけだ。こんな知らない男に触れられたくない! そう思うのに――

「ひゃん♡♡♡」
「ここか?」

 男は私の下の口に差し込んだ指をカクン♡と曲げて、私の反応を探っている。

「ここだな」
「んんっ♡」

 男は私の気持ちの良いところばかり、執拗に弄ってくる。まるで身体の制御ボタンのようで、ボタンを押される度に私の身体はビクンビクン♡と揺れ、下半身は秘穴をきゅっきゅっ♡と締め付ける。

「たまらないだろ?」
「やっ……やぁっ♡ やだ、やだっ♡ ああぁんっ♡」

 いつの間にか指はニ本、三本と増やされ、下の口からはクチュクチュ♡と厭らしい音が絶えず聞こえてくる。

――どうして、こんな知らない男の手でっ……。

 悔しさで唇を噛みしめる。そんな私とは正反対にニヤニヤと笑っている男は、袖を通しているだけのユートのシャツを脱がせ、自分の一物を取り出す。

 ユートとは違ってどす黒く、離れていても雄臭さが鼻まで届いてくる。生ものの様な、イカ臭さに顔を歪める。そんな私の反応を楽しむかのように男は笑い、私に語りかける。

「これからお前の中に入って、よがり狂わせる俺の分身だ。キスして挨拶し――」

 ヒュン。ドォン。

 私の髪の毛は一陣の風に吹かれ、横に靡く。男が言い終わるよりも先に、急に現れた足が男の顔に引っ掛かるようにして、男の身体をなぎ倒したのだ。

「オイ、ボル……。アイちゃんに、何シてんの……?」
「……うぇ……っ。くっそ、お前、本気で……蹴りやがった、な!?」

――ユートっ!

 突然現れた見知ったホワイトアッシュを見て、胸が大きくときめく。ユートが私を助けに来てくれたのだ。今、彼は間違いなく、私のヒーロー!

 ボルと呼ばれた男は首を押えて、口から血を吐き出す。彼の勃ちあがっていた陰茎は痛みに萎えたのか、悲し気に下を向いていた。

「ったく何だよ……。ちょっとつまみ食いしようとしただけじゃねーか」
「つまみ食い? 横取りシに来たの?」
「そう言う意味じゃねーよ。どーせ、殺すんだろ? ならその前にヤルくらい別にいいだろが」
「ヤル?」
「セックスだよセックス。死ぬ前に大人の遊びを教えてやろうとしたんだよ。イイだろ別に!」
「セックス……? ボルが? それに、アイちゃんは殺さないシ、オレらより大人だよ?」
「はぁ!? んなわけ……ない。……ない、よな……? はぁ、マジ頭いてーし、クソ萎えた」

 男が自身の分身をしまい始めたのを見て、ユートは私に目線を合わせるように腰を下ろす。

「アイちゃん、大丈夫? アイツ殺シてほしイ?」

 彼の顔を見て、声を聞いて、心から安心する。しかし、ホッとしたのも束の間、ユートの後ろにボルと呼ばれた男が椅子を振り上げ――

「ユート!あぶな――」

 ゴンッ!

 鈍い大きな音がなり、頭を打ち付けられたユートは私の方に倒れる。

「キャアアアアア」

 私は悲鳴を上げてパニックになる。頭を殴られ、血を流すユートが私の膝の上で動かない。

――どうしよう、どうしようっ!?

「お返しだ、ユート。テメェが死んどけっつーのっ。ったく、顎がおかしーなコレ。ッチ」

 男は椅子を投げ捨て、部屋から出ていく。私は動かなくなったユートの身体を揺らす。

「ユートっ! ユート!っ」

 反応がないユートの頭を恐る恐る持ち上げる。頭から血がタラリと零れ落ちて、血が顔面を真っ赤に染めあげている。私はヒィッと悲鳴を上げて、思わず彼の頭から手を離してしまう。再び彼は私の膝の間に顔を埋めたが、どうやらその衝撃で気が付いたようだ。

「アイちゃん……?」
「ゆ、ユート、大丈夫!? 頭から凄く血が出てるよ!?」
「ねェ……。アイちゃん。アイツとセックス、……シたの?」
「そんなことより、は、早く止血しないと」

 立ち上がろうとした私の身体を抑え込むように、彼は私をベッドに倒す。ポタリポタリと私の胸元に彼の血が落ちていく。

「ユート! 血が、血が! 早く止めなきゃ、死んじゃう!」
「ねェ、アイちゃん。セックスって、彼氏と彼女がするンでショ……? ボルは彼氏じゃないよね? 彼氏はオレでショ? アイちゃん」
「な、」

 何を言っているんだ。こんな状況で。ユートは頭を強く打って、引くくらい血が出ているのに、その口からは『彼氏』、『セックス』としか言わない。この状況でのユートの発言に、混乱してしまう。

「オレがカレシ……だよね?」

 ユートは私の肩をベッドに押しつけたまま、自分のズボンをずらし、自身の男根を取り出す。風呂場で見た時と同様に、それは反り上がっていた。

「ユート! やだ、何してるのっ!?」

 彼は私の声が聞こえていないのか、私の膝を裏から掴み、秘部を覗き込む。秘部を片手でわさわさと探られ、彼は秘穴へとゆっくりと指を入れていく。

「ココだよね? アイちゃんが教えてくれた膣って。女の子しかない秘密の穴」
「それは……っ」

 彼は以前私が一度だけ行った講義の内容を復習する様に、熱心に私の身体を観察している。

 指をさらにもう一本追加して、クチュッと音を立て秘穴を上下に広げる。外気に晒された穴はヒクヒク♡と息を吐いている。

「んんっ……やぁっ♡ やめてっ、ゆぅと!  て、てあてっ……、しないとっ……」
「お風呂で洗った時みたいにヌルヌルシてるね……。ココから出てたンだ」

 彼は穴から愛液を掻き出すように手を動かし、グチュグチュ♡と水音を鳴らす。

「ココにオレのを、入れればイイんだよね?」
「だめ、ゆ、……とっ」
「アイちゃんが、オレに教えてくれたンだよ?」
「だめっ……だって、ば」

 彼は先端を私の秘穴へとあてがう。

――まさか、本当にするつもりなの!?

 嫌がる私の意思には反して、下のお口はヒクヒクと口を開いてユートを迎え入れる準備ができている。それに応えるようにユートは自らの矛をズブズブと侵入させた。

――あぁっ、そんな。やめてっ。こんな状況でしたくない!

 ユートの亀頭が私の中をゴリゴリと掘削していくが、ある地点でつっかえて止まってしまう。これ以上は無理だ。

「ゆぅ……、まって……っ」

 はふはふと息を漏らしながら制止する私に、ユートは容赦なくその掘削棒を突き上げた。

――痛いっ!

 膣が悲鳴を上げて引き裂かれているのが分かる。ミチミチと膜が破れるような、裂けるような感覚を味わいながら、「痛いやめて」と私は叫ぶ。それでも止まらないユートは、暴れる私を押し潰して、私の中に全てを収め切った。

「……っ」

 痛くて痛くてたまらない。彼は私の中に自身の陰茎を入れたまま動いてはいないが、私の膣はジンジンと痛みが広がっている。

「はぁ……はぁ……」

 ユートも苦しかったのか、私と同様に息を荒くしている。だが、回復するのはユートの方が早かったようで――


「あっ、あっ、あっ」

 私の身体はピクピクと痙攣して、自らの意志では全く動かせない。口は開いて涎が垂れ、目はぐるりと上を向いている。そんな私に気遣うこともなく、ユートは容赦ない抽送をお見舞いする。

「アイちゃ……♡ アイちゃっ♡」

 暫く彼に身体を揺らされ続けたおかげで、飛びかけていた意識が段々と戻ってくる。

「ゆぅ。 あっ……。待っ……。いたっ……い」
「アイちゃんはッ♡ はっはっ♡ オレの♡ オレの、彼女っ♡ かの、じょっ♡」

 ユートの獣のような動きに、私は苦痛を強いられていた。私の意思を無視して、彼は自分の欲を満たすためだけに腰を振る。

 ユートの事は嫌いではないし、むしろ、最近は好意的に見ていた。

――でもこんな扱いあんまりだ。

 どこが彼女だというのか。まるで男の欲望をぶつけるだけの玩具。オナホのような扱いをされ、私は悲しくなる。そんな扱いをする相手など仮にも彼氏とは呼べない。

 下半身からジンジンとした痛みを感じる。下半身から感じるているヌメリはおそらく愛液だけではないだろう。彼が私に自身の分身を突き上げるたびに、彼の頭からこぼれた血が私の身体にポタポタと落ちていく。

 彼は自分の怪我も、こぼれ落ちる血も無視して、欲望を貪る。

――もう嫌……。早く解放して欲しい……。

 痛みで苦しい私とは異なり、ユートは一人高みへと上っていく。

「あ、あっ……♡ アイちゃ、でるっ♡」

 彼の熱が私の中で放出され、ドクドクと液体が注がれる。彼の顔を見ると幸せそうな、満足そうな顔をしていた。自身の欲を出しきった後、彼は力なく私の胸へと倒れていく。

「アイちゃん……♡」

 彼は頭から血を垂れ流しながら、幸せそうな顔をする。散々その傷を心配したのに、今はこのまま大量出血で苦しんでくれとさえ思ってしまう。私の願いが通じたのか、彼にもう一度目を向けると、彼は意識を失っていた。

 私の純潔は目の前の男に無残に散らされた。私の下半身は未だジンジンと痛み、ユートの体重で動かない身体をそのままに。彼が二度と目を覚まさないよう願いながら目を閉じた。



◇◆◇◆



 目を覚ました時には彼の血は完全に固まって止まっており、彼はピンピンとしていた。私はというと体中が痛かった。

「アイちゃん……?」
「……」

 私は心に決めていた。彼から謝ってもらうまで、無視を決め込むと。ご飯の時も、トイレの時も、お風呂の時も、どこでも。

 さすがにいつもと違う雰囲気を悟ったのか、ユートは怒っている私に手を出してくることはない。でも「アイちゃん」と何度も呼んでくる彼を無視し続けるのは、私にも中々のダメージがあった。

 一度も口を開くことなく、一日を終えようとしていると、ユートが叱られた子供のような様子で話しかけてくる。

「アイちゃん……。……怒ってるの?」
「……」

――もちろん、怒っている。

 彼を一瞥して、すぐに視線を逸らす。

「オレが彼氏、嫌なの……?」

 ユートはウルウルとした、まるで捨てられた仔犬のような目で、私を見ている。

「オレ……、オレの事、キライ……?」

――~~っ!

「そうじゃないってば!」

 私は彼の今にも泣き出してしまいそうな顔に、つい返事をしてしまう。

――あぁ……。ここまで頑張ったのに……。

 彼は俯いていた顔をパッと上げ、肩を掴んでくる。

「よかったァ……。え、じゃあ、オレが彼氏なの嫌なの!?」
「……。私、怒ってるの」
「え……」

 そう、私は怒っているのだ。

「昨日、ユートが頭から血を出して死んじゃうかと思って、すごく怖かった。だからすぐに手当したかったし、普通そうするはずだよ」
「オレ、そんなに弱くないよ! 殴られても蹴られても、血がいっぱい流れても死ななかったもン!」
「ユートが強いとか弱いとか、そういうことじゃないよ! いくら丈夫でも頭から血が流れるとか絶対やばいし、ユート暴走しちゃうし……。痛くて止めてほしかったのに全然聞いてくれなかったし……」

 私の言葉を聞いて、ユートは驚いたような表情を見せる。

「アイちゃん、痛かったの……?」
「うん……。すごく」

 ユートの顔はみるみるうちに、悲しげな子犬へと変貌する。

「ゴメンね、アイちゃん……。オレ、気持ちよかったカラ、きっとアイちゃんもそうだと思って……。ゴメンナサイ」
「……」

 正直、これで許すなんて、自分でも甘いなと思う。しかし、彼は私の望む言葉を言ってくれた。これで許さないなどとは言えるわけがない。

「……もう、いいよ。謝ってくれたし」
「アイちゃんッ」

 ユートにきつく抱きしめられる。私も彼の背に手をまわす。私の肩に埋めた彼は、少しこもった声で私に問う。

「オレがアイちゃんの彼氏でイイ?」
「……それはどうかな?」

 彼はバッと顔を開けて、バカでかい声で「えェ!?」と言う。耳元で叫ばれて鼓膜が破れそうだったけど、彼のマヌケ面に免じて許してあげる。

「えェ!? じゃあ、アイちゃんとセックスできナイの!?」
「おやすみ、ユート」
「アイちゃん!?」

 私はユートに揺らされながらも目を閉じる。悲痛な叫び声が聞こえるが、目を開いてあげない。許してあげるけど、反省はして欲しい。私は騒がしい子守唄を聞きながら、笑顔で眠りについた。


◇◆◇◆
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