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第二章 青の彼方
9.ことほぎの契り
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翌日、白月家には霧島颯吾が従者を伴って訪問していた。
彼は悠然とした態度で、座布団に腰を下ろす。
颯吾の前には武雄が座っており、芙美子と玲華も同席していた。玲華は、大輪の牡丹や菊が描かれた真紅の着物に身を包み、金銀の簪を結い上げた髪に挿し、喜色満面だ。
「霧島様、わざわざお越しいただきありがとうございます」
白月は微笑を浮かべているが、その瞳はどこか空々しい。
「昨日の妖退治、素晴らしい腕前だったと玲華より伺っております」
武雄は娘を建てるように言葉を添えた。
「ええ。玲華殿の助力があってこそです」
颯吾は、ゆっくりと一礼しながらも、冷静な瞳で主を見返しす。
「まあ。嬉しいですわ」
着物の袖で口元を隠し、玲華がにっこりと目を細める。
「やはり、霧島家には『結びの力』が必要です。ぜひ麗華殿を私の妻に迎えさせていただけませんか。我が家との縁があれば、白月家も帝都で一目置かれるようになるかと――」
颯吾はそこで言葉を切った。白月が、忍び笑いを漏らしたからだ。
「何かおかしなことでも?」
颯吾の眉がわずかに吊り上がる。
「失礼。だがそれは、私どもの台詞ですよ、霧島様」
武雄は、声を低くし、隠しきれない得意顔を浮かべた。
「御三家、いや帝都すら支配する力を……我が家は手に入れたのです」
「それは、どういう意味ですか?」
颯吾の瞳が一瞬にして警戒心を強める。
「実は……我が家は『禍ツ神』を完全に管理下に置くことに成功したのです。命じれば、天をも操れますぞ」
「神を管理下に置くなど、聞いたことが……」
「信じられませんかな? では、今から見せましょう、神の力を――」
白月が、にやりと笑った時、何かが弾けたような空気の振動が、家全体を揺らした。昨夜の山崩れとも違う。
「まさか、今のが――」
颯吾が大きく目を見開いて、音のした方を振り返った。
「いや、こ、これは、結界が――!?」
武雄は舌打ちをして、勢いよく立ち上がった。
その、少し前のこと――。
「ここを出たくはないか、真桜?」
暁翔の灰青色の瞳が、真桜をまっすぐに見つめた。
彼の半身は、いまだに呪詛で爛れたままだ。
「出たいです……が、母の無事を確認するまでは……」
彼女は静かに目を伏せた。濡れたような長い睫毛が濃い影を落とす。
「あの男の言葉には嘘の臭いが感じられた。謝礼など届いていないのではないか?」
「え?」
真桜は彼の言葉に弾かれるように顔を上げた。
「真実を知りたくないか?そのためには今すぐここを出る必要がある」
暁翔は一歩踏み出し、真桜の震える肩にそっと手を置く。
「この結界を破るくらいは造作もない。だが、俺は今、禍ツ神だ。怨嗟と穢れを纏った身のまま外へ出ればたちまち周りに厄災を呼び込む」
暁翔は言葉を選ぶようにゆっくりと話す。
「では……無理ですよね……?」
真桜は戸惑いながら暁翔を見上げた。
「いや、瞬間的に強い浄化の力を生む方法が一つだけある。完全な浄化は無理でも、大部分の穢れを落とせるはずだ。それには、真桜の協力が必要なのだ」
暁翔は真剣な眼差しを彼女に向ける。
「私にできることなら、なんでもいたします」
「では――俺の半身となれ」
「半身……?」
「俺と契約を交わし、花縁となるのだ」
暁翔が冗談を言っているようには見えなかった。
「暁翔様の、はな、よめ……? 神の花嫁など……畏れ多いことにございます」
真桜は大きく目を見開く。
「畏まることはない。ただし俺と結ばれれば、おまえは俺の半身に、おまえの半身も俺のものになる。常人には戻れない、それが神の花嫁となる、ということだ」
暁翔は真剣な表情を崩さず、真桜の答えを待っていた。
(私が……神の花嫁?)
しかし方法はこれ一つしかないという。この機を逃せば、一生白月家の奴隷として鎖につながれたまま生きていくことになるかもしれない。
「わかりました」
真桜は凛とした声で答え覚悟を決めた目で彼を見つめた。
「では、俺の手を取れ」
暁翔が差し出した掌に、真桜はそっと自分の手を重ねる。
「我が命、我が力、全てを汝に捧げん。此の縁を結ぶこと、我が意志の全てなり」
彼の口から紡がれる古の言霊が、真桜の体を巡り、鼓動を震わせた。
「この神なる力を汝と共に、此の世のすべてを超えて繋がることを願い、永遠の誓約を為す」
重ね合わせた互いの左手の薬指から、するりと光る糸が伸びてくる。真桜からは輝く紅の糸、そして暁翔からは漆黒に染まった糸が、絡み合い、するすると音もなく結ばれていく。
「我が半身は汝のもの、汝の半身は我がもの。此の契りを決して解くことなく、時を越え、空を越え、共に歩まんことを」
糸が固く結ばれた途端に、部屋に張り巡らされていた赤黒い結界が白く輝き、一点を境に桜吹雪に変化していく。どんと大きく揺れたかと思うと、川の流れのように、ざあっと勢いよく無数の花弁に姿を変えていく結界を見ながら、真桜はその美しさに胸を打たれた。
「この縁を、運命を信じ、あなたの半身となり、共に生きていくことを誓います――永遠に」
真桜が応えると、吹き荒れる桜吹雪は二人を包み込み、その刹那、部屋の壁が一瞬で花弁に変化し、青空に舞い上がっていった。
綺麗だ、と思う間もなく、背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
「な、なんだ、これは!? 勝手な真似をするな!」
轟音を聞きつけて駆け込んできた武雄が顔を真っ赤にしている。
その後ろには玲華と、なぜか昨夜一緒だった颯吾の姿もあったが、彼らは一様に目の前の光景に言葉を失っていた。
「真桜。俺の方だけ見ていろ」
暁翔の言葉に、再び彼の方に向き直る。
「ことほぎの祝福を以て、縁を固める」
暁翔が最後の言霊を紡ぐと、渦巻く花弁がすべて空に吸い込まれていった。
眩しさに、真桜は思わず目をつぶる。
「は? だ、誰よ……その男?」
玲華が震える指先をこちらに向けてきた。
「え?」
暁翔の方を見ようと下に目線を向けた真桜は、ゆっくりと顔を上げなければならなかった。
暁翔の長い髪は白銀に染まり、揺れる度に星屑が零れ落ちるかのように輝きを放っていた。その肌は雪のように透き通り、瞳には深い夜空を映すような紺青の光が宿る。
爛れの消えた美しいかんばせの額には、朱色で描かれた紋様が現れ、そこから放たれる微かな光が、彼の威厳をさらに際立たせていた。
純白の羽織に、金糸で刺繍された桜の花があしらわれ、その裾が風に揺れる。
まるで、世界が新たな秩序を迎えたかのように思えた。
「真桜……俺の花縁。もう、ここに留まる必要はない」
暁翔は、落ち着いた様子で真桜の手を引いた。
さきほどまで十にも満たない幼子だった彼は、今や真桜よりも頭一つ以上も背の高い青年の姿をしている。
(神々しい……なんて言葉じゃ足りないくらい、こんな美しい方、見たことがないわ)
真桜は戸惑いながらも、彼の方に身を寄せた。
「待て、真桜! お前は白月家の道具として生きる宿命だ。勝手なことは許さんぞ!」
父がハッとしたように掌を翳し、真桜たちに向かって結びの力で拘束しようとしてきた。だが、暁翔が一瞥しただけで、その糸が霞のように風に消えていく。
「道具? 笑わせるな。真桜の人生は貴様らの所有物ではない」
暁翔の声が響くと、邸全体が畏怖にひれ伏すような重圧に包まれた。
「あれが……『禍ツ神』?」
喚き散らす父と玲華の後ろで、颯吾が興味深そうにその光景を見届けている。
「そんな美しい神だなんて……私に隠していたの、ずるいわ!」
玲華は嫉妬にまみれた醜悪な表情で叫んだ。
「真桜! その禍ツ神を私に寄越しなさい! ねえ、私たちは姉妹でしょう? 姉の言うことは聞くものよ!」
玲華は金切り声で叫び、こちらへ駆け出してくる。
だが次の瞬間、暁翔は真桜を横抱きにさらい、ふわりと浮き上がった。
「二度と真桜に触れさせるものか」
掴もうとする玲華の手を軽くいなし、暁翔はそのまま空高く昇っていく。
どこまでも、高く、青の彼方を目指して。
「どこへ?」
「幽世だ。妖たちが住まう世界」
暁翔が手をひと振りすると、空が裂け、そこから光が溢れだした。
ためらいなく、空の裂け目に飛び込んだ暁翔にしがみついた真桜の耳元で、彼が囁く。
「ようこそ幽世へ。ここが神と妖の世界――天渓谷だ」
彼は悠然とした態度で、座布団に腰を下ろす。
颯吾の前には武雄が座っており、芙美子と玲華も同席していた。玲華は、大輪の牡丹や菊が描かれた真紅の着物に身を包み、金銀の簪を結い上げた髪に挿し、喜色満面だ。
「霧島様、わざわざお越しいただきありがとうございます」
白月は微笑を浮かべているが、その瞳はどこか空々しい。
「昨日の妖退治、素晴らしい腕前だったと玲華より伺っております」
武雄は娘を建てるように言葉を添えた。
「ええ。玲華殿の助力があってこそです」
颯吾は、ゆっくりと一礼しながらも、冷静な瞳で主を見返しす。
「まあ。嬉しいですわ」
着物の袖で口元を隠し、玲華がにっこりと目を細める。
「やはり、霧島家には『結びの力』が必要です。ぜひ麗華殿を私の妻に迎えさせていただけませんか。我が家との縁があれば、白月家も帝都で一目置かれるようになるかと――」
颯吾はそこで言葉を切った。白月が、忍び笑いを漏らしたからだ。
「何かおかしなことでも?」
颯吾の眉がわずかに吊り上がる。
「失礼。だがそれは、私どもの台詞ですよ、霧島様」
武雄は、声を低くし、隠しきれない得意顔を浮かべた。
「御三家、いや帝都すら支配する力を……我が家は手に入れたのです」
「それは、どういう意味ですか?」
颯吾の瞳が一瞬にして警戒心を強める。
「実は……我が家は『禍ツ神』を完全に管理下に置くことに成功したのです。命じれば、天をも操れますぞ」
「神を管理下に置くなど、聞いたことが……」
「信じられませんかな? では、今から見せましょう、神の力を――」
白月が、にやりと笑った時、何かが弾けたような空気の振動が、家全体を揺らした。昨夜の山崩れとも違う。
「まさか、今のが――」
颯吾が大きく目を見開いて、音のした方を振り返った。
「いや、こ、これは、結界が――!?」
武雄は舌打ちをして、勢いよく立ち上がった。
その、少し前のこと――。
「ここを出たくはないか、真桜?」
暁翔の灰青色の瞳が、真桜をまっすぐに見つめた。
彼の半身は、いまだに呪詛で爛れたままだ。
「出たいです……が、母の無事を確認するまでは……」
彼女は静かに目を伏せた。濡れたような長い睫毛が濃い影を落とす。
「あの男の言葉には嘘の臭いが感じられた。謝礼など届いていないのではないか?」
「え?」
真桜は彼の言葉に弾かれるように顔を上げた。
「真実を知りたくないか?そのためには今すぐここを出る必要がある」
暁翔は一歩踏み出し、真桜の震える肩にそっと手を置く。
「この結界を破るくらいは造作もない。だが、俺は今、禍ツ神だ。怨嗟と穢れを纏った身のまま外へ出ればたちまち周りに厄災を呼び込む」
暁翔は言葉を選ぶようにゆっくりと話す。
「では……無理ですよね……?」
真桜は戸惑いながら暁翔を見上げた。
「いや、瞬間的に強い浄化の力を生む方法が一つだけある。完全な浄化は無理でも、大部分の穢れを落とせるはずだ。それには、真桜の協力が必要なのだ」
暁翔は真剣な眼差しを彼女に向ける。
「私にできることなら、なんでもいたします」
「では――俺の半身となれ」
「半身……?」
「俺と契約を交わし、花縁となるのだ」
暁翔が冗談を言っているようには見えなかった。
「暁翔様の、はな、よめ……? 神の花嫁など……畏れ多いことにございます」
真桜は大きく目を見開く。
「畏まることはない。ただし俺と結ばれれば、おまえは俺の半身に、おまえの半身も俺のものになる。常人には戻れない、それが神の花嫁となる、ということだ」
暁翔は真剣な表情を崩さず、真桜の答えを待っていた。
(私が……神の花嫁?)
しかし方法はこれ一つしかないという。この機を逃せば、一生白月家の奴隷として鎖につながれたまま生きていくことになるかもしれない。
「わかりました」
真桜は凛とした声で答え覚悟を決めた目で彼を見つめた。
「では、俺の手を取れ」
暁翔が差し出した掌に、真桜はそっと自分の手を重ねる。
「我が命、我が力、全てを汝に捧げん。此の縁を結ぶこと、我が意志の全てなり」
彼の口から紡がれる古の言霊が、真桜の体を巡り、鼓動を震わせた。
「この神なる力を汝と共に、此の世のすべてを超えて繋がることを願い、永遠の誓約を為す」
重ね合わせた互いの左手の薬指から、するりと光る糸が伸びてくる。真桜からは輝く紅の糸、そして暁翔からは漆黒に染まった糸が、絡み合い、するすると音もなく結ばれていく。
「我が半身は汝のもの、汝の半身は我がもの。此の契りを決して解くことなく、時を越え、空を越え、共に歩まんことを」
糸が固く結ばれた途端に、部屋に張り巡らされていた赤黒い結界が白く輝き、一点を境に桜吹雪に変化していく。どんと大きく揺れたかと思うと、川の流れのように、ざあっと勢いよく無数の花弁に姿を変えていく結界を見ながら、真桜はその美しさに胸を打たれた。
「この縁を、運命を信じ、あなたの半身となり、共に生きていくことを誓います――永遠に」
真桜が応えると、吹き荒れる桜吹雪は二人を包み込み、その刹那、部屋の壁が一瞬で花弁に変化し、青空に舞い上がっていった。
綺麗だ、と思う間もなく、背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
「な、なんだ、これは!? 勝手な真似をするな!」
轟音を聞きつけて駆け込んできた武雄が顔を真っ赤にしている。
その後ろには玲華と、なぜか昨夜一緒だった颯吾の姿もあったが、彼らは一様に目の前の光景に言葉を失っていた。
「真桜。俺の方だけ見ていろ」
暁翔の言葉に、再び彼の方に向き直る。
「ことほぎの祝福を以て、縁を固める」
暁翔が最後の言霊を紡ぐと、渦巻く花弁がすべて空に吸い込まれていった。
眩しさに、真桜は思わず目をつぶる。
「は? だ、誰よ……その男?」
玲華が震える指先をこちらに向けてきた。
「え?」
暁翔の方を見ようと下に目線を向けた真桜は、ゆっくりと顔を上げなければならなかった。
暁翔の長い髪は白銀に染まり、揺れる度に星屑が零れ落ちるかのように輝きを放っていた。その肌は雪のように透き通り、瞳には深い夜空を映すような紺青の光が宿る。
爛れの消えた美しいかんばせの額には、朱色で描かれた紋様が現れ、そこから放たれる微かな光が、彼の威厳をさらに際立たせていた。
純白の羽織に、金糸で刺繍された桜の花があしらわれ、その裾が風に揺れる。
まるで、世界が新たな秩序を迎えたかのように思えた。
「真桜……俺の花縁。もう、ここに留まる必要はない」
暁翔は、落ち着いた様子で真桜の手を引いた。
さきほどまで十にも満たない幼子だった彼は、今や真桜よりも頭一つ以上も背の高い青年の姿をしている。
(神々しい……なんて言葉じゃ足りないくらい、こんな美しい方、見たことがないわ)
真桜は戸惑いながらも、彼の方に身を寄せた。
「待て、真桜! お前は白月家の道具として生きる宿命だ。勝手なことは許さんぞ!」
父がハッとしたように掌を翳し、真桜たちに向かって結びの力で拘束しようとしてきた。だが、暁翔が一瞥しただけで、その糸が霞のように風に消えていく。
「道具? 笑わせるな。真桜の人生は貴様らの所有物ではない」
暁翔の声が響くと、邸全体が畏怖にひれ伏すような重圧に包まれた。
「あれが……『禍ツ神』?」
喚き散らす父と玲華の後ろで、颯吾が興味深そうにその光景を見届けている。
「そんな美しい神だなんて……私に隠していたの、ずるいわ!」
玲華は嫉妬にまみれた醜悪な表情で叫んだ。
「真桜! その禍ツ神を私に寄越しなさい! ねえ、私たちは姉妹でしょう? 姉の言うことは聞くものよ!」
玲華は金切り声で叫び、こちらへ駆け出してくる。
だが次の瞬間、暁翔は真桜を横抱きにさらい、ふわりと浮き上がった。
「二度と真桜に触れさせるものか」
掴もうとする玲華の手を軽くいなし、暁翔はそのまま空高く昇っていく。
どこまでも、高く、青の彼方を目指して。
「どこへ?」
「幽世だ。妖たちが住まう世界」
暁翔が手をひと振りすると、空が裂け、そこから光が溢れだした。
ためらいなく、空の裂け目に飛び込んだ暁翔にしがみついた真桜の耳元で、彼が囁く。
「ようこそ幽世へ。ここが神と妖の世界――天渓谷だ」
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