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59招待
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翌日、いつも以上に、構えて教室に入った。
私の机の周りには集りはない…
「あれっ?」
思わず声が出たが、机はいつも通りだった。今日はゴミが机の上に撒かれているんじゃないかと思って、屋敷から雑巾を持ってきていたんだけど、何もなかった。気合いを入れた分恥ずかしくて、紙袋の中の雑巾を、鞄の中に詰める。
「痛ッ」
慌てて詰めて鞄の金具に手の甲を引っ掻けてしまい、血が滲んだ。
席に着くと、キアヌス先生が入ってきて、
「残念なお知らせがあります。レイアさんが、本日見回り中の警備員に捕まりました。このクラスにイタズラをしようとしたそうです…非常に残念です。皆さんクラスメイトなんですから仲良くしましょう」
レイアさんってサクラさんと一緒にいた私が身分で落とし靴の姫君に選ばれたって言いがかりを言っていた子だわ。
キアヌス先生がいなくなるとすぐにサクラさんが、私の所に来た。
「ティアラ様、酷いわよね、レイアさん。ずっとティアラ様が侯爵家だということを羨んで、ご自分は男爵家でしょう、ひどい妬みからくる嫌がらせだったのよ」
と言う。
「一昨日の机の上にあった水と昨日の土の件ですか?」
と聞くと、
「えぇ、嫌よね、きっと僻みよ。ねぇ皆さん~?仲良くしていたのに、私達のことも心の中じゃどんな風に思っていたのかわからないわね~。そんな事する方だったなんて知っていたら、私が止めるように説得したわ。本当に私達も騙されたわね~?」
と言えば、顔色の悪いクラスメイト達。ミンネも顔色が悪い。
ただみんなコクリと頷く。
サクラさんに何かされているんだろうか?今日、魔法具を持ってきている?
どうにか調べられればいいのに、休み時間ごとに私の目の前に現れるサクラさん。ずっと私の顔を見て、私の話すことを聞いている。もしかして今、何かやっているんだろうか?
でも私には何か命令的なもの、操られるような意識は感じない…
どういうことだろう。
カミューラ様の言った体調が悪くなるような異変を感じない。
授業中、一人になるチャンスは、ここしかない。
「先生、お手洗いに行ってもいいですか?」
恥ずかしい~
めちゃくちゃなんか恥ずかしい。
「体調が悪いんじゃなくて?」
と先生に聞かれると
「違います、お手洗いに行きたいだけです」
と告げた。
教室内が笑う扉から出る時に、一人だけ笑っていなかったのを見た。
怖い、能面みたいな顔で私を見ている。
急いで廊下を歩く。必要なことは紙に書いた。これを生徒会の方かブランカ先輩に届ければ、どうにか探ってくれるかもしれない。
「待って~ティアラ様。私もお手洗いに行きたくて~」
と息を弾ませ走ってきた。
ハァ~、これは駄目だ。
「あら、サクラさんもですか。先程の休み時間にお手洗い行けばよかったですよね」
と笑って迎え入れる。内心ここで何かやられたらどうしようと恐怖心を抑えながら。
二人、並びながら歩く。
「ねぇティアラ様、なんかおかしいって感じたことない?」
と聞かれた。
「おかしいですか?ないですね?」
と言えば、
「クッキー食べてくれなかったのね?」
と聞かれ、ドキッとしたが、シルベルト様からまだあれに何が入っていたか聞いてない。
「家で食べようと思ったら弟に取られちゃったんですよ。ごめんなさい」
と言えば、
「仕方ないですね…明日私、この学園のサロンで茶会を開くんです。是非きてくださいね。全員参加なんですよ」
「あら、お手洗い着いてますよ。早く入りましょう」
と言えば、
「来てくださいね」
と私が入ろうとしているのに、制服を引っ張って止める。
凄い力だ。
「えぇ、明日、予定がなければ参加します」
と言えば
「ふ~ん、やっぱり返答が違うわ。何も感じないんだ。なんでなのかしら?気味悪い子…
まぁその他だとそういうものなのかしら?でも、変よね」
と私に何かを返事を求めてきたが、
「サクラさんの話していることがわかりません」
と言うと、ニヤリと笑って、
「まぁ、いいわ。駄目な子にいくら言っても駄目だし。私もそんな悠長に構えてられないの。でも、参加した方がいいと思いますよ」
と意味深に笑ってお手洗いには入らず、また廊下を歩いて行ってしまった。
教室に戻れば、サクラさんは今日は調子が悪いと言って早退したと聞いた。ミンネからもお茶会の件を言われた。
「ティア、参加して欲しいのだけど」
「どうして、ミンネが?」
「うるさいのよね。親睦がとかクラスに溶け込めていないんじゃないかとか…家にまで相談って言って着いてくるの…最近は断っているんだけど、先回りみたいに現れたり、ちょっとした恐怖よ」
「確かにそれは恐怖ね。でもお茶会の返事は待ってね」
と一応詫びるポーズをとる。
「わかったわ、でも今日、父様が王宮の方から例の件参加案内を貰えるみたいで楽しみなの」
とミンネの目が爛爛と輝いている。
それでこそミンネだわ。
まずブランカ先輩に連絡をした。
「私は、参加しない方がいいと思うわ…生徒会の皆さんにも聞いた方が良いのではないかしら?」
と言われ、誰に見られるかもわからないので本当は、生徒会室には行きたくなかったが、一人で判断出来なかった。
なんとなくサクラさんの言動は、まるで何かしますと宣言をしているみたいだから。
生徒会室で説明すると、シルベルト様が、
「個人的には危険だと目に見えてわかる行為は、やめた方が良いと思う。あのクッキーに仕込まれていたのは誘引薬…無理矢理情報を引き出す時に使う薬だ、目の前の相手に逆らえなくするな…お茶会でもそれを使う気なんじゃないか?」
と言われた。
私から情報を?
何が聞きたいというの?
「私は、そのお茶会、クラスメイトが人質になっているぞと脅しにも取れるな」
とクラード殿下が生徒会長の席で執務をやりながら、言われた。
「人質と言われましても…私に何ができるというんですか?」
「そうだなぁ、ティアラ嬢が出来ないなら、そのお茶会をめちゃくちゃにしてくれそうな人に頼めば良いんじゃないか」
とクラード殿下は私を煽るように言った。
「あっ!イリーネ様達」
と言えば、
「多分何かが違うとかは間違いなく、相手にわかっている。その原因としてティアラ嬢に目をつけている。そして聞き出したいのでないか?不安要素なんだよ、ティアラ嬢は」
と執務をしながら言う。
シルベルト様が、
「確かに、あえて来た方が良いと挑発的でいつも避けているティアラ嬢への脅し。邪魔者の乱入で予定は狂うだろうし。サクラ嬢は、誰かを淫魔として暴いて聖女になりたい。どうやって淫魔に仕立てるつもりなんだ?」
「クラスメイトの一人が、今日、警備員に捕まりました。被害は増えていくような気がします。どうにかお茶会の壊し役をイリーネ様に頼むことにします。…そして私は、参加してみます」
「えっ、危ないわよ、毒を盛られたらどうするのよ?」
とブランカ先輩が言う。
「…では開始早々に突撃してもらうように頼みます」
と言えば、
「毒か、全くないとは言えないが、それでは聖女に結びつかないと思う。生徒会としては、今出来るのは警備員に巡回を頼むくらいだ。そして我々も近くに控えるぐらいだな。聖女の件は教会と王宮に掛け合っている。留学生というところが教会も引っかかっているがどうにかなれるように交渉する…ティアラ嬢、その手の甲の傷は?」
とシルベルト様に言われた。
「朝、鞄に引っ掻けてしまって…」
「気をつけて」
と心配そうな顔をしてくれた。
皆さんに一礼して、イリーネ様の所に、向かう。
「イリーネ様、お願いがあります。明日学園のサロンでサクラさんがお茶会を開く予定です。邪魔してもらえませんか?」
「随分失礼じゃない。他者のお茶会を邪魔しなさいですって。随分と偉くなったわね。命令なさるなんて」
「命令ではありません。お願いですよイリーネ様。彼女が何をしようとしているのかわからないのですけど、彼女が善で、誰かを悪にすることだけは間違いないと思っています」
「なら、私が悪になるじゃない!」
「いえ、イリーネ様達は、カミューラ様の件で、サクラさんの物語から退場したはずです。どうですか、まだ絡んできますか?」
「全くよ…前はまるで待ち伏せていたかのように廊下で止まって話していたりしていたのに、遭わないわ」
「えぇ、今は、私に付き纏ってますからね」
「まぁ、それは大変ね、でも協力するかどうかはその日の気分次第かしらね。あなたは私のお友達でもありませんし、何の縁もない人ですから」
と扇子で口元を隠しながら私から離れて歩いていってしまった。
とりあえず、一礼だけして見送る。
私の机の周りには集りはない…
「あれっ?」
思わず声が出たが、机はいつも通りだった。今日はゴミが机の上に撒かれているんじゃないかと思って、屋敷から雑巾を持ってきていたんだけど、何もなかった。気合いを入れた分恥ずかしくて、紙袋の中の雑巾を、鞄の中に詰める。
「痛ッ」
慌てて詰めて鞄の金具に手の甲を引っ掻けてしまい、血が滲んだ。
席に着くと、キアヌス先生が入ってきて、
「残念なお知らせがあります。レイアさんが、本日見回り中の警備員に捕まりました。このクラスにイタズラをしようとしたそうです…非常に残念です。皆さんクラスメイトなんですから仲良くしましょう」
レイアさんってサクラさんと一緒にいた私が身分で落とし靴の姫君に選ばれたって言いがかりを言っていた子だわ。
キアヌス先生がいなくなるとすぐにサクラさんが、私の所に来た。
「ティアラ様、酷いわよね、レイアさん。ずっとティアラ様が侯爵家だということを羨んで、ご自分は男爵家でしょう、ひどい妬みからくる嫌がらせだったのよ」
と言う。
「一昨日の机の上にあった水と昨日の土の件ですか?」
と聞くと、
「えぇ、嫌よね、きっと僻みよ。ねぇ皆さん~?仲良くしていたのに、私達のことも心の中じゃどんな風に思っていたのかわからないわね~。そんな事する方だったなんて知っていたら、私が止めるように説得したわ。本当に私達も騙されたわね~?」
と言えば、顔色の悪いクラスメイト達。ミンネも顔色が悪い。
ただみんなコクリと頷く。
サクラさんに何かされているんだろうか?今日、魔法具を持ってきている?
どうにか調べられればいいのに、休み時間ごとに私の目の前に現れるサクラさん。ずっと私の顔を見て、私の話すことを聞いている。もしかして今、何かやっているんだろうか?
でも私には何か命令的なもの、操られるような意識は感じない…
どういうことだろう。
カミューラ様の言った体調が悪くなるような異変を感じない。
授業中、一人になるチャンスは、ここしかない。
「先生、お手洗いに行ってもいいですか?」
恥ずかしい~
めちゃくちゃなんか恥ずかしい。
「体調が悪いんじゃなくて?」
と先生に聞かれると
「違います、お手洗いに行きたいだけです」
と告げた。
教室内が笑う扉から出る時に、一人だけ笑っていなかったのを見た。
怖い、能面みたいな顔で私を見ている。
急いで廊下を歩く。必要なことは紙に書いた。これを生徒会の方かブランカ先輩に届ければ、どうにか探ってくれるかもしれない。
「待って~ティアラ様。私もお手洗いに行きたくて~」
と息を弾ませ走ってきた。
ハァ~、これは駄目だ。
「あら、サクラさんもですか。先程の休み時間にお手洗い行けばよかったですよね」
と笑って迎え入れる。内心ここで何かやられたらどうしようと恐怖心を抑えながら。
二人、並びながら歩く。
「ねぇティアラ様、なんかおかしいって感じたことない?」
と聞かれた。
「おかしいですか?ないですね?」
と言えば、
「クッキー食べてくれなかったのね?」
と聞かれ、ドキッとしたが、シルベルト様からまだあれに何が入っていたか聞いてない。
「家で食べようと思ったら弟に取られちゃったんですよ。ごめんなさい」
と言えば、
「仕方ないですね…明日私、この学園のサロンで茶会を開くんです。是非きてくださいね。全員参加なんですよ」
「あら、お手洗い着いてますよ。早く入りましょう」
と言えば、
「来てくださいね」
と私が入ろうとしているのに、制服を引っ張って止める。
凄い力だ。
「えぇ、明日、予定がなければ参加します」
と言えば
「ふ~ん、やっぱり返答が違うわ。何も感じないんだ。なんでなのかしら?気味悪い子…
まぁその他だとそういうものなのかしら?でも、変よね」
と私に何かを返事を求めてきたが、
「サクラさんの話していることがわかりません」
と言うと、ニヤリと笑って、
「まぁ、いいわ。駄目な子にいくら言っても駄目だし。私もそんな悠長に構えてられないの。でも、参加した方がいいと思いますよ」
と意味深に笑ってお手洗いには入らず、また廊下を歩いて行ってしまった。
教室に戻れば、サクラさんは今日は調子が悪いと言って早退したと聞いた。ミンネからもお茶会の件を言われた。
「ティア、参加して欲しいのだけど」
「どうして、ミンネが?」
「うるさいのよね。親睦がとかクラスに溶け込めていないんじゃないかとか…家にまで相談って言って着いてくるの…最近は断っているんだけど、先回りみたいに現れたり、ちょっとした恐怖よ」
「確かにそれは恐怖ね。でもお茶会の返事は待ってね」
と一応詫びるポーズをとる。
「わかったわ、でも今日、父様が王宮の方から例の件参加案内を貰えるみたいで楽しみなの」
とミンネの目が爛爛と輝いている。
それでこそミンネだわ。
まずブランカ先輩に連絡をした。
「私は、参加しない方がいいと思うわ…生徒会の皆さんにも聞いた方が良いのではないかしら?」
と言われ、誰に見られるかもわからないので本当は、生徒会室には行きたくなかったが、一人で判断出来なかった。
なんとなくサクラさんの言動は、まるで何かしますと宣言をしているみたいだから。
生徒会室で説明すると、シルベルト様が、
「個人的には危険だと目に見えてわかる行為は、やめた方が良いと思う。あのクッキーに仕込まれていたのは誘引薬…無理矢理情報を引き出す時に使う薬だ、目の前の相手に逆らえなくするな…お茶会でもそれを使う気なんじゃないか?」
と言われた。
私から情報を?
何が聞きたいというの?
「私は、そのお茶会、クラスメイトが人質になっているぞと脅しにも取れるな」
とクラード殿下が生徒会長の席で執務をやりながら、言われた。
「人質と言われましても…私に何ができるというんですか?」
「そうだなぁ、ティアラ嬢が出来ないなら、そのお茶会をめちゃくちゃにしてくれそうな人に頼めば良いんじゃないか」
とクラード殿下は私を煽るように言った。
「あっ!イリーネ様達」
と言えば、
「多分何かが違うとかは間違いなく、相手にわかっている。その原因としてティアラ嬢に目をつけている。そして聞き出したいのでないか?不安要素なんだよ、ティアラ嬢は」
と執務をしながら言う。
シルベルト様が、
「確かに、あえて来た方が良いと挑発的でいつも避けているティアラ嬢への脅し。邪魔者の乱入で予定は狂うだろうし。サクラ嬢は、誰かを淫魔として暴いて聖女になりたい。どうやって淫魔に仕立てるつもりなんだ?」
「クラスメイトの一人が、今日、警備員に捕まりました。被害は増えていくような気がします。どうにかお茶会の壊し役をイリーネ様に頼むことにします。…そして私は、参加してみます」
「えっ、危ないわよ、毒を盛られたらどうするのよ?」
とブランカ先輩が言う。
「…では開始早々に突撃してもらうように頼みます」
と言えば、
「毒か、全くないとは言えないが、それでは聖女に結びつかないと思う。生徒会としては、今出来るのは警備員に巡回を頼むくらいだ。そして我々も近くに控えるぐらいだな。聖女の件は教会と王宮に掛け合っている。留学生というところが教会も引っかかっているがどうにかなれるように交渉する…ティアラ嬢、その手の甲の傷は?」
とシルベルト様に言われた。
「朝、鞄に引っ掻けてしまって…」
「気をつけて」
と心配そうな顔をしてくれた。
皆さんに一礼して、イリーネ様の所に、向かう。
「イリーネ様、お願いがあります。明日学園のサロンでサクラさんがお茶会を開く予定です。邪魔してもらえませんか?」
「随分失礼じゃない。他者のお茶会を邪魔しなさいですって。随分と偉くなったわね。命令なさるなんて」
「命令ではありません。お願いですよイリーネ様。彼女が何をしようとしているのかわからないのですけど、彼女が善で、誰かを悪にすることだけは間違いないと思っています」
「なら、私が悪になるじゃない!」
「いえ、イリーネ様達は、カミューラ様の件で、サクラさんの物語から退場したはずです。どうですか、まだ絡んできますか?」
「全くよ…前はまるで待ち伏せていたかのように廊下で止まって話していたりしていたのに、遭わないわ」
「えぇ、今は、私に付き纏ってますからね」
「まぁ、それは大変ね、でも協力するかどうかはその日の気分次第かしらね。あなたは私のお友達でもありませんし、何の縁もない人ですから」
と扇子で口元を隠しながら私から離れて歩いていってしまった。
とりあえず、一礼だけして見送る。
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