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71夜会 2
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「なぜブランカ先輩が王族の後ろに?」
と思わず声が漏れ出てしまうと、ログワット様がクスリと笑って、
「取材、情報といろんな所に顔を出していたからね。クラード様にそんなに情報が欲しいならちょうどいいって言われて、最前列で見せてあげるってさ、それニ日前のことだよ。鬼畜だよね我らの王太子殿下は。パートナーが中々決まらなかったからね。まぁ、王族贔屓の商会がすぐに揃えてブランカ嬢のところに届けたみたいなんだけど、もう拒否も許されない切迫つまった状況だったからね、クラード様も…お互いwℹ︎nwℹ︎nの関係だと思うからティアラ嬢が気にすることはないよ」
と笑っていた。シルベルト様も少し困った顔をした程度。
「大丈夫だろう、彼女は、結構荒くれる状況の中を歩いていたし、何より知りたいという気持ちが暴走気味で色々とね…根性の持ち主だよ」
と言った。
令嬢に根性って…
まぁあれだけ注目浴びればね、顔色だって悪くなるわ。私の印象も薄くなった気がします。
感謝、ブランカ先輩!
みんなの関心はブランカ先輩に注がれていた。
貴賓席が埋まる。
見るとふわふわキラキラとした王女様がいた。そしてノーマン王国の国王様よりも年配の王と王妃が共に手を差し出し座らせていた。
「随分と可愛らしいお姫様ですね」
と言えば、シルベルト様が、視線を私に向けて
「ティアラ嬢の可愛さの方が圧倒的に上だ」
と真面目な顔で言う。
もうそういうことではないから。
「あの方がシリル様が、遊学とお見合いに行ったルーベラ王女様だよ」
とログワット様が言った。
確かに絵姿はと似ていた。でもあの姿よりも随分と大人な感じがするのは気のせいだろうか。
「9歳と聞いていたのですが?」
「ん、どういうことだろうね?これはクラード様やシリル様が知っているのかな?、我々もわからない」
「?」
前を見ているとクラウス殿下やクラード殿下も着席した。
ブランカ先輩は父であるルミネ伯爵にエスコートが移り壁際へ。
「皆の者、本日はノーマン王国の建国を共に祝おう。乾杯」
と国王様の掛け声から始まり、音楽が鳴る。王族への挨拶の列が集まり始めた。レイヤード公爵が、
「シルベルト、挨拶に行くぞ」
と声をかけられ何故か私も公爵家の皆様と共に挨拶に行った。
緊張はしたが公爵夫人の圧倒的な圧を前に私は一礼しただけで済んだ。その時の後ろに座っていたクラード様の顔は、やっぱり誰だこいつからの名前を言えば口を開けて驚くという失礼な態度までテンプレだった。
公爵夫人に声をかけられ、一旦控室に下がる。その間にシルベルト様は公爵令息として、挨拶回りをすると聞き、ホッとした。
遅れて入ったのはシリル殿下で、パートナーはカミューラ様だった。私とは比べ物にならないタユンとしたお胸にグッと細くなった腰からの丸いお尻が煽情的でとても学生だなんて思えないほどのお色気だ。
「素敵~」
と言えば、
「え?シリル様?」
とシルベルト様が近づき、聞かれた。
「カミューラ様です」
と言えば、
「あぁ良かった」
とこちらを見て笑う…
一際大きく合わさった音楽が流れ始めた。
国王様と王妃様がダンスをなさるらしい。
そしてそれに合わせてクラード殿下がブランカ先輩をシリル殿下がカミューラ様をこちらに連れてきた。
「ティアラ様お綺麗~」
とブランカ先輩に言われ、
「いえブランカ先輩こそ素敵です。クラード殿下のエスコートを受けているのを見て驚きました」
と言えば、苦虫を噛んだかのような顔をクラード殿下に見せて、
「脅しよ、あれは」
と私に縋ってこようとした手をシルベルト様が遮った。なんだか可哀想…
「ブランカ嬢、取る手が違うと思いますよ」
とシルベルト様が言われれば、クラード殿下が意地悪そうな笑顔してから、
「そうだよ、ブランカ嬢、今日のパートナーは私だ。知りたいことも情報も根こそぎ持っていくがいいよ。今日は無礼講だ、さぁ、パートナー殿一曲踊って頂けますか?」
と可愛らしく誘っているが、ブランカ先輩は今にも舌打ちしそうな勢いでパシッと手を取る。
「では、こちらも」
とシリル殿下はスマートにカミューラ様をエスコートして、彼女はキョロキョロと辺りを見て震えるようにちょっこんとシリル殿下の手に自分の手を合わせた。ドレス姿は大人なのにその仕草はまだ可愛らしくて、思わず、私が抱きつきたくなった。
「ティアラ嬢、踊って頂けませんか?」
と横にいたシルベルト様が真正面に移動し、膝を曲げ、目を私に合わせ口元を結び許しを乞う姿がなんともセクシーでグッときてしまった。
「よろしくお願いします」
と手を合わせる。
すぐ近くにいたログワット様が、
「なんだよ、パートナー見つからなかったのは、俺だけかよ」
とぼやいていたのを聞いてクスリと笑ってしまった。
「そういえば、フラン様は?」
と聞けば、
「ん、見張り中と…。気になる?」
と聞かれ、一瞬、ドキリと心臓が跳ねた気がした。
「いいえ、気にはなりませんけど」
と言えば、
「では、フロアに行こう」
と誘われる。
シルベルト様の一歩が、大きくて少し小走りになってフワリとドレスの裾が広がった。
「すまない、つい、先走ってしまった…」
とシルベルト様が凝視しているのは、私の足元。
「嘘だろう、持ってきていたのか?嬉しいよ」
「先程国王陛下の挨拶の時にレイヤード公爵夫人が、やはり既製品では少し歩き方がと言われて、公爵家のメイドに預けていた靴を夫人に付き添われ履き替えました。派手じゃありませんか…?」
と聞くと、
「嬉しすぎるよ、私が選んだ、私がデザインした靴を履いてくれるなんて、こんな嬉しすぎることはない。本当に夢みたいだ…」
と私の手を引き寄せ、抱きしめようとしてくるのを必死に彼の胸を押すことで抵抗した。
「シルベルト様、近い、近すぎですから」
音楽がなる。
目が合わさり、揃って足を一歩出す。彼の片方の手が私の腰に、もう片方は私の手を守るように握る。私も彼の背中に手を回し踊り始める。
フワリと裾が揺れるたびにピカピカと反射しそうな靴をこれでもかと喜ぶシルベルト様の顔を見ながら、これはこれで良かったんだなと思った。
派手だけど…
何度も視線が刺さる。
感じていても周りの様子を見る余裕もないほど、シルベルト様のダンスに翻弄され、一曲踊り終わる時には肩で息をしていた。
スローステップはどこにあったの?というぐらいわざとドレスの裾がフワリフワリと持ち上がるようにステップが大きく移動したのかもしれない。
「もしかして、わざとですか?」
と聞くと
「仕方ないだろう、嬉しかったんだから」
と子供みたいな回答が返ってきた。
嬉しいからって、はしゃぎますか!
と抗議の目をすれば、スタスタと誰かが近寄ってきてみれば、ルーベラ王女がクラード様とブランカ先輩の前に止まった。それは私達の斜め前の位置。
そしてルーベラ王女は、
「あなただったのね…」
とブランカ先輩の目を見て言った。
「それはどういうことかな?ルーベラ王女殿下」
とクラード殿下が尋ねると、
「私、シリル様に聞かれ魔法具について…記憶が曖昧で、でも私の責任もあると…酷く反省したのです。
ぼやけていた記憶が、少し…
私、この方に騙されたんだわ!お父様間違いないわ、私を唆した人だわ!捕まえて」
と言うと、トリウミ王国の国王様の後ろに控えていた騎士二名が、目の前に来てブランカ先輩に手を出そうとした。
「控えよ、トリウミ王国の騎士。私のパートナーだとわかった上で手を出そうというのか!ルーベラ王女殿下、貴殿の話にはなんの裏付けも無い、突然の言いがかりやめてくれ!」
とクラード殿下は冷静にでも淡々と語尾を強めに言う。
この騒動が注目を浴びている…
まるでここにライトが当たっているかのよう。
そして、誰も動いてない中、一人だけ歩き近寄るのは、クラウス殿下。
「クラード、何の騒ぎだい?夜会に招いている皆さんに失礼だろう?場を荒らしたいのかい?」
「失礼しました。ルーベラ王女殿下、別室でお話しさせてください」
とクラード殿下が一歩下がり言えば、ルーベラ王女様は、
「いやよ。まだ踊ってないわ。私ダンスを所望しているの!フフ、クラード様とその次は、シリル様、そしてシルベルト様もね、早く踊りましょう~」
とまるで先程までとは別人のように無邪気に言った。
怖い
関わってはいけない人だと本能が警告していた。
と思わず声が漏れ出てしまうと、ログワット様がクスリと笑って、
「取材、情報といろんな所に顔を出していたからね。クラード様にそんなに情報が欲しいならちょうどいいって言われて、最前列で見せてあげるってさ、それニ日前のことだよ。鬼畜だよね我らの王太子殿下は。パートナーが中々決まらなかったからね。まぁ、王族贔屓の商会がすぐに揃えてブランカ嬢のところに届けたみたいなんだけど、もう拒否も許されない切迫つまった状況だったからね、クラード様も…お互いwℹ︎nwℹ︎nの関係だと思うからティアラ嬢が気にすることはないよ」
と笑っていた。シルベルト様も少し困った顔をした程度。
「大丈夫だろう、彼女は、結構荒くれる状況の中を歩いていたし、何より知りたいという気持ちが暴走気味で色々とね…根性の持ち主だよ」
と言った。
令嬢に根性って…
まぁあれだけ注目浴びればね、顔色だって悪くなるわ。私の印象も薄くなった気がします。
感謝、ブランカ先輩!
みんなの関心はブランカ先輩に注がれていた。
貴賓席が埋まる。
見るとふわふわキラキラとした王女様がいた。そしてノーマン王国の国王様よりも年配の王と王妃が共に手を差し出し座らせていた。
「随分と可愛らしいお姫様ですね」
と言えば、シルベルト様が、視線を私に向けて
「ティアラ嬢の可愛さの方が圧倒的に上だ」
と真面目な顔で言う。
もうそういうことではないから。
「あの方がシリル様が、遊学とお見合いに行ったルーベラ王女様だよ」
とログワット様が言った。
確かに絵姿はと似ていた。でもあの姿よりも随分と大人な感じがするのは気のせいだろうか。
「9歳と聞いていたのですが?」
「ん、どういうことだろうね?これはクラード様やシリル様が知っているのかな?、我々もわからない」
「?」
前を見ているとクラウス殿下やクラード殿下も着席した。
ブランカ先輩は父であるルミネ伯爵にエスコートが移り壁際へ。
「皆の者、本日はノーマン王国の建国を共に祝おう。乾杯」
と国王様の掛け声から始まり、音楽が鳴る。王族への挨拶の列が集まり始めた。レイヤード公爵が、
「シルベルト、挨拶に行くぞ」
と声をかけられ何故か私も公爵家の皆様と共に挨拶に行った。
緊張はしたが公爵夫人の圧倒的な圧を前に私は一礼しただけで済んだ。その時の後ろに座っていたクラード様の顔は、やっぱり誰だこいつからの名前を言えば口を開けて驚くという失礼な態度までテンプレだった。
公爵夫人に声をかけられ、一旦控室に下がる。その間にシルベルト様は公爵令息として、挨拶回りをすると聞き、ホッとした。
遅れて入ったのはシリル殿下で、パートナーはカミューラ様だった。私とは比べ物にならないタユンとしたお胸にグッと細くなった腰からの丸いお尻が煽情的でとても学生だなんて思えないほどのお色気だ。
「素敵~」
と言えば、
「え?シリル様?」
とシルベルト様が近づき、聞かれた。
「カミューラ様です」
と言えば、
「あぁ良かった」
とこちらを見て笑う…
一際大きく合わさった音楽が流れ始めた。
国王様と王妃様がダンスをなさるらしい。
そしてそれに合わせてクラード殿下がブランカ先輩をシリル殿下がカミューラ様をこちらに連れてきた。
「ティアラ様お綺麗~」
とブランカ先輩に言われ、
「いえブランカ先輩こそ素敵です。クラード殿下のエスコートを受けているのを見て驚きました」
と言えば、苦虫を噛んだかのような顔をクラード殿下に見せて、
「脅しよ、あれは」
と私に縋ってこようとした手をシルベルト様が遮った。なんだか可哀想…
「ブランカ嬢、取る手が違うと思いますよ」
とシルベルト様が言われれば、クラード殿下が意地悪そうな笑顔してから、
「そうだよ、ブランカ嬢、今日のパートナーは私だ。知りたいことも情報も根こそぎ持っていくがいいよ。今日は無礼講だ、さぁ、パートナー殿一曲踊って頂けますか?」
と可愛らしく誘っているが、ブランカ先輩は今にも舌打ちしそうな勢いでパシッと手を取る。
「では、こちらも」
とシリル殿下はスマートにカミューラ様をエスコートして、彼女はキョロキョロと辺りを見て震えるようにちょっこんとシリル殿下の手に自分の手を合わせた。ドレス姿は大人なのにその仕草はまだ可愛らしくて、思わず、私が抱きつきたくなった。
「ティアラ嬢、踊って頂けませんか?」
と横にいたシルベルト様が真正面に移動し、膝を曲げ、目を私に合わせ口元を結び許しを乞う姿がなんともセクシーでグッときてしまった。
「よろしくお願いします」
と手を合わせる。
すぐ近くにいたログワット様が、
「なんだよ、パートナー見つからなかったのは、俺だけかよ」
とぼやいていたのを聞いてクスリと笑ってしまった。
「そういえば、フラン様は?」
と聞けば、
「ん、見張り中と…。気になる?」
と聞かれ、一瞬、ドキリと心臓が跳ねた気がした。
「いいえ、気にはなりませんけど」
と言えば、
「では、フロアに行こう」
と誘われる。
シルベルト様の一歩が、大きくて少し小走りになってフワリとドレスの裾が広がった。
「すまない、つい、先走ってしまった…」
とシルベルト様が凝視しているのは、私の足元。
「嘘だろう、持ってきていたのか?嬉しいよ」
「先程国王陛下の挨拶の時にレイヤード公爵夫人が、やはり既製品では少し歩き方がと言われて、公爵家のメイドに預けていた靴を夫人に付き添われ履き替えました。派手じゃありませんか…?」
と聞くと、
「嬉しすぎるよ、私が選んだ、私がデザインした靴を履いてくれるなんて、こんな嬉しすぎることはない。本当に夢みたいだ…」
と私の手を引き寄せ、抱きしめようとしてくるのを必死に彼の胸を押すことで抵抗した。
「シルベルト様、近い、近すぎですから」
音楽がなる。
目が合わさり、揃って足を一歩出す。彼の片方の手が私の腰に、もう片方は私の手を守るように握る。私も彼の背中に手を回し踊り始める。
フワリと裾が揺れるたびにピカピカと反射しそうな靴をこれでもかと喜ぶシルベルト様の顔を見ながら、これはこれで良かったんだなと思った。
派手だけど…
何度も視線が刺さる。
感じていても周りの様子を見る余裕もないほど、シルベルト様のダンスに翻弄され、一曲踊り終わる時には肩で息をしていた。
スローステップはどこにあったの?というぐらいわざとドレスの裾がフワリフワリと持ち上がるようにステップが大きく移動したのかもしれない。
「もしかして、わざとですか?」
と聞くと
「仕方ないだろう、嬉しかったんだから」
と子供みたいな回答が返ってきた。
嬉しいからって、はしゃぎますか!
と抗議の目をすれば、スタスタと誰かが近寄ってきてみれば、ルーベラ王女がクラード様とブランカ先輩の前に止まった。それは私達の斜め前の位置。
そしてルーベラ王女は、
「あなただったのね…」
とブランカ先輩の目を見て言った。
「それはどういうことかな?ルーベラ王女殿下」
とクラード殿下が尋ねると、
「私、シリル様に聞かれ魔法具について…記憶が曖昧で、でも私の責任もあると…酷く反省したのです。
ぼやけていた記憶が、少し…
私、この方に騙されたんだわ!お父様間違いないわ、私を唆した人だわ!捕まえて」
と言うと、トリウミ王国の国王様の後ろに控えていた騎士二名が、目の前に来てブランカ先輩に手を出そうとした。
「控えよ、トリウミ王国の騎士。私のパートナーだとわかった上で手を出そうというのか!ルーベラ王女殿下、貴殿の話にはなんの裏付けも無い、突然の言いがかりやめてくれ!」
とクラード殿下は冷静にでも淡々と語尾を強めに言う。
この騒動が注目を浴びている…
まるでここにライトが当たっているかのよう。
そして、誰も動いてない中、一人だけ歩き近寄るのは、クラウス殿下。
「クラード、何の騒ぎだい?夜会に招いている皆さんに失礼だろう?場を荒らしたいのかい?」
「失礼しました。ルーベラ王女殿下、別室でお話しさせてください」
とクラード殿下が一歩下がり言えば、ルーベラ王女様は、
「いやよ。まだ踊ってないわ。私ダンスを所望しているの!フフ、クラード様とその次は、シリル様、そしてシルベルト様もね、早く踊りましょう~」
とまるで先程までとは別人のように無邪気に言った。
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