大輪の花火の輪

栗菓子

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第14話 かゆみ

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わたしは、わたしの体調に異変が起きると、手や頭や足を掻きむしってします。
幻肢痛だ。
私の爪はぼろぼろになり、指は切れて、赤向け状態になっている。

わたしは、下らなテレビで下手な芸人の歌や、太った利用研究家の料理教室など、虚ろに、病室で寝ながら、なんとなしに見ている。


昔はなんとなしに酒で不安を誤魔化して生きていたものだが、今は、厳しくなり、何でも国民を管理するようになった。

そんなに何でも管理したいのだろうか?

面倒くさくはないのだろうか?私は古い世代なのだろうか?


死ぬときは死ぬのに、無理矢理延命して何になるのだろうか?


人間は自分で地獄を生み出す生き物ではないのか?


この歪な世界にわたしはついていけなく、溜息をついている。


わたしは、窒息寸前の金魚鉢の腹を向けて浮いている金魚のようだ。


わたしは淘汰される個体だ。 でもやっとコレデと安堵している自分もいる。

死への道は、長く困難だ。

生への悦びは瞬く間に過ぎる。流れ星のように、線香花火のように一瞬のうちに消え果てる。

わたしはそれを諦念と共に時の流れを受け入れる。


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