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冬休み編
第30話
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(電話しなきゃ……)
話はまだ終わってない。先生の言い分もわからんではないけれど、向こうから一方的に別れを切り出されるなんて納得できなかった。
だいたい、この状態で「別れてくれ」なんて言う方がよっぽど無責任じゃないか。可愛い恋人を殴って顔に傷まで負わせたくせに、そのまま逃げるなんて許せない。別れ話の前にまずたっぷり文句を言ってやろう。
そう思い、夏樹は市川の電話番号を探し出し、通話ボタンを押した。考えてみれば、自分から電話をかけるのは初めてかもしれない。
ところが……。
「……あれ?」
何回コールしても、数コールの後に通話が途切れてしまう。普通の音声通話でもLINEの無料電話でも応答がなかった。
はて、スマホの電源でも切っているのだろうか。それとも、お取込み中で電話が取れないんだろうか。
(……ったく、タイミング悪いなあ……)
仕方がないので、LINEのメッセージに「仕事終わったら電話ください」と打っておいた。
化膿止めの抗生剤を飲み、額のガーゼを取り換えて、夏樹は自分の机に座った。このところずっと河口に呼び出されていたので、冬休みの課題が全く終わっていなかった。先生から電話がかかってくるまで、できるところまで進めておこう。
そう思って問題集に取り掛かったのだが、肝心のスマホはなかなか鳴らなかった。
気付いたら課題に出されていた部分は終わってしまって、時刻も午後七時を過ぎていた。
(あの変態教師、一体何してるんだ?)
念のため、LINEのメッセージを確認してみる。が、自分が送ったはずのメッセージは未だに既読がついていなかった。
「えっ……?」
話はまだ終わってない。先生の言い分もわからんではないけれど、向こうから一方的に別れを切り出されるなんて納得できなかった。
だいたい、この状態で「別れてくれ」なんて言う方がよっぽど無責任じゃないか。可愛い恋人を殴って顔に傷まで負わせたくせに、そのまま逃げるなんて許せない。別れ話の前にまずたっぷり文句を言ってやろう。
そう思い、夏樹は市川の電話番号を探し出し、通話ボタンを押した。考えてみれば、自分から電話をかけるのは初めてかもしれない。
ところが……。
「……あれ?」
何回コールしても、数コールの後に通話が途切れてしまう。普通の音声通話でもLINEの無料電話でも応答がなかった。
はて、スマホの電源でも切っているのだろうか。それとも、お取込み中で電話が取れないんだろうか。
(……ったく、タイミング悪いなあ……)
仕方がないので、LINEのメッセージに「仕事終わったら電話ください」と打っておいた。
化膿止めの抗生剤を飲み、額のガーゼを取り換えて、夏樹は自分の机に座った。このところずっと河口に呼び出されていたので、冬休みの課題が全く終わっていなかった。先生から電話がかかってくるまで、できるところまで進めておこう。
そう思って問題集に取り掛かったのだが、肝心のスマホはなかなか鳴らなかった。
気付いたら課題に出されていた部分は終わってしまって、時刻も午後七時を過ぎていた。
(あの変態教師、一体何してるんだ?)
念のため、LINEのメッセージを確認してみる。が、自分が送ったはずのメッセージは未だに既読がついていなかった。
「えっ……?」
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