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冬休み編
第31話
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おかしい。
市川は返事に関してはかなりマメなタイプだ。こんなに長時間メッセージを放置するなんてことはまずない。仕事中だったとしても、トイレに行くフリをしてこまめにスマホをチェックしている。五時間以上もスマホを見ていないなどあり得ない。
胸騒ぎがして、夏樹はLINEの電話を鳴らした。普通の音声通話も何度か鳴らしてみた。だが数コールの後には必ず通話がプチッと切れてしまって、留守番電話にメッセージを残すこともできなかった。
「先生……?」
一体どういうことだろう。LINEのメッセージも読まれない、電話も繋がらない、向こうからも一切連絡がない。夏休みの時もこんな感じで音信不通になったけど、あの時とは前後の状況が違う分、余計不安になってしまう。
(どうしよう……)
年末だから忙しいんだろうか。今日はたまたま繋がらなかっただけなんだろうか。明日電話したら出てくれるだろうか。
いやでも、万が一事件に巻き込まれていたりなんかしたら……。
いても立ってもいられなくなり、夏樹は自宅を飛び出した。そして市川のマンションに向かった。連絡が取れないなら、直接会って話をするしかない。
小一時間で市川のマンションに到着し、呼び鈴を押した。けれど人が動く様子はなく、それどころか誰かがいる気配もなかった。そう言えば、窓の明かりが全部消えている。
(先生、いないのか……?)
もしかして実家に帰っているのだろうか。それならそうと一言くらい言って欲しいものだ。何も言わずにどこかに行ってしまうなんて、水くさいじゃないか……。
「……バカ」
感情をぶつける相手がいないのでは仕方がない。スッキリしない気持ちを引きずったまま、夏樹はマンションを後にした。
市川は返事に関してはかなりマメなタイプだ。こんなに長時間メッセージを放置するなんてことはまずない。仕事中だったとしても、トイレに行くフリをしてこまめにスマホをチェックしている。五時間以上もスマホを見ていないなどあり得ない。
胸騒ぎがして、夏樹はLINEの電話を鳴らした。普通の音声通話も何度か鳴らしてみた。だが数コールの後には必ず通話がプチッと切れてしまって、留守番電話にメッセージを残すこともできなかった。
「先生……?」
一体どういうことだろう。LINEのメッセージも読まれない、電話も繋がらない、向こうからも一切連絡がない。夏休みの時もこんな感じで音信不通になったけど、あの時とは前後の状況が違う分、余計不安になってしまう。
(どうしよう……)
年末だから忙しいんだろうか。今日はたまたま繋がらなかっただけなんだろうか。明日電話したら出てくれるだろうか。
いやでも、万が一事件に巻き込まれていたりなんかしたら……。
いても立ってもいられなくなり、夏樹は自宅を飛び出した。そして市川のマンションに向かった。連絡が取れないなら、直接会って話をするしかない。
小一時間で市川のマンションに到着し、呼び鈴を押した。けれど人が動く様子はなく、それどころか誰かがいる気配もなかった。そう言えば、窓の明かりが全部消えている。
(先生、いないのか……?)
もしかして実家に帰っているのだろうか。それならそうと一言くらい言って欲しいものだ。何も言わずにどこかに行ってしまうなんて、水くさいじゃないか……。
「……バカ」
感情をぶつける相手がいないのでは仕方がない。スッキリしない気持ちを引きずったまま、夏樹はマンションを後にした。
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