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初めてのお稽古編
第13話
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「やっぱり弟子ってとらないといけないものなんですか?」
「いけないわけじゃないけど、次期家元の弟子が0人なんて聞いたことないね。やっぱり何人かは面倒を見るものじゃないのかな」
「そうなんですか……」
「でも、そういうことならちょうどいい」
と、祐介が杖をとった。
「もしよかったら、今からお稽古しない? 道具もまだ片づけられてないだろうし、炭も残ってる。薄茶くらいだったらやれるんじゃないかな」
「えっ……? いいんですか?」
「もちろん。いいよね、健介?」
「あー……でも、ここでは稽古する予定じゃなかったから……」
「? じゃあどこで稽古するつもりだったの? ここなら道具も着物もお菓子も全部揃ってるよ?」
「いや、まあそうなんだけどさ……」
歯切れの悪い返事をする市川。どうもお屋敷でお稽古するのに抵抗があるみたいだ。
(もしかして、二人きりでお稽古したかったのかな?)
誰にも邪魔されない場所で、二人きりでお稽古。茶室というのは基本密室だし、そうなるとお決まりのようにいかがわしい方向に流れて行ってしまう可能性がある。
せっかくお稽古するのに、またイチャイチャで終わってしまっては意味がない。
そう思い、夏樹は市川の代わりに快諾してみせた。
「是非お願いします! 俺にお稽古つけてください!」
「よし、じゃあ決まりだ。健介、稽古の準備して来なよ。僕は夏樹くんを着替えさせるから」
「ええー!? 夏樹を着替えさせるのは俺の仕事だろ! そこは絶対譲らないからな!」
「は、何? じゃあ僕に水屋の仕事して来いって言うの?」
「いや、水屋も俺がやる。祐介は手出さなくていい」
「何それ。せっかく手伝ってあげようと思ったのに」
「余計なお世話だよ。こう見えても俺は元教師だからな。人に教えるのは慣れてるんだ」
シッシッと手を振る市川。
あんまりな態度に窘めようとしたが、祐介は一拍早く杖を掴んで立ち上がった。
「いけないわけじゃないけど、次期家元の弟子が0人なんて聞いたことないね。やっぱり何人かは面倒を見るものじゃないのかな」
「そうなんですか……」
「でも、そういうことならちょうどいい」
と、祐介が杖をとった。
「もしよかったら、今からお稽古しない? 道具もまだ片づけられてないだろうし、炭も残ってる。薄茶くらいだったらやれるんじゃないかな」
「えっ……? いいんですか?」
「もちろん。いいよね、健介?」
「あー……でも、ここでは稽古する予定じゃなかったから……」
「? じゃあどこで稽古するつもりだったの? ここなら道具も着物もお菓子も全部揃ってるよ?」
「いや、まあそうなんだけどさ……」
歯切れの悪い返事をする市川。どうもお屋敷でお稽古するのに抵抗があるみたいだ。
(もしかして、二人きりでお稽古したかったのかな?)
誰にも邪魔されない場所で、二人きりでお稽古。茶室というのは基本密室だし、そうなるとお決まりのようにいかがわしい方向に流れて行ってしまう可能性がある。
せっかくお稽古するのに、またイチャイチャで終わってしまっては意味がない。
そう思い、夏樹は市川の代わりに快諾してみせた。
「是非お願いします! 俺にお稽古つけてください!」
「よし、じゃあ決まりだ。健介、稽古の準備して来なよ。僕は夏樹くんを着替えさせるから」
「ええー!? 夏樹を着替えさせるのは俺の仕事だろ! そこは絶対譲らないからな!」
「は、何? じゃあ僕に水屋の仕事して来いって言うの?」
「いや、水屋も俺がやる。祐介は手出さなくていい」
「何それ。せっかく手伝ってあげようと思ったのに」
「余計なお世話だよ。こう見えても俺は元教師だからな。人に教えるのは慣れてるんだ」
シッシッと手を振る市川。
あんまりな態度に窘めようとしたが、祐介は一拍早く杖を掴んで立ち上がった。
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