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第2章~溢れる想い~
第24話※
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こんなはずじゃなかった。兄を傷つけるつもりなんて全然なかった。最初は本当に、ミューを斬ろうと必死になっていたはずだ。
ただ、戦っているうちに楽しくなってきて、それで気付いた時にはこんなことに……。
「兄上、ごめんなさい……本当にごめんなさい……」
兄がよろよろと右手を伸ばしてきた。アクセルは両手でその手を握り締めた。
声を震わせて泣いていると、兄のかすれた声が小さく響いた。
「お前が、獣にならなくて、よかったよ……」
「……!」
「あとで……棺に、運んで……ね……」
こくこくと激しく頷く。飛び散った涙がパラパラと兄の顔に降り注いだ。
兄は満足げに微笑み、全身の力を抜いた。
「兄上……」
アクセルはもう一度、兄の手を強く握り締めた。心の中で何度も謝罪を繰り返し、息絶えた兄をそっと背負った。兄の亡骸は想像よりもずっと重かった。
この重さを、俺は永遠に忘れられないに違いない……。
訓練場を出て隣の「オーディンの館」に向かったら、チェイニーが驚いて駆け寄ってきた。今日は彼が棺当番だったようだ。
「あれ、アクセル? しかもフレイン様まで? 一体どうしたんだ?」
知り合いがいるなら話は早い。アクセルは端的に聞いた。
「空いている棺はどこだ? なるべく回復の早いものがいいんだが」
「え。えーと、じゃあXLサイズなんてどう? 普通のMサイズより回復早いと思うよ」
「なら、それで頼む」
チェイニーに案内され、館の奥に並んでいる棺に兄を寝かせる。
ただ、戦っているうちに楽しくなってきて、それで気付いた時にはこんなことに……。
「兄上、ごめんなさい……本当にごめんなさい……」
兄がよろよろと右手を伸ばしてきた。アクセルは両手でその手を握り締めた。
声を震わせて泣いていると、兄のかすれた声が小さく響いた。
「お前が、獣にならなくて、よかったよ……」
「……!」
「あとで……棺に、運んで……ね……」
こくこくと激しく頷く。飛び散った涙がパラパラと兄の顔に降り注いだ。
兄は満足げに微笑み、全身の力を抜いた。
「兄上……」
アクセルはもう一度、兄の手を強く握り締めた。心の中で何度も謝罪を繰り返し、息絶えた兄をそっと背負った。兄の亡骸は想像よりもずっと重かった。
この重さを、俺は永遠に忘れられないに違いない……。
訓練場を出て隣の「オーディンの館」に向かったら、チェイニーが驚いて駆け寄ってきた。今日は彼が棺当番だったようだ。
「あれ、アクセル? しかもフレイン様まで? 一体どうしたんだ?」
知り合いがいるなら話は早い。アクセルは端的に聞いた。
「空いている棺はどこだ? なるべく回復の早いものがいいんだが」
「え。えーと、じゃあXLサイズなんてどう? 普通のMサイズより回復早いと思うよ」
「なら、それで頼む」
チェイニーに案内され、館の奥に並んでいる棺に兄を寝かせる。
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