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第2章~溢れる想い~
第37話
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「……お前が組み敷かれているのを見た時、私は一瞬我を忘れたんだ。考えるより先に抜刀してて、気付いたら狂戦士モードで暴れまわっていた。本当に生きた心地がしなかったし、自分がやられるよりずっと傷ついた……」
「兄上……」
「わかる? お前が平気でも、私が平気じゃないんだよ。お前がひどい目に遭ったら、私の方が辛くなる。だからお前はもっと自分を大事にしなさい。自分のためではなく、私のために」
「…………」
「……お返事は?」
「はい、兄上……」
アクセルは強く目を閉じた。泣きそうになるのを堪えつつ、震える唇で返事をする。
胸が痛かった。何をしても結果的に兄を傷つけてしまう自分が、本当に情けなくて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも、それでも兄は自分を愛してくれる……。
「そうだ。これお前にあげる」
不意に、兄が首から何かを外してこちらに差し出してきた。銀の鎖に青い宝石がついたペンダントだった。透き通った色が、兄の瞳を連想させてくれる。
「私のお気に入りのペンダント。ヴァルハラに来てから手に入れたんだけど、お守り代わりにはなるでしょう」
「え。いや、兄上のお気に入りをいただくわけには……」
「いいんだよ。お前、危なっかしいから。お守りくらい持っておきなさい」
手を捕まれ、強制的に宝石を握らされる。まだ兄のぬくもりが残っているような気がした。
「兄上……」
出来の悪い弟を愛し、慈しみ、守ってくれる。本当に自分にはもったいないくらいだ。お返しできることは少ないけれど、兄のためにも自分のことは大事にしなければと思った。
「兄上……」
「わかる? お前が平気でも、私が平気じゃないんだよ。お前がひどい目に遭ったら、私の方が辛くなる。だからお前はもっと自分を大事にしなさい。自分のためではなく、私のために」
「…………」
「……お返事は?」
「はい、兄上……」
アクセルは強く目を閉じた。泣きそうになるのを堪えつつ、震える唇で返事をする。
胸が痛かった。何をしても結果的に兄を傷つけてしまう自分が、本当に情けなくて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも、それでも兄は自分を愛してくれる……。
「そうだ。これお前にあげる」
不意に、兄が首から何かを外してこちらに差し出してきた。銀の鎖に青い宝石がついたペンダントだった。透き通った色が、兄の瞳を連想させてくれる。
「私のお気に入りのペンダント。ヴァルハラに来てから手に入れたんだけど、お守り代わりにはなるでしょう」
「え。いや、兄上のお気に入りをいただくわけには……」
「いいんだよ。お前、危なっかしいから。お守りくらい持っておきなさい」
手を捕まれ、強制的に宝石を握らされる。まだ兄のぬくもりが残っているような気がした。
「兄上……」
出来の悪い弟を愛し、慈しみ、守ってくれる。本当に自分にはもったいないくらいだ。お返しできることは少ないけれど、兄のためにも自分のことは大事にしなければと思った。
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