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第4章~更なる力を求めて~
第60話
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本当は人質になんか行きたくない。ずっと兄と一緒にいたい。でも自分が嫌だと言ったところで決定は覆らない。
ならばせめて、送り出されるまでの数日間は、なるべくたくさんの時間を共有しなくては……。
「兄上……」
ぐすん、と鼻をすすり上げ、滲んできた涙を湯と一緒に流した。
何とか気持ちを切り替え、浴室から出て普段のシャツに着替える。
髪を拭きながらリビングに戻ったら、兄がテーブルに食器を並べていた。
「やあ。さっぱりしたかい?」
「ああ、ありがとう。……それで、これから食事を作るのか?」
「いや、途中までは作ってあったんだ。ご飯は土鍋で炊いてあるから、後は牛乳で煮込むだけさ」
「牛乳……? もしかして、ミルク粥を?」
「うん、そう。起きたばかりでも食べやすいようにと思って。昔、風邪をひいた時なんかはよく食べたよね」
「そうだな……懐かしい」
アクセルは目を細めて生前の頃を思い出した。
母親の手料理は食べた覚えがないが、このミルク粥だけは昔から兄がよく作ってくれた。消化がよくて食べやすいので、食欲のない時に食べたものだ。牛乳で煮込んだチーズが米に絡み、程よい塩気がとても美味しかった。
アクセルは髪を拭いていたタオルを置き、代わりにエプロンをつけて言った。
ならばせめて、送り出されるまでの数日間は、なるべくたくさんの時間を共有しなくては……。
「兄上……」
ぐすん、と鼻をすすり上げ、滲んできた涙を湯と一緒に流した。
何とか気持ちを切り替え、浴室から出て普段のシャツに着替える。
髪を拭きながらリビングに戻ったら、兄がテーブルに食器を並べていた。
「やあ。さっぱりしたかい?」
「ああ、ありがとう。……それで、これから食事を作るのか?」
「いや、途中までは作ってあったんだ。ご飯は土鍋で炊いてあるから、後は牛乳で煮込むだけさ」
「牛乳……? もしかして、ミルク粥を?」
「うん、そう。起きたばかりでも食べやすいようにと思って。昔、風邪をひいた時なんかはよく食べたよね」
「そうだな……懐かしい」
アクセルは目を細めて生前の頃を思い出した。
母親の手料理は食べた覚えがないが、このミルク粥だけは昔から兄がよく作ってくれた。消化がよくて食べやすいので、食欲のない時に食べたものだ。牛乳で煮込んだチーズが米に絡み、程よい塩気がとても美味しかった。
アクセルは髪を拭いていたタオルを置き、代わりにエプロンをつけて言った。
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