676 / 2,483
第6章~ラグナロクの始まり~
第89話
しおりを挟む
兄に汚れた衣類を剥ぎ取られ、パンツ一枚にされ、川岸に向かって軽く背中を押される。
呑気に水浴びなんかしてる場合じゃ……と思ったが、身体が汚れているのは事実。このままじゃ気持ち悪いし、サッと浴びてサッと出て来よう。
アクセルはバシャバシャと川の奥に入っていき、肩まで浸かって砂や埃を洗い流した。時折頭も水に浸け、土っぽさを洗浄する。
――と言っても、石鹸なしじゃ本当に水浴びしかできないんだが……。
大きな汚れだけ簡単に落とすと、アクセルはさっさと川から上がった。
そして身体を乾かしがてら火に当たりつつ、兄が焼いてくれた魚を食べた。ほとんど調理していないから到底美味しいとは言えなかったが、それでも疲労した身体にはいいエネルギー源になった。
「ラグナロクが終わったら、また美味しい料理作ってね」
微笑みながら、そんなことを言ってくる兄。
アクセルはふと魚を食べる手を止め、ポツリと呟いた。
「ラグナロクが終わったら、俺たち生きていられるのかな……」
「? どういうこと?」
「……俺たちはオーディン様の眷属(エインヘリヤル)だろ? オーディン様がいたから、今までヴァルハラで生活できていたわけで……。だけどロシェが言ってた……『オーディンはフェンリルに喰われて死ぬ』って、その予言がもし当たってしまったら俺たちは……」
不安に駆られ、視線を落とす。
呑気に水浴びなんかしてる場合じゃ……と思ったが、身体が汚れているのは事実。このままじゃ気持ち悪いし、サッと浴びてサッと出て来よう。
アクセルはバシャバシャと川の奥に入っていき、肩まで浸かって砂や埃を洗い流した。時折頭も水に浸け、土っぽさを洗浄する。
――と言っても、石鹸なしじゃ本当に水浴びしかできないんだが……。
大きな汚れだけ簡単に落とすと、アクセルはさっさと川から上がった。
そして身体を乾かしがてら火に当たりつつ、兄が焼いてくれた魚を食べた。ほとんど調理していないから到底美味しいとは言えなかったが、それでも疲労した身体にはいいエネルギー源になった。
「ラグナロクが終わったら、また美味しい料理作ってね」
微笑みながら、そんなことを言ってくる兄。
アクセルはふと魚を食べる手を止め、ポツリと呟いた。
「ラグナロクが終わったら、俺たち生きていられるのかな……」
「? どういうこと?」
「……俺たちはオーディン様の眷属(エインヘリヤル)だろ? オーディン様がいたから、今までヴァルハラで生活できていたわけで……。だけどロシェが言ってた……『オーディンはフェンリルに喰われて死ぬ』って、その予言がもし当たってしまったら俺たちは……」
不安に駆られ、視線を落とす。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
802
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる