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第12章~不穏な空気~
第4話
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洞窟の壁は意外としっかりしており、ひんやりと冷たい。数メートルおきに明かりを灯すための燭台がかけられていたが、もう何年も火を灯した形跡はなかった。
やはり、ここから先はあまり人が立ち入らない場所みたいだ。
「なんかちょっとわくわくするね。肝試しみたいだ。何が出て来るかなぁ?」
「……あのなぁ」
いつもこちらのことを「危機意識が足りない」だの「能天気」だのと言ってくるけれど、兄もかなり能天気だと思う。
「おっと、早速それっぽいものを発見!」
兄が壁に埋まっている石をハンマーとタガネで掘り出し、こちらにそれを見せつけてきた。鈍い銀色に光る鉱石で、大きさ自体も兄の手のひらくらいある。
「……すごいな。本当にこんな大きな玉鋼が採れるのか」
「うん、しかもかなりずっしりしてる。質量も結構なものだ。これひとつでヴァルハラの玉鋼二つ以上に相当するんじゃないかな」
そう言って兄は、手に入れたばかりの玉鋼を麻袋に入れた。
「……あ、ここにも」
アクセルも手のひらサイズの玉鋼を見つけ、ハンマーとタガネで身長に掘り出した。これで二つ目だ。
「歩いて数分しか経ってないのに、もう二つ目か。地表とはまるで違うな」
「これだけ大きいものがボコボコ採れるのも、ちょっと不思議な気がするけどね。地表の玉鋼を採りつくしてしまった分、こっちの玉鋼もある程度は少なくなってると思ったけど」
「それは確かに……」
やはり、ここから先はあまり人が立ち入らない場所みたいだ。
「なんかちょっとわくわくするね。肝試しみたいだ。何が出て来るかなぁ?」
「……あのなぁ」
いつもこちらのことを「危機意識が足りない」だの「能天気」だのと言ってくるけれど、兄もかなり能天気だと思う。
「おっと、早速それっぽいものを発見!」
兄が壁に埋まっている石をハンマーとタガネで掘り出し、こちらにそれを見せつけてきた。鈍い銀色に光る鉱石で、大きさ自体も兄の手のひらくらいある。
「……すごいな。本当にこんな大きな玉鋼が採れるのか」
「うん、しかもかなりずっしりしてる。質量も結構なものだ。これひとつでヴァルハラの玉鋼二つ以上に相当するんじゃないかな」
そう言って兄は、手に入れたばかりの玉鋼を麻袋に入れた。
「……あ、ここにも」
アクセルも手のひらサイズの玉鋼を見つけ、ハンマーとタガネで身長に掘り出した。これで二つ目だ。
「歩いて数分しか経ってないのに、もう二つ目か。地表とはまるで違うな」
「これだけ大きいものがボコボコ採れるのも、ちょっと不思議な気がするけどね。地表の玉鋼を採りつくしてしまった分、こっちの玉鋼もある程度は少なくなってると思ったけど」
「それは確かに……」
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