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第13章~獣化の秘密~
第1話※
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「ありャ、アクセルだ」
しゃがみ込んだ状態のまま、首だけ捻ってこちらを見てくる兄。その口元は赤い血糊でべっとり汚れており、左腕も肩からスッパリ切られて血がボタボタ滴っている。
誰かに斬られたのかと思ったが、兄が食べかけていた食材を見たら、一瞬にして血の気が引いた。
――……嘘だろ……?
兄が夢中になって食べていたのは、自分で斬り落とした自分の腕だったのだ。
「おかエり、待っテたよ」
当たり前のように穏やかな笑みを浮かべてくる兄を、アクセルは生まれて初めて恐ろしく思った。
「あ……にうえ、それは……」
「うン? あ、コれ? いやァ、おなかがすきすぎテどうしてもがまんできなかったカら、おまえがかエってくるまでのしノぎとして、じぶんのうでヲたべてたんダ」
「…………」
「デも、やっぱりじぶンはおいしくなイね。きんニくばかりでかたいンだ。どうせたべるなラ、しカにくのすてーキがいいな」
「…………」
「ネ、おにくかってきてくれタ? おなかすいタから、はやくやイてほしいな」
自分の腕を食べながらも、当たり前のように日常会話を繰り返してくる兄。口の周りが血で汚れ、自分の左腕からも血が滴っているのにまるで気にしていない。痛みすら感じていないかのように、にこにこと話しかけてくる。それがまたぞっとした。
アクセルは視線を落とし、唇を震わせながら聞いた。
「……兄上、ピピはどうした」
「ぴぴ? ぴぴってなンだっけ?」
しゃがみ込んだ状態のまま、首だけ捻ってこちらを見てくる兄。その口元は赤い血糊でべっとり汚れており、左腕も肩からスッパリ切られて血がボタボタ滴っている。
誰かに斬られたのかと思ったが、兄が食べかけていた食材を見たら、一瞬にして血の気が引いた。
――……嘘だろ……?
兄が夢中になって食べていたのは、自分で斬り落とした自分の腕だったのだ。
「おかエり、待っテたよ」
当たり前のように穏やかな笑みを浮かべてくる兄を、アクセルは生まれて初めて恐ろしく思った。
「あ……にうえ、それは……」
「うン? あ、コれ? いやァ、おなかがすきすぎテどうしてもがまんできなかったカら、おまえがかエってくるまでのしノぎとして、じぶんのうでヲたべてたんダ」
「…………」
「デも、やっぱりじぶンはおいしくなイね。きんニくばかりでかたいンだ。どうせたべるなラ、しカにくのすてーキがいいな」
「…………」
「ネ、おにくかってきてくれタ? おなかすいタから、はやくやイてほしいな」
自分の腕を食べながらも、当たり前のように日常会話を繰り返してくる兄。口の周りが血で汚れ、自分の左腕からも血が滴っているのにまるで気にしていない。痛みすら感じていないかのように、にこにこと話しかけてくる。それがまたぞっとした。
アクセルは視線を落とし、唇を震わせながら聞いた。
「……兄上、ピピはどうした」
「ぴぴ? ぴぴってなンだっけ?」
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