1,375 / 2,483
第13章~獣化の秘密~
第14話
しおりを挟む
「う、ん……」
テーブルを整えているところで、兄が目を擦りながら起きてきた。
「あっ、兄上……!」
急いで駆け寄り、ふらついている身体を支える。
「兄上、大丈夫か? もう起きて平気か?」
「うん……。まだちょっとねムい……けど、おなかすいタ」
「そうか。胃に優しいものを作っておいたから、たくさん食べてくれ」
ボケーッとしながら椅子に座った兄の前に、ステーキやスープを置く。
兄は未だに眠そうな目をしていたが、出された瞬間ナイフを取り上げてステーキにグサッと刺し、突き刺さった状態のままガブリと肉に噛みついた。
一口サイズに切り分けることもなく、フォークすら使わずにガツガツ食べている兄。それを見たら、再びうっすらと危機感が湧いてきた。
――このままじゃ、いずれ手づかみで食べるようになってしまうな……。
ナイフやフォークを使ってこそ、理性ある者の食事である。道具を使わないのは獣と同じだ。そうなる前に、ちゃんと治療しなければ……。
「なあ、兄上」
アクセルは向かいに座り、食事をとりながら話を振った。ストレートに「治療に行こう」などと言っても絶対に拒否されると思ったので、あえてこう誘いをかけた。
「お腹いっぱいになったら、ちょっと散歩に行こうか」
「さンぽ? どこに?」
「どこっていうのは考えてないが……兄上、今日はどこにも出掛けてないだろ? 泉には行ったけど」
「ウん……。なんカおでかけするきぶンじゃなくて」
テーブルを整えているところで、兄が目を擦りながら起きてきた。
「あっ、兄上……!」
急いで駆け寄り、ふらついている身体を支える。
「兄上、大丈夫か? もう起きて平気か?」
「うん……。まだちょっとねムい……けど、おなかすいタ」
「そうか。胃に優しいものを作っておいたから、たくさん食べてくれ」
ボケーッとしながら椅子に座った兄の前に、ステーキやスープを置く。
兄は未だに眠そうな目をしていたが、出された瞬間ナイフを取り上げてステーキにグサッと刺し、突き刺さった状態のままガブリと肉に噛みついた。
一口サイズに切り分けることもなく、フォークすら使わずにガツガツ食べている兄。それを見たら、再びうっすらと危機感が湧いてきた。
――このままじゃ、いずれ手づかみで食べるようになってしまうな……。
ナイフやフォークを使ってこそ、理性ある者の食事である。道具を使わないのは獣と同じだ。そうなる前に、ちゃんと治療しなければ……。
「なあ、兄上」
アクセルは向かいに座り、食事をとりながら話を振った。ストレートに「治療に行こう」などと言っても絶対に拒否されると思ったので、あえてこう誘いをかけた。
「お腹いっぱいになったら、ちょっと散歩に行こうか」
「さンぽ? どこに?」
「どこっていうのは考えてないが……兄上、今日はどこにも出掛けてないだろ? 泉には行ったけど」
「ウん……。なんカおでかけするきぶンじゃなくて」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
802
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる