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第15章~些細なすれ違い~
第11話
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「……お前、随分腕の力もついてきたじゃない?」
兄が懸垂しながら話しかけてくる。そういう兄は未だに懸垂を続けていた。一体何回やったのだろう。
「以前は私の腕を振り解くこともできなかったのに」
「それは……俺だって毎日鍛錬してるからな。いつまでも兄上の後ろにいるわけにはいかないよ」
「確かに、お前の成長率には目を見張るものがあるからね……。私もおちおちしていられないな」
「兄上は今のままでも十分強いよ」
ごく当たり前のことを口にしたつもりだったのだが、何故か兄はじっとりとこちらを睨んできた。
「……お前も、私はこれ以上強くなれないって思ってるのかい?」
「えっ!? そ、そんなわけないじゃないか。なんでいきなりそんなこと言うんだよ」
「……お前と違って、私は既に頂点近くに立ってしまっているんでね。正直、今のランクをキープするのが精一杯なんだよ。一位になりたいとは思わないけど、自分が進歩していない感じがして、たまに虚しくなるんだよね」
「それは……」
なるほど、それで一心不乱に鍛錬していたのか。
確かに兄はもとの実力もすごいから、ランクを落とさないようにするだけでも大変だろう。ランクが落ちる恐怖も普通の戦士とは違うだろうし、これ以上ランクアップすることもないから達成感もない。ただひたすら、自分の地位をキープすべく努力するしかないのだ。
兄が懸垂しながら話しかけてくる。そういう兄は未だに懸垂を続けていた。一体何回やったのだろう。
「以前は私の腕を振り解くこともできなかったのに」
「それは……俺だって毎日鍛錬してるからな。いつまでも兄上の後ろにいるわけにはいかないよ」
「確かに、お前の成長率には目を見張るものがあるからね……。私もおちおちしていられないな」
「兄上は今のままでも十分強いよ」
ごく当たり前のことを口にしたつもりだったのだが、何故か兄はじっとりとこちらを睨んできた。
「……お前も、私はこれ以上強くなれないって思ってるのかい?」
「えっ!? そ、そんなわけないじゃないか。なんでいきなりそんなこと言うんだよ」
「……お前と違って、私は既に頂点近くに立ってしまっているんでね。正直、今のランクをキープするのが精一杯なんだよ。一位になりたいとは思わないけど、自分が進歩していない感じがして、たまに虚しくなるんだよね」
「それは……」
なるほど、それで一心不乱に鍛錬していたのか。
確かに兄はもとの実力もすごいから、ランクを落とさないようにするだけでも大変だろう。ランクが落ちる恐怖も普通の戦士とは違うだろうし、これ以上ランクアップすることもないから達成感もない。ただひたすら、自分の地位をキープすべく努力するしかないのだ。
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