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第22章~トーナメント・第五死合い~
第24話(フレイン~アクセル視点)
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――ま……それもこれも、次の死合いで勝ちたいからなんだろうけどね……。
賭けに負けて一ヵ月娼館にいた……と言った途端、弟の目の色が変わった。ナダルに対して敵意剥き出しになり、「兄上の分までボコボコにしてやる!」と意気込んでいた。
それで風邪をひいて襲撃されていたら本末転倒だが、必死に鍛錬していた理由を思えばあまり強く注意はできない。
「……大丈夫。お前のことは私が必ず守ってあげる。だからお前は無理しない程度に、自分の道を突き進みなさい」
そう囁き、フレインは静かに寝室を出た。そしてリビングで愛用の太刀をチェックした。手入れは完璧である。
――さて……ゴミ掃除に行ってこようかな。
アクセルに気付かれないよう、音もなく家を出た。
そして夜道を歩いて娼館に向かうと、従業員に尋ねて先程弟を襲撃した人物を特定した。
***
「ん……」
翌朝、アクセルはいつもよりだいぶ遅く目を覚ました。起き上がった途端、パサ……と額から乾いたタオルが落ちた。
自分で額に手を当ててみたが、もうすっかり元通りに思える。やはり疲れからの微熱だったみたいだ。たいしたことなくてよかった。
――……って、今何時だ?
慌てて時間を確認したら、午前九時をとっくに過ぎていた。そんなに寝てしまったのかとさすがにビビった。
急いでベッドを飛び出し、リビングに赴く。
そこにはラップをかけられた朝食が用意されており、書き置きも残っていた。
賭けに負けて一ヵ月娼館にいた……と言った途端、弟の目の色が変わった。ナダルに対して敵意剥き出しになり、「兄上の分までボコボコにしてやる!」と意気込んでいた。
それで風邪をひいて襲撃されていたら本末転倒だが、必死に鍛錬していた理由を思えばあまり強く注意はできない。
「……大丈夫。お前のことは私が必ず守ってあげる。だからお前は無理しない程度に、自分の道を突き進みなさい」
そう囁き、フレインは静かに寝室を出た。そしてリビングで愛用の太刀をチェックした。手入れは完璧である。
――さて……ゴミ掃除に行ってこようかな。
アクセルに気付かれないよう、音もなく家を出た。
そして夜道を歩いて娼館に向かうと、従業員に尋ねて先程弟を襲撃した人物を特定した。
***
「ん……」
翌朝、アクセルはいつもよりだいぶ遅く目を覚ました。起き上がった途端、パサ……と額から乾いたタオルが落ちた。
自分で額に手を当ててみたが、もうすっかり元通りに思える。やはり疲れからの微熱だったみたいだ。たいしたことなくてよかった。
――……って、今何時だ?
慌てて時間を確認したら、午前九時をとっくに過ぎていた。そんなに寝てしまったのかとさすがにビビった。
急いでベッドを飛び出し、リビングに赴く。
そこにはラップをかけられた朝食が用意されており、書き置きも残っていた。
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