転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第22章~トーナメント・第五死合い~

第52話

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「兄上が何をしようと、俺の気持ちは変わらない。これからもずっと兄上のことが好きだし、兄上が拒否しない限りずっと側にいる。……俺が言いたいのは、それだけかな」
「……そうかい」

 ここでようやく兄はグラスを置き、こちらに向き直った。

 様々な感情が入り混じった複雑な表情をしていたが、どこか吹っ切れたようにも見えた。

「……まあ、いいや。お前は元々そういう子だもんね。素直で純粋で、超がつくほどのお人好しで、ヴァルハラに来ても人をあまり疑わない。私とはあまりに正反対すぎて、時々理解が追い付かなくなるよ」
「う……。なんかそうやって言われると、かなりアホの子のように聞こえるんだが……」
「でも、だからこそ愛されるんだよね。放っておけないというか、つい守ってあげたくなっちゃう。いつまでも頭お花畑なのはよろしくないけど、かといってすぐに人を疑うようになったらお前じゃないし。お前が純粋で綺麗なままでいてくれるから、私も必要以上に暴走せずに済むのかもしれないね……」

 兄はしみじみと続けた。

「……それにお前、こういう時に嘘つかないし。いつも正直な気持ちを伝えてくれるから、本当に私のこと好きなんだなってわかる。私はそこそこ疑り深いから、お前の素直な言動は実にありがたいよ」
「いや……俺の場合、単に嘘をつくのが下手なだけな気が……。というか、自分の気持ちってちゃんと口に出さないと伝わらないだろ。以心伝心も素敵だけど、やっぱり大事なことは直接言いたいというか」
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