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第6話
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(今回の薬は絶対世に出せませんからね、博士……)
そんなことを考えていたら、店の曲がり角を出たところで、急に飛び出して来た子供とぶつかってしまった。十二、三歳くらいの少年だった。大人しそう……というよりは、年齢相応の元気がなく、顔色もやや悪いように見えた。
その少年はぶつかった反動で転倒し、持っていた買い物袋を勢いよく落としてしまった。
「ああ、申し訳ない。私のお世話係がボーッとしていたせいで」
直人が謝るより先に、夢野博士が少年に手を差し伸べた。
「あ……いえ、すみません……。こっちこそ急いでて前を見てなかったので……」
少年は急いで立ち上がると、買い物袋を拾い上げた。そして中を覗き込み「あっ」と短く声を上げた。
「おや? どうかしたのかな?」
「卵が……」
泣きそうな顔で少年が呟く。どうやら買ったばかりの卵が割れてしまったようだ。
それを見て、博士は大袈裟に怒ってみせた。
「直人くん、きみはなんてことをしてしまったんだ。これはきっちり弁償するべきだ。今すぐ新しいものを買ってくるべきだ」
「あ、はい……わかりました。じゃあ、ちょっとここで待っていてくれますか」
「いや、でも、あの……あまり時間がなくて……」
チラチラと少年が腕時計を見る。その目が少し怯えているようだった。遅くなると怒られてしまうのか、余程急いでいるらしい。
「おお、ピンと来た! こんな時こそ、私の薬の出番だ」
夢野博士は直人に預けていた鞄をひったくった。中をゴソゴソ漁りながら少年に言う。
そんなことを考えていたら、店の曲がり角を出たところで、急に飛び出して来た子供とぶつかってしまった。十二、三歳くらいの少年だった。大人しそう……というよりは、年齢相応の元気がなく、顔色もやや悪いように見えた。
その少年はぶつかった反動で転倒し、持っていた買い物袋を勢いよく落としてしまった。
「ああ、申し訳ない。私のお世話係がボーッとしていたせいで」
直人が謝るより先に、夢野博士が少年に手を差し伸べた。
「あ……いえ、すみません……。こっちこそ急いでて前を見てなかったので……」
少年は急いで立ち上がると、買い物袋を拾い上げた。そして中を覗き込み「あっ」と短く声を上げた。
「おや? どうかしたのかな?」
「卵が……」
泣きそうな顔で少年が呟く。どうやら買ったばかりの卵が割れてしまったようだ。
それを見て、博士は大袈裟に怒ってみせた。
「直人くん、きみはなんてことをしてしまったんだ。これはきっちり弁償するべきだ。今すぐ新しいものを買ってくるべきだ」
「あ、はい……わかりました。じゃあ、ちょっとここで待っていてくれますか」
「いや、でも、あの……あまり時間がなくて……」
チラチラと少年が腕時計を見る。その目が少し怯えているようだった。遅くなると怒られてしまうのか、余程急いでいるらしい。
「おお、ピンと来た! こんな時こそ、私の薬の出番だ」
夢野博士は直人に預けていた鞄をひったくった。中をゴソゴソ漁りながら少年に言う。
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