~soul~

むささび雲

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最後の魂の願いー最終ー

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私は白衣を着た存在に問う。
「私が決めるってどういう…」
「一つの世界を元通りにするには、聖なる魂の力が必要となります。あなたは暗黒世界で最後たった一人…生き残りました。その最後となる者が、方法を生み出せるのです」
「生み…出す?」
静かに頷く白衣を着た存在。
「現時点で方法はありません。ですが、あなたが生き残り死後の世界へ帰って来てくれた事により暗黒世界を元通りにする方法をあなた自身が決める事が出来る…つまり、あなたが最初で最後の生還者、理解できますか?」
そう聞かれ私は頷く。
「…うん。分かった」
「それでは、どういたしますか?」
「私…今まで何度も何度も転生して沢山たくさん出会いと別れを体験して大切なものだって出来た。」
うんうん、と白衣を着た存在が聞いてくれる。
「そりゃ…大事な人を失って守る事も出来なかったし分からない事も最後まで理解できなかった。けどね、もう十分かなって。ねぇ、パフティールさんは向こうの存在の化身っていう人と繋がってたみたいなの…それってあなたでしょ?」
一番に気になっていた事…パフティールさんが向こうの存在という人の化身だって。その正体がずっと引っかかっていた。
「レイ、あなたの予想通り…私がコンタクトを取っていました。あなたが何度か聞いたあの声も私です。パフティールも以前は人間でしたが憎しみや怒りのエネルギーが彼の魂という器から溢れてしまった…だから存在してはいけない世界が創られた。」
パフティールさんも、人間だった頃があったのね。ベラさん達にもあるって言ってた。もしかしたら…暗黒世界というのは沢山の憎しみを抱いてる魂たちが集まる場所、だったのかもしれない。
「だからって消えるべき世界や存在なんてないよ!!」
「レイ、あの世界で最後に生き残れた者の魂に、どんな不可能な願いも叶える事が出来る力があります。」
「私…自分の魂をかけて暗黒世界を蘇らせたい。私の魂は消えてもいいから世界を戻して!!」
「……!」
自分の魂はもう分かっていました。私の全てをかけたなら消えてしまった世界を戻せると。
「それではレイの魂や存在が無かった事になってしまうかもしれないのですよ!?」
「ベラさん達は私を命かけて守ってくれた。だからさ、それなら私は魂をかけてベラさん達を生き返らせてあげたいんだ。自分自身の存在と引き換えに暗黒世界を……」
自分の両手を組み合わせた瞬間に今までに感じた事のないくらいの強く優しい光に包まれる。
「レイっ……!」
白衣を着た存在が視界から解き放たれる光で見えなくなる。魂は私に、もうすぐ消えますよと伝えてくれている。
そして……。












「ううん…暗黒世界なんて名前じゃなくてソウルって名前の世界にしよう。憎しみを持った魂たちが、これからは心から人間を光を受け入れられるように…もう誰も犠牲にならないように私で最後にする。そしてまた一つ、光が愛が溢れる世界が生まれるんだよ」

私の魂は消えてしまう。けど…その代わり、ベラさん達の世界は元通りになる。いや、新しい世界になって生まれ変わる。
大丈夫…パフティールやベラさん達は光の人として光の世界ソウルを変えていって。


おしまい
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