~soul~

むささび雲

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帰還

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「暗黒世界は………滅びる」







そう言い残すパフティールさんの全身から黒い光が放たれる。
「レイ!お前は早くダンスホールを出ろ!」
「豹さんはっ!?」
「私は……」
一瞬だけ口籠る豹さんだけど。
「私はパフティールと共に、この暗黒世界と滅び去る。最後は…お前とベラの熱い感動をこの瞳にしっかりと焼きつかせてもらった!私も本当の大切な何かを知る事が気づく事が出来た。」
「豹、さん…」
パフティールさんから放たれる黒い光は豹さんをも包み込み、このダンスホールが歪み出す。
豹さんは…。

「ありがとな、レイ」

と言い、私の視界が再び真っ黒になる。



「……イ」
「…んん…」
「…レイ」
ん。また声がする。
目をゆっくりと開くと私を見下ろしている人物がいた。
「はっ…!」
「おめでとうございます。よく戻って来れました」
その正体とは、私が前世で死んだ時に迎えてくれた白衣を着た存在だった。
「私、生き残れたんだ…」
「ええ。あの世界は…残念ながらもう存在できなくなりました。」
「……!」
「あなたは、あの世界で大切な事を幾つも学びました。神様もお喜びになっていますよ」
あの時の笑顔は変わらない。
優しく私の身体を抱きしめてくれる。
無事に死後の世界に帰って来れたようだ。
「あの!!」
「…はい?」
キョトンと目を丸くし首を傾げた白衣を着た存在。
「暗黒世界で消えてしまった魂は戻って来れないの!?私…どんな世界があろうと存在を無かった事になんて出来ないよ!大切な人達が皆…みんな…私を庇って死んでしまった…」
「レイ…」
今までの前世の記憶や暗黒世界で過ごした記憶が蘇ってくる。沢山の出会いや別れを身を持って知った。だから余計、消えてしまった暗黒世界を取り戻したい。
「お願い!!ウルージャさん、ヒュータさん…ベラさんやパフティールさん…豹さん達の魂を元に戻して!」
「それは…」
「このままじゃ終わり切れない。また……!」
「レイ」
必死に暗黒世界を取り戻して欲しいと訴える私を真剣に見つめる白衣を着た存在。
「確かに、あなたの思う通り…世界が一つ消えてしまう事はあってはならない。しかし、あの世界を創り上げた者は言っていましたね。暗黒世界には意味など無いと…」
「それなら私が意味を与えるよ」
「…!」
私は目を閉じて暗黒世界で過ごした記憶を思い出して意識を集中させる。

ベラさん、ウルージャさん、ヒュータさん…最初に私を見つけてくれたのはあなた達だったね。そしてそこから短かったような長かったような、分からないけれど新しい物語が幕を開けた。一人じゃどんな世界でも生きていけない。
そして、誰かが守り守られて生きている。
深い深い哀しみが繰り返しても大丈夫なように次なる出会いが待っている。私達をずっとずっと未来が見ててくれてる。
離ればなれになろうと必ずまた会えるって。
誰もがきっと信じているから。

「レイ、一つだけ…あの世界を再び存在させる方法があります。」
白衣を着た存在が言う。
「本当!?」
「はい。あなたを見守る神様からのメッセージです」
「教えて!お願い!」
私は必死になりながら暗黒世界とベラさん達を復活させる方法を聞き出したかった。
「その方法は……」




一旦、目を静かに閉じた白衣を着た存在。そしてもう一度、目を開く。




「あなたが決めるのです」



え……?
私が決める?
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