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ハニー編
怪人のお兄さん
しおりを挟む私は、ハニーっていうの。悪の組織?の子供として産まれたみたい。今は沢山のことに興味を持って色んなことにチャレンジしてる。
けど…自分が怪人だってことがよく分からない。
あんまりママやパパから教えられていないけど、人間とは違う生き物だってことを教えられた。
ちなみに私はシマリスの怪人で大きい尻尾が特徴的。周りからは、身体が小さいとか戦闘能力が身につきなさそうだ…とか言われてる。
正直に言うと、この大きいな尻尾が邪魔って思う時がある。それはリスの特徴だから仕方ない。
「はぁ……」
ため息をつきながら今日は短い足でアジトの広いお庭をお散歩してると…。
「おー…お前、ハニーだっけか。」
向こうから同じ悪の組織で働いてる怪人のお兄さんが私の存在に気づいて歩いてくる。
うぅ……怖い。
自分自身も怪人という姿なはずなのに、どうしてか悪の組織で働いてる怪人さんたちに恐怖心を覚えるようになっていった。
赤ちゃんの頃は他の怪人さんたちについて何となく大丈夫だって怖くないよって思っていたのを、うろ覚えだけど覚えている。
でも…今になって物心がついてしまったせいか、とにかく怖い。そう感じるばかり。
どうしよう…怖い…!
「怖がらせちまったか…まあ仕方ねぇよな。俺こんな、おっかなねー姿だし。」
「え…」
怪人のお兄さんは私の目の前で足を止めた。
それで小さい身体のせいか怪人のお兄さんがしゃがんで私の頭を撫でた。
「悪りぃな、怖がらせて。けどな俺は別に食ったりしないからよ。安心しな」
「…あ…あの……」
「へっ、リス型の怪人なんて弱そうだな。」
確かに、このお兄さんは他の皆が怖がりそうな姿をしてる。だってリアルな熊さん怪人なんだもん。でも…なんだかちょっぴり悲しい。
この気持ちは何だろう?
もしかして…お兄さんの気持ち?
そう直感的に感じた、気がした。
………って、弱そうって。
……また言われた。
「…お兄…さんは…」
「ん。」
「悪い人じゃ、ないよ。頭…撫でてくれて…ありがとう」
私は、怪人のお兄さんは心からの悪い人じゃないって思う。悪の組織で働いている人の中にも、怪人のお兄さんみたいに優しくしてくれる怪人さんたちがいるってことを私、知ってるから。
だからもう怖がらない。ありがとうって伝えた。でも怪人のお兄さんの頭を撫でている手が少し震えているような気もした。
「お兄さん…?」
怪人のお兄さんは今度は私の身体を優しく抱きしめる。
やっぱり…さっきの悲しい気持ちは、怪人のお兄さんのものな気がしてしょうがないよ。
「ハニー…ありがとうな。弱そうとか言ってごめんな…弱いのは俺自身だ。どんなに力が強くたって心が弱けりゃ意味無いよな。」
怪人のお兄さん…。
抱きしめてくれる怪人のお兄さんの顔は見えないけど、なんか身体の何処かに濡れた感触がする。もしかして涙?とても生温かい。こんなに大きな身体をしてるのに、怪人さんも見た目では判断できないってことかもしれない。
しばらくして、怪人のお兄さんは私の身体を離し立ち上がる。
「ハニー、お前は小さいのに心の器は大きいんだな。感じたぜ…お前の純粋な優しさをな。」
「…うん。」
「あっ!そうだ、あんまアジトの外には出ない方がいい。外にはなぁ…危ない事が腐るほどあるからな、まあ気ィつけろや」
「…分かった…」
そして、熊怪人のお兄さんは手を振って立ち去ってしまった。
結局なんだったのか分からないけど…あのお兄さんのことは怖くなくなっていた。
私はもう一度、ありがとうと心の中で呟いた。
熊怪人のお兄さんと別れたあと私は忠告された通り、アジトのお庭をお散歩するのをやめて中へ戻った。やっぱりアジトの中は無機質でお庭とは違う。お庭にはカラフルなお花がたくさん咲いているし珍しい昆虫もいる。
実を言うと、もっとお庭にいたかったな。
そんなことを考えながら自分の部屋に向かうと…。
「あら、ハニー!もうどこ行ってたの~?ハニーが部屋にいないからビックリしたじゃない…」
「うっ…ママ…ごめんなさい。」
今、私を抱き上げているのはママ。
ママもリスの怪人さんで私より背が高い。戦闘能力だってママの方が強いの。もちろん…パパもリスの怪人さんだよ。家族揃って同じ種類の怪人さん。見た目は……やっぱり怖いけどね。
「ハニー、まだ慣れないの?」
「…うぇ…」
「ママもパパもハニーと同じ、リス怪人よ?一緒でも怖いって気持ちになるの?」
「……う、うん。」
ママやパパには、とっても申し訳ないけれど…怖いものは怖い。さっきの熊怪人のお兄さんには、すぐに慣れたのに。何が原因なんだろう。
ふと考え込む。
そんな私を見てママは私を抱き上げたあと、抱きしめてくれた。
「ごめんね…ハニー。怖い気持ちなんか誰にでもあるわよね、けどその恐怖心を乗り越えなきゃ悪の怪人として、ハニーにとって怪人は恐怖の対象かもしれない。けど、このアジトにはただでさえ沢山の怪人たちがいるのよ?ママはね…ハニーに強くあって欲しいの。」
今度はママの方が申し訳なさそうに話す。
ママは私の怖がりな部分を理解してくれてる。
でもいずれは怖い気持ちを乗り越えて一人で戦えるようにならなきゃならない。
そう、正義の味方っていうヒーローがいる限り。
怖い気持ちもあるけど強く優しい私になりたい、そう思った今日この頃だった。
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