心の隙間に入り込むホラー短編集

Wataru

文字の大きさ
5 / 15

削除しても増える、寝ている私の写真

しおりを挟む
 最初に気づいたのは、通勤電車の中だった。

 スマホの写真フォルダに、見覚えのない画像が入っている。

 ベッドで眠っている、自分の写真。

 部屋着のまま、無防備に寝ている姿。

「……なにこれ」

 撮った覚えはない。

 誰かに撮られた記憶もない。

 気味が悪くなり、その場で削除した。

 だが翌朝。

 同じような写真が、また増えていた。

 角度が少し違う。

 昨日より、近い。

 寝ている自分の顔が、よりはっきり写っている。

 背中に冷たいものが走った。

 部屋は一人暮らし。

 鍵も閉めている。

 誰かが入った形跡もない。

 それでも写真は、毎日増えていく。

 眠る自分。

 横から。

 足元から。

 顔のすぐ近くから。

 耐えきれず、防犯カメラの設置も考えた。

 だがその前に――決定的な写真が追加された。

 洗面所の鏡越しに撮られた一枚。

 そこには、眠る自分と――

 スマホを構える、知らない女が写っていた。

 青ざめて、スマホを落としそうになる。

 誰だ。

 どうやって部屋に入っている。

 なぜ気づかなかった。

 震える指で、その写真を拡大した。

 女の顔が、はっきり映る。

 そこで、気づく。

 鏡に映ったその女は、

 今、スマホを持っている自分と、

 同じ顔をしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

【完結】あなた方は信用できません

玲羅
恋愛
第一王子から婚約破棄されてしまったラスナンド侯爵家の長女、ファシスディーテ。第一王子に寄り添うはジプソフィル子爵家のトレニア。 第一王子はひどい言いがかりをつけ、ファシスディーテをなじり、断罪する。そこに救いの手がさしのべられて……?

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

夫に愛想が尽きたので離婚します

しゃーりん
恋愛
次期侯爵のエステルは、3年前に結婚した夫マークとの離婚を決意した。 マークは優しいがお人好しで、度々エステルを困らせたが我慢の限界となった。 このままマークがそばに居れば侯爵家が馬鹿にされる。 夫を捨ててスッキリしたお話です。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った

しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。 彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。 両親は彼の婚約者を選定中であった。 伯爵家を継ぐのだ。 伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。 平民は諦めろ。 貴族らしく政略結婚を受け入れろ。 好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。 「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」 待ってるだけでは何も手に入らないのだから。

処理中です...