茶と菓子を愛する犬神と信州のあやかし軍師

クナリ

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「赫の王」との闘い3

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 雷蘭の鳴き声が、茉莉たちの上から聞こえてきた。
 千哉が手筈通りに動いたという合図だった。

「切風さん、上手く進んでるみたいですっ!」
「よおおーし、おれたちも急ごうね! 茉莉は舌噛まないよーに!」

「は、はい……ひえええっ」

 切風率いる第三軍は、道なき道、それも下り坂を駆け抜けていた。
 いや、正確に言うと、道はある。だが、獣が一匹か二匹そこを踏んだかというくらいの、下草の分け目程度のものだった。
 もし『赫の王』軍の斥候がこの道を見たとしても、道だとは思わなかっただろう。よしんば小柄な妖怪が見つけたとして、命令系統の最上にいる熊にとって道とみなせなければ、まず無視される。
 それでも、霊気の通う道筋にはなっており、誰も通ったことのないところを通るよりも、格段に速度が乗る。少なくとも、犬、鹿、猪などの怪異にとっては。
 茉莉は、手綱というよりもほとんど朔日の首にすがりついていた。バイクで山の中を疾走しているのと変わらない。木立や枝をすんでのところでかわすので、顔のすぐ真横数センチのところを鋭い枝がかすめたりする。
 だが、これこそが、土地の妖怪から聞き出してワタヌキとともに検討を重ねた、真の奇襲のための一本道だった。
 周りの信州妖怪は、人間に化けられる者も、さすがにほとんどが獣の姿で駆けていた。
 そんな中を、切風だけが相変わらずの二本足――しかも和装――で、そのくせほかの誰よりも速く疾駆する。

「茉莉、ごめんね。これからおれはいよいよ、君を恐ろしく怖い戦場に連れていく」
「そっ、それはあああっ! 私が、望んだ、ことですからああああっ!」

「でも、必ず守るよ。敵を倒す。君を守る。両方やる。そういう戦いがしたくておれは、力を身につけたんだ」
「切風さん……っ」

 自分よりも切風こそ思い詰めているのではないか、と思ったものの、茉莉は上下左右に激しく朔日の上で、物思いにふける余裕もなかった。
 そして、直後。
 茉莉たちの下方に、視界が開けた。地表から五メートルほどの高さの、崖に近い斜面の上で、茉莉たちは敵陣を一望した。
 そこには、大きい者から小柄な者まで、様々な体躯を持つ妖怪が、ぞろぞろとうごめいていた。
 少し先に、巨大な輿が見える。その横には、これも巨大な帷幕があった。その周りに、見るからに屈強な熊の怪異が数十匹、うろついている。
中でもひときわ強力だということが、その発する妖気でいやでも分かってしまう首領格が一匹、帷幕のすぐ横に控えていた。
 帷幕の外にいるなら、総大将ではないだろう。ならばあれが、六士というやつか。茉莉はそう見当をつける。
そして、人間にしては鋭い程度の茉莉の霊感が、帷幕の奥にさらに強大な存在がいるのを伝えてきていた。あそこに、『赫の王』が、いる。

「見てよ、茉莉。君の狙い通りだ。この本陣に、敵がせいぜい三百かそこら。四千もいる敵の、真ん中がだよ」
「はい、……やりました。これで、私たちの三百と、数の上では五分です」

 切風が、声を抑えて笑い出す。

「なー、ほら、見ろよ成家のやつ、なにが戦術の専門家だ、あの素人。おとなしく特攻隊長やってろ、ていうかもーたまには死なない程度にやられちゃえばいい」
「そこまでは思いませんけど……。ともあれ、次は雷蘭さんの連絡待ちです」

 雷蘭のほかにも空が飛べる妖怪はいるのだが、人間と話しているのと同じ水準で意思の疎通が可能なのは、雷蘭くらいだった。
切風軍の幹部たちが、人間と変わらない接し方で茉莉が違和感を覚えないのは、妖怪としての格がかなり高い者の集まりだからだということは、茉莉は切風から聞かされた。

「それまでは、身を潜めていないと……。すみません、もう少し力を貸してくださいね、さっくん」

 ややあってから、自分に言われたのだと朔日が気づいて振り返った。ツイタチだというのにさっくんと来たか、と。



 阿智川を挟んで、切風軍の第一軍と、『赫の王』軍の前陣とが対峙していた。
 そして、開戦する。
 鬨の声を上げて、すばしっこいカマイタチを先頭に、狐やテンが駆け出した。
『赫の王』軍も柵を盾に閉じこもる気はないらしく、一団が陣から出てくる。
 そこで、紺模様が、犬妖に指示を出す。

「矢、つがえ。まだ撃つなよ」

 人型をとっている犬妖の動きは、一糸乱れない。
 狐たちが、川を渡り、敵軍と接敵した。ただし狐たちは、あまり無理をしないで、身軽さを生かして可能な限り打ち合わずに膠着させろと指示を受けている。
 やがて、焦れたらしい熊の怪異が数匹、柵から出てきた。
 旗本だ。
 妖気の圧が、雑魚とは違う。
 彼らは、ひょいひょいと前線で軽業のごとく立ち回っている狐を打ち払うべく、まっすぐに突撃してきた。
 それを充分引き付けてから――

「今だ! 一斉射、中央の敵旗本!」紺模様が叫ぶ。

 一斉に矢が放たれた。
 そして、一本たりとも外れずに、旗本たちを一瞬でハリネズミのようにしてしまった。
 熊の巨体が、どうと倒れる。
 戸惑う敵に、狐たちが、今度は深く踏み込んで爪や牙を浴びせた。
 劣勢を見て取った新手の旗本が、またも数匹飛び出してくる。

「一斉射、右翼の敵旗本!」

 同じ光景が再び巻き起こる。
 柵の向こうには、この前軍の大将格であろう熊が二匹いる。六士とやらのうちの二匹だ。それが妖気で分かるのだが、彼らも激しく動揺している、と紺模様には感じられた。
 紺模様の傍らで、敵だけでなく伊織もまた舌を巻いていた。味方ながら、さすがにこれほど正確な弓術があるとは、思ってもいなかった。成家も、口をあんぐりと開けて、「や、やるのう」などとつぶやいている。
 いくら犬妖がいるといっても、この第一軍は、熊どもと血みどろの死闘を繰り広げると思っていた。だが、切風が妙に自信ありげに紺模様たちを送り出したのは、この技術があったからなのか。
 そんな伊織の頭の中を読み取ったように、紺模様が、
 
「切風様が、かつて我らを率いるのおやめになる時に、餞別代りにと叩き込んでくださったのです。つい最近ですからな、古参の妖怪でも、それを知らない者は多くございますよ」
「切風殿が、ですか?」

「さよう。妖怪の戦は、身を顧みず乗り込んでの嚙む殴るがほとんど。しかし切風様は、弓射術を極めれば、己らは傷つかず、また敵も早く引き上げるであろうとみて、我らにこの技を授けてくださったのです」

敵がやや大人しくなったので、射ち方をやめる。
やがて、このままではいけないと業を煮やしたのか、一団の妖怪がしゃにむに突っ込んで、川を越えようとしてきた。弓の射程を潰してしまえばかたがつくと読んだのだろう。
紺模様は落ち着いて、川の半ばあたりに差し掛かった者に集中攻撃した。芸術のような斉射が、一団を残らず、川を超える前に屍に変えてしまう。

切風軍が優勢だった。
しかし単調な攻撃を繰り返すだけでは、いずれ逆転される。
しびれを切らした六士が、犠牲をいとわずに全軍で突っ込んでくれば止めようがない。

「行きます」と伊織。
「お頼み申します」と紺模様。

伊織は、カマイタチの一団を引き連れて、水面を滑るように川を渡り、一陣の風のように敵に突っ込んだ。
川のほとりで攻めあぐねていた敵兵に、片っ端から尾の鎌を振るう。
鮮血が舞い、川面を赤く染めた。
そして組織的な反抗を受ける前に、さっと引き返してしまう。敵を絶命させるほど深く切り込めば、捕らえられる恐れがある。
単に弓射を繰り返すのではなく、時に直接切り込む。この繰り返しを成功させてこそ、本当の膠着は生まれる。
茉莉とワタヌキの狙い通りだった。

 成家が歓声を上げた。
「おおー、やるのう、カマイタチの! どーれ、わしも一つ武者働きしてくるかのう!」

「ああ、いえ!」と押しとどめたのは紺模様だった。「成家殿は、我らの切り札! 今少し、陣にて温存させてください!」
「む、そうか? しかしそうじゃな、切り札は後に切ってこそ決め手になる。わしが出るにはまだ早いか」

 ええ、とうなずきながら、紺模様は胸中で嘆息した。切風からは、成家を絶対に単騎突撃させるなと言われている。
 成家の戦闘能力は決して高くない。むしろ低い。なぜ今日まで数多の戦場を経ながら生き残っているのか、不思議なほどに。
 しかしだからこそ、兵から妙な尊敬を集めてしまうところが、成家にはあった。そんな武将が万一打ち取られてしまったら、一気に形成が傾きかねない。
 動かないことが一番の貢献。そんな戦士もいるのだ、と紺模様は変に感心してしまった。そして、そんな場合ではないと慌てて気を引き締める。
 なにしろ、この膠着状態は、こちらに矢がある間しか保つことはできない。その間に敵中枢を破壊できなければ、最強の熊軍団を相手に敗北は必至だ。

 そんな時だった。
 切風と茉莉率いる第三軍が、崖を一息に下って、『赫の王』目掛け致命の一撃を繰り出したのは。



 茉莉の眼前に、凄まじい勢いで、地面が迫っていた。悲鳴を必死で抑え、歯を食いしばる。
 さほど大きい崖ではない。茉莉の高校の校舎でいえば、三階程度の高さだった。しかし、もちろん、こんな高さを飛び降りたことはない。
 一瞬で、朔日は地面に到達した。茉莉以外は、切風含め、全員自分の足で着地している。
 そして鬨の声を上げた。
 驚いた敵軍が、一斉にこちらを向く。
 切風が、構わず叫んだ。

「よし、行くよお前ら! 構え――」

 犬妖たちは、犬の姿でも弓が引ける。横倒しになって宙に浮いている弓に、口でくわえた矢をつがえ、引き絞った。

「――撃て!」

 切風の指さしたほうへ、銀色の光が走った。
 狙われたのは、旗本だった。切風は、立ち居振る舞いや妖気の強さから、どの敵を狙うかを瞬時に判断し、斉射を指示していく。
 雑魚を狙っても仕方ない。また、あまりに強力すぎる敵は、犬妖の射撃でも瞬殺できない。それなりに強いが、矢には対応できない程度の腕前の者。切風の正確な選別はてきめんに奏功し、次々と、瞬く間に十匹近い旗本が絶命した。体が黒い灰に変わり、中空に消えていく。
 だが、まだ有利とは到底言えない。体勢を立て直した熊の群れに包まれれば、勝ち目はない。

「茉莉!」
「はいっ!」

 切風と、朔日に乗った茉莉が、帷幕に突っ込んだ。
 その前に、六士の一角、オロソギが立ちはだかる。

「てめえら、どこから現れやがった! くらえ……」

 オロソギが腕を振り上げたが、切風は、構わずその横をすり抜けた。

「なんだあ!?」
「お前の相手をしてる暇はねえんだなあ!」

 切風の目の前に、帷幕が迫る。中には『赫の王』軍の総大将、恒河沙がいる。
 切風の速さを知ったオロソギは、顔色を失って追いすがった。追いつきさえすれば、熊の自分は、どうやら犬妖らしいこの小僧をどうにでもできる。
 オロソギは必至で駆けた。そのかいあって、切風の背に、爪が届きかけた。その胸中に、安堵と歓喜が湧く。
わざと速度を落として追いつかせた切風の手には、すでに、黒い剣があった。
 オロソギが、とっさに、顔面と心臓を両腕でかばう。それによって視界がふさがれた。切風の太刀筋は、全く見えなくなる。
 切風は満身の力を込めて、オロソギの野太い両足を薙ぎ払った。足は二本とも切断された。
 巨体がどうと地面に倒れる。見開かれた目には、月のない暗い空と、黒々とした三日月のような剣を掲げた男が映っていた。

「てめ……え……」
「なんだよ。急いでんだけど」

「おれの相手は、しないって……」
「ああ、それ嘘。じゃないと、お前とあの中の大将に挟み撃ちにされちゃうからさ、おれ」

 さらになにかを言いかけたオロソギの眉間に、牙が突き立てられた。
 それきり、六士の一角は静まり、黒い灰に変わった。

「行くよ、茉莉。離れんなよ」
「は、はい……あの」

「なに?」
「もしかして切風さんて、ものすごく強いですか……?」

 かもね、と笑って、切風が帷幕に向かう。茉莉とワタヌキにすれば、敵総大将を守る幹部を一方的に圧倒して屠れるかどうかは、一種の賭けだったのだが(なお切風は「まあ大丈夫っしょ」と笑っていた)。

 切風と茉莉の背後は、弓を構えた犬妖が守り、彼らを取り囲もうとする軍勢を威嚇していた。
 敵は、矢を放たれても対応できる程度の距離を保っている。犬妖たちの射撃精度を見せつけられただけに、しゃにむに突っ込んでは来ない。
 茉莉は、ここでも一つの賭けに勝ったと思った。『赫の王』が、カリスマではなく、恐怖政治に近い形で軍を統制していれば、命令系統を絶てば己を捨てて突っ込んでくる敵兵はいないかもしれない。そうなれば、『赫の王』を討つのは格段にやりやすくなる。
 ただしこれは、敵兵たちが、『赫の王』の力に絶対の信頼を置いていることも意味している。
 どの道『赫の王』が倒れてしまえば、自分たちも敗残兵に成り下がるのだから。

「茉莉、朔日から降りるなよ」
「はい……私が自分で動くより、さっくんのほうが絶対機敏ですもんね……。切風さんから離れすぎるわけにもいかないですし」

「よし。この帷幕、かっさばくから茉莉は――」

「なるほど。この中央の軍を手薄にするための陽動。そのために火煙を見せたのか」

 低く唸るような声は、帷幕の中から響いたはずだが、茉莉には、地面が声を発したのかと思えた。
 切風が、帷幕を真横に薙ぎ払う。
 だがそれより早く、帷幕が真上に吹き飛んだ。
 中には、小山のような影がたたずんでいる。

「いいぞ。……貴様、『牙の王』だな。王同士、心おきなく戦おう……」
「どーも。言っておくけどさ、お前はもう、おれたちの計に落ちたぜ。あとはその首を落とすだけだ」

 敵の焦りを狙った挑発が空振りに終わったのは、茉莉にも分かった。『赫の王』はよだれを湛えた唇をめくらせて、静かに唸っている。

「我は恒河沙よ」
「切風だ」

 名乗りあって、切風が黒色の牙を下段に――珍しく――構える。
 その足が地を蹴った。
 茉莉が、朔日の背に乗ったまま、体を緊張させた。
 切風からは離れられない。牙が彼の手から消えてしまう。
 かといって、切り結ぶ二匹の総大将に近づきすぎてもいけない。茉莉の体など、『赫の王』の爪がかすっただけでひしゃげて潰れてしまうだろう。
 息をのむ軍師の眼前で、暴風雨のように、『赫の王』の両腕が振り回され出した。
 本来は、切風が挑むより前に、弓の一斉射を撃ち込むつもりだった。
 だが、最強の熊の変化の霊力は、その戦術を試す意欲すら、切風軍から奪っていた。
 いくら矢を撃ち込んでも、こいつは倒せない。切風の手でしか、勝利をつかむことはできない。
 この戦いで最大の任務を背負った部隊の全員が、今やそれを悟っていた。
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