あやかし職業訓練校は税金で運営されています!

クナリ

文字の大きさ
9 / 23

3

しおりを挟む
 お昼休憩の後の事務所で、私は燎火から、連絡が取れなくなった中途退校者の対応について教わっていた。

「できるだけ知らんぷりを決め込まれないよう、基本、相手が何らかのアクションを起こさざるを得ない方法で連絡を取ることになる。たとえば、電話は出なければそれまで、メールやメッセージアプリはブロックされてしまえばそれまでだから、連絡手段としては少し弱い。これは人間も妖怪も変わらねえな」

「でもほかに、連絡手段って……あ、郵便?」

 住所がある妖怪もいる、って話だったっけ。

「そうだ。内容証明送ったり、簡易書留で『いついつまでにこれに返事をよこさないなら、退校届にサインしたものとみなします』と勧告したり」

「『サインしたものとみなしますがよろしいですか』とかじゃなくて、そんな一方的な言い方でいいの?」

 本当はそうすべきなのかもなあ、と燎火は苦笑して、

「意思表示するのが面倒くさいって音信不通になってるようなやつ相手に、そこまで気を遣ってやる必要ねえよ」

「……なんだか私、なるべく面倒くさがらずに行動しようっていう気になってきた」

 いいことじゃねえの、と燎火が笑って、コーヒーを入れに給湯室へ向かう。
 その時、玄関のドアが開いた。
 妖怪よりも目立つ金髪のボブが、踊り込んでくる。

「いや~、忘れ物しちゃったあ!」と入ってきたのは、果たして粕村さんだった。

 ちょうど、カウンターで峰内さんが、派遣登録はしているけどなかなかマッチする職場がなくて悩んでいる女性の応対をしていた。
 女性はどうやら妖怪のようで、深緑色のロングヘアの内側がなにやらもぞもぞと不規則にうごめいている。
 粕村さんが、なぜかそこにふらふらと寄っていった。

「アレッ、君派遣社員? 大変だよね~、女性妖怪はなかなか正社員になれなくて」

「粕村! 横から、いい加減なことを言うな」

 がたん、と峰内さんが立ち上がる。
 女性はおろおろと峰内さんと粕村さんを見比べて、

「そ、そうなんですか? でも私、派遣のほうが自分としては働きやすくて……」

 峰内さんがフォローする。

「正社員も派遣も、それぞれに特徴、メリットとリスクがありますから、希望される働き方をされればいいんですよ。それをお手伝いするのが我々ですから。……粕村、お前自分の仕事してろ」

「はいはーい」そう言った粕村さんはすっとかがみ込み、女性の横で耳打ちするように、「やかましいねー、このヒト」

「粕村ァ!」

 気色ばんだ峰内さんに、事務所内が緊張する。……黒芙蓉支店長は外出していた。
 峰内さんは相談者の前でそれ以上ことを荒立てることもできず、粕村さんに「行け」とだけ言って座った。努力して営業スマイルを浮かべ直したけど、こめかみには血管が浮いている。

 粕村さんは自分の――例の――デスクの前に行くと、山積みの書類が見えていないかのように、引き出しからお菓子をいくつか取り出した。……あれが、忘れ物?
 思わずそれをじっと見てしまっていた私のほうに、粕村さんがふいと振り向く。

「あれー有栖ちゃん、ぼくのこと見てた?」

 粕村さんが、つかつかと私のほうにやってくる。そして、

「はい、どーぞ」

 と、右手を差し出してきた。その手はこぶしに握られている。
 いかにも、その手の中にあるものをあげる、と言わんばかりだ。

「……な、なんですか?」

「いいから、はい」

 嫌な予感しかしなかったので、私は手を出すこともできず、三十秒ほどそのまま固まっていた。
 お互いに向き合ったままの三十秒は長い。
 でも、粕村さんは平気で、にこにことただ立ち続けている。
 ……これ、私が手を出さないと終わらないんだろうか。

 根負けした私が、おずおずと手のひらを出すと、粕村さんがぱっと手を開いた。
 なんとなく、さっき取り出していたお菓子をくれるのかな、と思っていたら、ただの紙ゴミの切れ端だった。
 もとはお菓子の包装紙だったらしい鮮やかな色の紙片が、ぽとりと私の手の上に落ちる。

「……あの……?」

「あはははは! これが人間心理ってやつだよね! なにかを差し出されると、とっさに手を出しちゃうんだよね~! 勉強になったでしょ!?」

「いや、その前に思いっきりためらってましたよ、私……。なのに粕村さんが微動だにしないから」

 すると粕村さんが大きくのけぞって、

「あっ、今ぼくのせいにした!? したよね!? 手を出したのは自分なのに! そんな他責志向じゃ社会で通用――」

 その時、ぱしっ、と私の手の上のゴミが取り上げられた。
 給湯室から戻ってきた燎火だった。汚そうにつまんだそれを、粕村さんの胸のあたりに投げつける。
 粕村さんが舌打ちして、言った。

「あれーワンワンくん、人間同士のお話に割り込んでどうしたの? ぼくたちが若手同士で親睦を深めてるのが、長生きしてる犬妖怪さんには気に食わないのかな~?」

「なにが若手だ、三十過ぎてんだろお前。用が済んだならとっとと出ていけ。おっと、そのゴミは自分で捨てていけよ」

 粕村さんが、心底きょとんとした顔になる。

「捨てる? ……ぼくが?」

「ほかに誰がいるんだ」

「へーえ……ぼくがゴミをねえ……」

 気のせいか、二人の間の空気が、険悪さで濁っていくように見えた。

「そういえばワンワンくん、前にも、ぼくに事務所の窓を閉めるように命令したっけねえ……犬が人間の言うこと聞くのが普通なんだよ、世の中では」

「雨が降り込んでたから、お前の後ろの窓くらいお前が閉めろって言っただけだろ。そういやあの時、そういうのはお母さんがやるんだとか抜かして、スマホでゲームしてやがったなお前。自分で食い散らかしたゴミを捨てるのも、おかーさんがやってくれるのか?」

 粕村さんの目がすわった。

「……ぼくのお母さんをばかにするのか?」

「お前の話をしてんだよ。どういう思考回路してんだお前」

「ふん! ぼくにしたら、君たちの思考回路のほうが理解不能だけどね~!」

 粕村さんは私のパソコンに出されていた、中途退校者についての対処についての文面を見て続けた。

「こんな連中にいちいち手間取らされてさあ! 税金もらってあーだこーだするんじゃなくて、ぼくみたいに営業で稼いでみたらどうだい!」

「お前、今月の新規売上いまだにゼロだろ。毎日直行直帰して、なにしてるんだ?」

「内緒だよそんなの! だいたいそんなやつら、税金のおかげでただで訓練受けてんだから文句言わずにやることやれ~って脅かしてやれば一発でしょ! 連絡とってとかなんとか、まだるっこしいよ!」

「確かに訓練生は税金の恩恵を受けてるし、それで義務を果たさねえのはおれだって不快だ。けど、だからって罪悪感を盾にとって言うこと聞かせるようなことはしたくねえんだよ。罪を犯したわけじゃねえんだから」

 つい、そこで口を挟んでしまう。

「燎火、前に税金使い込んで踏み倒してるようなものだって……」

 燎火は斜め上を見て答えた。

「ようなものであって、使い込んだわけじゃねえ」

 そんなことを言い合う私たちをよそに、粕村さんは、すっと目を細めて鼻を鳴らした。

「ふん。どうせ、なんとか奨励金とかいう金と、霊格が目当てなくせに」

 霊格?
 知らない言葉だな、と思った私を察して、燎火が説明してくれた。

「簡単に言うと、世のために人のためになり、人間との共存活動に前向きな個人や組織に国が与えてくれる信用の得点みたいなもんだ。これが高ければ高いほど、たとえばうちなら、職業訓練の受託が有利になる。土木系の会社なら、公共事業を落札しやすくなったりとかな」

「そうなんだ。あ、それなら職業訓練をやってるともしかして……」

「そう、就妖社の霊格が上がる。おかげでまた次の訓練が受託できる。上手くいけば好循環で回ってくれるんだよ」

「ふん!」と粕村さんが鼻を鳴らした。くせなのかもしれない。「好きなだけ霊格なんかを上げるといいよ。ぼくは営業で、リアルマネーをもたらす存在だからね~! そんな迂遠な仕事はしないんだよ!」

「いやだからお前今月まだ……っていうか入社してから一度もまともに予算達成したことねえだろ」

 粕村さんが、かっと目を見開いた。それまでずっと目を細めていたので、急に目の面積が広がると、少し怖い。

「売上だけが営業のすべてじゃないだろ! そうやってやる気を削がれるから、ぼくの真価が発揮できないんだ! 君たちも他責志向で人のことばかり言ってないで、自分の仕事をしっかりやるべきなんじゃないのか! ねえ有栖ちゃん、違う!? いいこと言ったでしょ、これ!?」

「あ、それは、その通りですよね。はい、いいこと言ったと思います」

 もちろん肯定するつもりで、そう言ったのだけど。
 粕村さんは、目を大きく開いたままで、固まってしまった。

「……あの?」

「……」

「……粕村さん?」

 さっきの返答は、相槌を打ったのと変わらないと、自分では思ったけども。
 なにかまずかっただろうか。

「……上から?」

「え?」

「上から言った、今? はあ……新入社員の女が、ぼくに、上から……上からア!」

「きゃあっ!?」

 いきなり大声になったので、つい悲鳴を上げてしまった。
 粕村さんの目は、相変わらずらんらんと見開かれている。

「ぼくに、上から……上から、上からア……!」

「あ、あのっ?」

 粕村さんはくるりと踵を返すと、社屋から出て行った。
 燎火が、ぼそりと言ってくる。

「おれも最初、あれをやられた。あいつ誰のことも自分より下に見てるからな、上から目線に過敏なんだ」

「過敏というか……」

「粕村が毎日直行直帰しても、誰にも文句言われない理由も分かっただろう。いないほうがありがたいんだ。あの調子で、いいことは全部自分の力、嫌なことは全部他人のせい。そのくせ、人には他責志向だなんだと言い立てる。だからあだ名が、他責王子なんだとよ」

 解けなくてもいい謎だった、気はする。
 成人して十年以上経つ人に王子とつけたのも、そこはかとなくつけた側からの悪意が込められているのだろう。たぶん。

「でも、いいところもあるんでしょ? ここで、営業として採用されてるわけだし」

「……それなんだけどな。霊格の話しただろ?」

「え? うん」

「砕けた言い方をすれば、人間にとって都合のいいことをしてくれれば、霊格は上がる」

「さっきの話だと、そうだね?」

「たとえば、人間社会でほとほと手を焼き、周囲が弱りはてた上に困ったちゃん認定された人間を裏界で雇うとか」

 燎火は私と目を合わせないまま、そう言った。

「それじゃ……もしかして」

「粕村は現世で勤めた三社で、管理職二人、同僚の社員を二人、パート・アルバイトを三人。ストレス過多や抑うつ状態に追い込んで、精神科通いや離職を余儀なくさせてる。思い込みが激しい上に、抱いた不満を直接的な行動で表すことをためらわない性格なんだ。難癖でさっきみたいな勢いで詰め寄られるから、周りは辞めるか病むかで、たまったものじゃない」

 十人近くも……。
 しょ……職場ブレイカーなんてものじゃないな……。

「うちでも最初はとても雇うつもりはなかったそうだが、当時の支店長――黒芙蓉さんじゃないぞ――が、霊格上昇による助成金目当てに入社させたんだ。本来ならあんな奔放な直行直帰なんて常識的にありえんのだが、その常識がねえおかげで、常時不在でいてくれて、うちは退職者も病院送りも出ない。会社的には助かってる」

「そんな悲しいWINWINを初めて見たよ……って、あれ!? でも黒芙蓉支店長、さっきもう直行直帰については厳格化するみたいなこと……」

 燎火が、重々しくうなずいた。

「黒芙蓉支店長は、そういうところ厳しいタイプだからな……これは、明日から荒れるぜ……」

「社員が出社するだけで……?」

 燎火は、床に落ちていたさっきの紙ゴミを拾い上げた。

「あっごめん、私が捨てるよ」

「いいんだよ。裏界も現世も、まともなやつから損をするのは同じか……やるせねえな……」

 燎火が投げた紙は、軽い音を立てて、プラスチックのゴミ箱に吸い込まれていった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた
ファンタジー
明治大正風味のファンタジー恋愛もの。 化物みたいな能力を持ったせいでいじめられていたキイロは、強引に知らない家へ嫁入りすることに。 所が嫁入り先は火事だし、なんか子供を拾ってしまうしで、友人宅へ一旦避難。 親もいなさそうだし子供は私が育てようかな、どうせすぐに離縁されるだろうし。 そう呑気に考えていたキイロ、ところが嫁ぎ先の夫はキイロが行方不明で発狂寸前。 実は夫になる『薄氷の君』と呼ばれる銀髪の軍人、やんごとなき御家柄のしかも軍でも出世頭。 おまけに超美形。その彼はキイロに夢中。どうやら過去になにかあったようなのだが。 そしてその彼は、怒ったらとんでもない存在になってしまって。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

紅玉楽師は後宮の音を聞く 〜生き残りたい私の脱走計画〜

高里まつり
キャラ文芸
【耳のいい隠れ長公主】✕【したたかな美貌の文官】コンビが挑む後宮の陰謀! 片目が紅い娘・曄琳(イェリン)は訳あって後宮から逃走した妃の娘ーー先帝の血を引く、隠れ長公主。 貧民街で隠れて生活していたのに、ひょんなことから宮廷に舞い戻ってしまった曄琳は、生まれを秘匿し、楽師としてあらゆる音を聞き分けるという特技を活かしながら、宮廷からの脱走を目論んでいた。 しかしある日、後宮で起きた幽鬼騒動の解決に駆り出された先で、運命を狂わされてしまう。 利用できるものは利用します精神の美形の文官・暁明(シャオメイ)と、出生の秘密をなんとか隠して外に出たい曄琳。 二人が後宮での事件を追う中で、母や貴妃の死、過去の出来事が少しずつ絡んで、宮廷の陰謀に巻き込まれていく。契約じみた曄琳と暁明の関係も少しずつ、少しずつ、形を変えていきーー? 曄琳の運命やいかに!

処理中です...