6 / 20
一章
遭遇
そろそろ、本格的に動くべきだろう。
ここは貧民街。俺はSランク冒険者としてお忍びで魔物の巣に向かっていた途中であり、たしかこっちに近道があったはずだと思ったのだが…
なるほど。スラムの道はあるようでないというのは本当らしい。俺が記憶している道とはずいぶんと変わっている。どうしたものか。と思っていた矢先、
「ねえ、そこのかっこいいお兄さん。」
ここらに住んでいるのであろう、小汚い少女が声をかけてきた。
…なかなかの実力者のようだ。俺ほどではないが、『天才』と言われるくらいには才能に満ち溢れているようだ。
「道に迷ったんでしょ?案内してあげる代わりに、恵んでくれないかな?」
なるほど。それはありがたい。魂胆は見え透いているが、案内はしてもらおう。
「これでいいだろう?ほら、拾え。」
俺は金貨を三枚転がす。
「わあ、ほんとに何者なの?」
少女が金貨を拾う素振りをしたと思えば背後から男が三人、目の前の少女が俺の首筋に向けて短剣を振るう。
「はあ、無駄なことを。」
目の前の少女を魔法で拘束し、背後からの三人の心臓を剣で突き刺す。
「っ!このっ…えっ!?」
少女の目にはその動きが見えなかったのだろう。戸惑っているようだ。
「ふむ、速さだけで言えばエルロンドに並ぶか…」
いい人材になりそうだ。
そう思っていると、スラムの奥から小さい影が三つ出てきた。
「お、お姉ちゃんから手を放せ!」
「そ、そうだ!この悪者め!」
「お、お願いします。どうか、その人だけは…」
その幼い少女三人が何か言ってくる。
「あ、あなた達!なんでここにいるの?逃げて!早く!」
「知り合いか?」
「う、うん。血はつながってないけど、妹みたいな子達なの。だから、お願いします。ボク、なんでもしますから。この子達は見逃してください。」
この少女は拘束されながらも器用に頭を下げる。
「ほう、『なんでも』と言ったか?」
俺は確認するように問う。
「う、うん。でも、その代わり…」
何かを悟ったのか少女は顔を青ざめさせた。だがそれでも三人の心配をしているようだ。
「いいだろう。その三人には手を出さん。だが、お前には来てもらうぞ?」
俺がそういい、少女を左肩に担いで屋敷に向かう。
「おい!お前、その女の子を放せ!」
ん?こいつは…
「アレン、お前、なぜこんなところにいる?」
未来で会ったことこそあるが、今はまだ会ったことはないはずだ。
それに、このような場所で会うはずもないのだが…
「っ!?なんでお前が俺の名前を知ってるんだ!?…いや、そんなことより、その子を放せ!」
「待て待て、こいつは盗賊だぞ?こいつから手を出してきたんだ。俺が責められるようなことは何もない。」
俺は事実を言う。
「ち、違う!お願いします!助けてください!」
俺に担がれた少女がそう言った。
…ああ、面倒だ。
俺は拘束魔法で口を閉じさせる。
「そういうことか。なら、容赦はしない。」
アレンは察したように呟き、鞘から剣を抜き、俺に切りかかる。
俺はそれを受ける。素手で。片手の白刃取りだ。…こいつは殺す気がない、というより、人を殺したことが無いのだろう。
「お前、やる気があるのか?そんな体たらくじゃあ、クラリスも守れないぞ?」
「っ!?…お前、なんでクラリスのことを知っているんだ!?」
アレンは驚愕と不安でいっぱいのようだ。
「おっと、口が滑ってしまったか。…まあいい。」
「お前、まさか、クラリスを狙っているのか!?」
アレンはクラリスの体質が多くの人間に狙われるものだと知っている。だが、その情報は村の者が皆、隠しているということも知っている。
もし、情報が漏れていたなら…
「そうだと言えば?」
「本気で行く!」
アレンは身体強化魔法を自身にかけ、炎属性魔法をレイに向ける。
(青い炎…完全燃焼の火か。やはり、こいつも『日本人』なのか?)
だが…
「無駄なことを。」
レイは風魔法でその炎の近くを真空にする。
それと同時にアレンの身体を横に流す。合気道の技の一つだ。
「っ!?うっ、カハッ…」
「寝てろ。」
レイは、体勢を崩しているアレンに膝蹴りを入れ、仰向けに倒れたその男の顎に軽く蹴りを入れた。
「っ、う、ま、待て…ぇ…」
アレンは脳震盪で意識が朦朧としながら、あの少女が連れていかれる光景を最後に意識を手放した。
ここは貧民街。俺はSランク冒険者としてお忍びで魔物の巣に向かっていた途中であり、たしかこっちに近道があったはずだと思ったのだが…
なるほど。スラムの道はあるようでないというのは本当らしい。俺が記憶している道とはずいぶんと変わっている。どうしたものか。と思っていた矢先、
「ねえ、そこのかっこいいお兄さん。」
ここらに住んでいるのであろう、小汚い少女が声をかけてきた。
…なかなかの実力者のようだ。俺ほどではないが、『天才』と言われるくらいには才能に満ち溢れているようだ。
「道に迷ったんでしょ?案内してあげる代わりに、恵んでくれないかな?」
なるほど。それはありがたい。魂胆は見え透いているが、案内はしてもらおう。
「これでいいだろう?ほら、拾え。」
俺は金貨を三枚転がす。
「わあ、ほんとに何者なの?」
少女が金貨を拾う素振りをしたと思えば背後から男が三人、目の前の少女が俺の首筋に向けて短剣を振るう。
「はあ、無駄なことを。」
目の前の少女を魔法で拘束し、背後からの三人の心臓を剣で突き刺す。
「っ!このっ…えっ!?」
少女の目にはその動きが見えなかったのだろう。戸惑っているようだ。
「ふむ、速さだけで言えばエルロンドに並ぶか…」
いい人材になりそうだ。
そう思っていると、スラムの奥から小さい影が三つ出てきた。
「お、お姉ちゃんから手を放せ!」
「そ、そうだ!この悪者め!」
「お、お願いします。どうか、その人だけは…」
その幼い少女三人が何か言ってくる。
「あ、あなた達!なんでここにいるの?逃げて!早く!」
「知り合いか?」
「う、うん。血はつながってないけど、妹みたいな子達なの。だから、お願いします。ボク、なんでもしますから。この子達は見逃してください。」
この少女は拘束されながらも器用に頭を下げる。
「ほう、『なんでも』と言ったか?」
俺は確認するように問う。
「う、うん。でも、その代わり…」
何かを悟ったのか少女は顔を青ざめさせた。だがそれでも三人の心配をしているようだ。
「いいだろう。その三人には手を出さん。だが、お前には来てもらうぞ?」
俺がそういい、少女を左肩に担いで屋敷に向かう。
「おい!お前、その女の子を放せ!」
ん?こいつは…
「アレン、お前、なぜこんなところにいる?」
未来で会ったことこそあるが、今はまだ会ったことはないはずだ。
それに、このような場所で会うはずもないのだが…
「っ!?なんでお前が俺の名前を知ってるんだ!?…いや、そんなことより、その子を放せ!」
「待て待て、こいつは盗賊だぞ?こいつから手を出してきたんだ。俺が責められるようなことは何もない。」
俺は事実を言う。
「ち、違う!お願いします!助けてください!」
俺に担がれた少女がそう言った。
…ああ、面倒だ。
俺は拘束魔法で口を閉じさせる。
「そういうことか。なら、容赦はしない。」
アレンは察したように呟き、鞘から剣を抜き、俺に切りかかる。
俺はそれを受ける。素手で。片手の白刃取りだ。…こいつは殺す気がない、というより、人を殺したことが無いのだろう。
「お前、やる気があるのか?そんな体たらくじゃあ、クラリスも守れないぞ?」
「っ!?…お前、なんでクラリスのことを知っているんだ!?」
アレンは驚愕と不安でいっぱいのようだ。
「おっと、口が滑ってしまったか。…まあいい。」
「お前、まさか、クラリスを狙っているのか!?」
アレンはクラリスの体質が多くの人間に狙われるものだと知っている。だが、その情報は村の者が皆、隠しているということも知っている。
もし、情報が漏れていたなら…
「そうだと言えば?」
「本気で行く!」
アレンは身体強化魔法を自身にかけ、炎属性魔法をレイに向ける。
(青い炎…完全燃焼の火か。やはり、こいつも『日本人』なのか?)
だが…
「無駄なことを。」
レイは風魔法でその炎の近くを真空にする。
それと同時にアレンの身体を横に流す。合気道の技の一つだ。
「っ!?うっ、カハッ…」
「寝てろ。」
レイは、体勢を崩しているアレンに膝蹴りを入れ、仰向けに倒れたその男の顎に軽く蹴りを入れた。
「っ、う、ま、待て…ぇ…」
アレンは脳震盪で意識が朦朧としながら、あの少女が連れていかれる光景を最後に意識を手放した。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生貴族は現代知識で領地経営して成り上がる
初
ファンタジー
アズマ王国と国境を接する帝国内のイドウィー半島のメリシア子爵家。
かつては帝国の中央からの追放者を受け入れ、イドウィー半島全域を領有していた。
しかし時が経つにつれて衰退していき、今では半島の西部と北部の一部を領有するまでに衰え、半島全体が各勢力による分裂で弱体化していた。
そんな弱体化した半島に、1331年にアズマ王国のラーディン公爵家の侵攻が始まった。半島内の各勢力は敗北を続けた。
そしてメリシア子爵家の当主になったばかりのアレスがラーディン公爵家を撃退することになったが、敵はこちらの五倍、まともに戦えば勝ち目はなかった上、アレスの前世は日本人。戦争とは無縁の生活をしていた。
しかしアレスは側近とともに立ち上がった。
果たしてアレスはラーディン公爵家に勝利し、領地と領民を守ることができるのか。
これは転生者のアレスが領地経営に試行錯誤しながら取り組み、問題や課題を解決しながら領地を発展させ、大貴族に成り上がる物語である。
※プロローグを見ないで一話から読むことをおすすめします!