自分らしく居られる場所を

親の目を盗んで

文字の大きさ
7 / 20
一章

サーシャという少女

しおりを挟む
「さて、ここなら邪魔が入らない。ゆっくりと、話をしようじゃないか?」

レイは屋敷の客間のソファーに座るよう少女に促した。

「は、話って…」

その少女、サーシャはレイに問う。

「ん?『なんでもする』のだろう?…なら、働いてもらおうと思ってな。まあ、安心しろ。ちゃんと金はやる。それに、献身的に活動するなら、連れの安全だって保障しよう。」

「働く…それってやっぱり、体が目当てってことなんだよね?」

サーシャはまだ十三歳。だが、スラムで育てばそういうことも自然と耳に入る。いつかは自分もそうなるかもしれないと感じていたのも事実である。

「ん?まあ、確かに、そうだな。俺はお前の体が目当てで連れてきた。…これでどうだ?」

レイは金貨が詰まったサーシャの頭くらいの袋を出した。

「っ!?」

(こ、これだけあれば、毎日あの子達に贅沢してあげられる。…でも、)

「そして今、俺に忠誠を誓うなら、お前たち四人全員この屋敷の使用人として雇ってもいい。…もちろん給料もいいし、何より安全だ。」

「っ!」

(身の安全の保障はありがたい。それでも…)

「さらにこれも追加だ。…もちろん一月ごとに。」

レイは同じ大きさの金貨の袋をサーシャの前の机に置く。

「え…」

サーシャは戸惑いの声を上げる。いくらなんでも気前が良すぎる。

「さあ、今決めろ。五秒以内だ。」

「お、お願いします!」

サーシャは折れた。今まで盗賊まがいのことをして何とか生き延びてきたが、もう限界だと感じていたのだ。そのため、今回のことは渡りに船といえよう。

「うむ。決まりだな。ほかの三人にも使いの者を出そう。」

「わ、分かった。」

サーシャは覚悟を決めたような顔をした。目の前の男は顔がいい。抱かれるにしても悪くないのではないか。そう思うことで自分の気持ちを誤魔化したのだ。

「では、早速始めようか。」

レイは席を立つ。

「え///…も、もうするの?」

サーシャは顔を真っ赤にして後ずさる。

「ああ。善は急げというだろう?」

レイはにじり寄る。

「~~///」

「エルロンド、入ってこい。」

「はいよ、ご当主様。」

レイが扉に向かってエルロンドを呼ぶ。

それに応えるようにエルロンドが客間に入ってくる。

「へ?」

サーシャは呆然とする。

「さて、少女よ。お前の相手はこいつだ。俺は急ぎの用があるのでな…」

「ま、待ってください!ボ、ボク、なにかしてしまいましたか?もしそうなら謝らせてください。お願いします。」

サーシャは顔を真っ青にして体を震わせている。…無理もない。エルロンドの顔はかなり厳つく、そのうえ、サーシャの二倍以上の身長の筋骨隆々の巨漢である。

「おい、あまりご当主様の手を煩わせるな。こっちに来い。行くぞ。」

「ひゃ!、やだやだやだ!助けて!お願いします!」

エルロンドは子猫をぶら下げるようにしてサーシャの首根っこを掴み、訓練場へと向かう。

レイはエルロンドに、サーシャを訓練し、使えるような実力者に育てさせるように命じていた。

だが、そんなことを知る由もない哀れなサーシャは自分がこれからこの男に犯されると思い込み、これからの人生に絶望したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...