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三章
『英雄』の力
セレスティーナの鋭い声があたりに響き渡る寸前、アレンは既に自分の手に持つ剣を振り下ろそうとしていた。
しかし、レイに有効打を加えるには遅すぎる。レイは、容易くアレンの剣を自分の剣で受け流した。
「っ!?く、この!」
アレンは身体強化魔法の強化倍率を上げ、受け流された剣を無理やり翻した。
だが、そんな力任せの攻撃がレイに通じるはずもない。
レイは自分の剣先でアレンの剣の側面を撫でる。
…その瞬間、アレンの剣はそこを起点にずれた。
「え…」
アレンは自分の剣が切られたのだと気づくのに三秒程度かかった。
アレンの剣はミスリル製だ。オリハルコンほど強度はないが、アレンが自ら施した付与魔法もある。そう簡単に切れるものではない。
だが、切られたのは事実。アレンはレイの剣がミスリル以上の素材でできているのだと予想した。
その隙だらけの間、レイは初めの位置から一歩も動いていない。
明らかに手を抜かれている。アレンはそのことが分かり、自分の顔が熱くなるのを感じた。
「…殺してやる。」
アレンの口から小さく零れた言葉。普段のアレンの様子からは信じられないような言動である。
その言葉を聞いたクラリスは少し、寂しそうな顔をしていた。もう元の関係には戻れないということを突き付けられた。
「生成、『魔法剣』」
アレンはそう詠唱し、右手に炎の剣を作り出した。
クラリスはその魔法を知っていた。昔、アレンが見せてくれたのだ。…そして、彼女はその危険性も知っていた。
「どうだ!これが、女神様からいただいた俺の力だ!」
アレンはその剣をレイに向けて突き出す。
「アレン、まっ…」
待ってと言いたかったのだろうが、既にアレンの剣とレイの剣が交差していた。
拮抗は一瞬。アレンの剣が振り切られた。
レイはすぐに距離を取り、視線を自分の手の内にある、剣だったものに移す。
「もうお前に勝ち目はない。降参しろ。」
アレンはレイに投降を促す。
「剣同士が直接触れる前に蒸発した。…さすがに鋼の剣だけでは厳しいか。…まあいい。『風装』」
「何?」
アレンにはその言葉が苦し紛れの言葉に聞こえた。そして僅かに、しかし確かな油断ができた。
だからレイがもう既にそこにはいないことに気づくのが遅れた。
「誉めてやろう。この俺に決闘で魔力を使わせたのだ。」
レイのこの言葉が背後から聞こえてやっと気が付いた。…だがもう遅い。『風装』を纏ったレイの姿を目で追える生物はいない。
…それこそ、レイ自身も『風装』を用いた高速移動中は目を閉じ、風を掌握することでしかどこに何があるかを認識する事ができない。
いかに動体視力が高かろうが、生物には限界がある。レイの速さはそれを優に上回っていた。
もちろんそれにアレンが反応できるはずもなく…
…ポス。
レイは手刀をアレンの頭頂部に乗せる。それはとても攻撃とは言えないものであった。
「ッ!?…どういうつもりだ。」
アレンは自分の頭に何かが当たった瞬間、背筋が凍り付いたような感覚に陥った。もう助からない。そう感じた。
…だが、反射的に避けようとした結果、なぜかそれ以上の追撃がないままアレンはレイから距離をとる事ができた。
アレンは怪訝な顔をレイに向ける。
レイはそんな様子のアレンに、まるで興味がないかのように
「もう降参すれば?」
そう告げた。
しかし、レイに有効打を加えるには遅すぎる。レイは、容易くアレンの剣を自分の剣で受け流した。
「っ!?く、この!」
アレンは身体強化魔法の強化倍率を上げ、受け流された剣を無理やり翻した。
だが、そんな力任せの攻撃がレイに通じるはずもない。
レイは自分の剣先でアレンの剣の側面を撫でる。
…その瞬間、アレンの剣はそこを起点にずれた。
「え…」
アレンは自分の剣が切られたのだと気づくのに三秒程度かかった。
アレンの剣はミスリル製だ。オリハルコンほど強度はないが、アレンが自ら施した付与魔法もある。そう簡単に切れるものではない。
だが、切られたのは事実。アレンはレイの剣がミスリル以上の素材でできているのだと予想した。
その隙だらけの間、レイは初めの位置から一歩も動いていない。
明らかに手を抜かれている。アレンはそのことが分かり、自分の顔が熱くなるのを感じた。
「…殺してやる。」
アレンの口から小さく零れた言葉。普段のアレンの様子からは信じられないような言動である。
その言葉を聞いたクラリスは少し、寂しそうな顔をしていた。もう元の関係には戻れないということを突き付けられた。
「生成、『魔法剣』」
アレンはそう詠唱し、右手に炎の剣を作り出した。
クラリスはその魔法を知っていた。昔、アレンが見せてくれたのだ。…そして、彼女はその危険性も知っていた。
「どうだ!これが、女神様からいただいた俺の力だ!」
アレンはその剣をレイに向けて突き出す。
「アレン、まっ…」
待ってと言いたかったのだろうが、既にアレンの剣とレイの剣が交差していた。
拮抗は一瞬。アレンの剣が振り切られた。
レイはすぐに距離を取り、視線を自分の手の内にある、剣だったものに移す。
「もうお前に勝ち目はない。降参しろ。」
アレンはレイに投降を促す。
「剣同士が直接触れる前に蒸発した。…さすがに鋼の剣だけでは厳しいか。…まあいい。『風装』」
「何?」
アレンにはその言葉が苦し紛れの言葉に聞こえた。そして僅かに、しかし確かな油断ができた。
だからレイがもう既にそこにはいないことに気づくのが遅れた。
「誉めてやろう。この俺に決闘で魔力を使わせたのだ。」
レイのこの言葉が背後から聞こえてやっと気が付いた。…だがもう遅い。『風装』を纏ったレイの姿を目で追える生物はいない。
…それこそ、レイ自身も『風装』を用いた高速移動中は目を閉じ、風を掌握することでしかどこに何があるかを認識する事ができない。
いかに動体視力が高かろうが、生物には限界がある。レイの速さはそれを優に上回っていた。
もちろんそれにアレンが反応できるはずもなく…
…ポス。
レイは手刀をアレンの頭頂部に乗せる。それはとても攻撃とは言えないものであった。
「ッ!?…どういうつもりだ。」
アレンは自分の頭に何かが当たった瞬間、背筋が凍り付いたような感覚に陥った。もう助からない。そう感じた。
…だが、反射的に避けようとした結果、なぜかそれ以上の追撃がないままアレンはレイから距離をとる事ができた。
アレンは怪訝な顔をレイに向ける。
レイはそんな様子のアレンに、まるで興味がないかのように
「もう降参すれば?」
そう告げた。
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