幸せの在り方

親の目を盗んで

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序章

不穏な動き

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…やっぱりか。

探索魔法で学園全体を調べると、オリバーが二人の傍にいるのが分かった。

俺はすぐにそこに向かう。

「おい、ソフィア。お前の父親は俺の父様の部下だ。俺が父様に一言いえば、どうなるか…
想像できない程、低能ではあるまい?」

「ッ!…あ、そ、そんな…」

「あんた、本当にクズね。」

ソフィアが顔を青くして震えている。…胸糞悪い男だな。

「おい、お前、学園で権力を振りかざすのは禁止されていると言ったよな?」

俺は問い詰める。…この世界に来てからここまで感情的になったのは、魔法を初めて見た時以来かな。

「む?お前は、また邪魔をするのか、『平民上がり』の孫が。

その言葉を聞いた時、俺は腸が煮えくり返りそうな思いに駆られた。

…俺のじいちゃんを馬鹿にしやがった。じいちゃんは国の為に、この世界のために戦った、『勇者』なんだぞ!?誇り高い英雄なんだ。それを、コイツは馬鹿にしやがった。

許さない。俺は本気の殺気を周囲にまき散らす。

「ッヒ!」

「す、凄い…」

あ、しまった。二人にも余波を当ててしまったようだ。…ソフィアは意外と大丈夫そうだけど。

「ひ、ぎやああああああ!…あ、ああ!ひやぁ!ひい!うわあああああ!」

その直撃を受けたオリバーは失禁しながら廊下を転がり、這いずり回るように逃げて行った。



そのみっともない姿はたちまち国内外に広まった。

昔から天才と言われ、努力をしなくても人より上の実力を持っていた男の自尊心は、それにより粉々に砕け散った。






~キャンベル邸 オリバー視点~



なんなんだなんなんだなんなんだ!あいつは、化け物だ。人間じゃない。

なんでそんな奴がソフィアに近づくのだ!?

ふざけるな。やっと、やっと同じ学園、同じクラスになれるよう、手配したのに、なんで…

「おい!オリバー!話は聞いたぞ!よくも我が家の名に泥をつけるような真似をしてくれたな!」

…父様か。俺は声のした方を向く。瞬間、頬に衝撃が走る。

何が起こったんだ!?…い、痛い、痛いイタイ!

…な、殴られた!?父様に!?なんで!?

「さらに国王様がお決めになった法に逆らうとはな。」

「しかし!我ら貴族が下民どもと同じ扱いをされるのは心外です!」

「だまれ!しかも勇者様のお孫様と諍いを起こすとはな。しばらく自室で謹慎していろ!…お前たち!オリバーを連れて行け。」

「うわ!き、貴様ら!何をする!この、止めないか!」

なぜだ!なぜ、こんな事になっている!?

俺は騎士たちに自室に押し込められ、扉に鍵を掛けられる。


「お、おい!こんな所に閉じ込めて、どうするつもりだ!?」

俺は扉を叩く。

「オリバー、ここで一週間、反省していろ。合格発表は他の者に行かせる。」

「な、なぜですか!?俺が一体、何をしたというんです!?貴族として、立派に振舞ったはずです!」

待ってくれ!そんなことをされたら、ソフィアに会えないではないか!

「なぜ、だと!?それすら分からないのか!?なら、それが分かるまで、もう出てくる必要は無い!」

「え…」

足音が遠ざかる。

なぜ、分からない?俺が?あなたが間違っているだけでしょう!?なぜ俺が、正しい俺が、こんな目に遭わなければいけないのだ!?

…ああ。

…そうか。

アイツだ。あの男に邪魔されてからだ。…周りがおかしくなったのは。

俺がこんな目に遭っているのは、アイツのせいだ。

アイツさえ、あの野郎さえ、いなければ!

(僕はあんな目に遭わなかった)

な、なんだ!?

(僕はあんなに苦しまなかった。)

誰か、いるのか!?

(僕は君と同じだ。アイツが憎い。…苦しめて、殺したい。そう、思うだろう?)

あ、ああ、そう、だ。

(協力しないか?僕には様々な知識がある。そして、アイツがなぜあんなに強いのかも知っているし、君だって同じように、いや、アイツよりも強くなることだってできるようになる。君が意中の彼女も、思いのままさ。どうだい?良い提案だろう?)

なんだと!そんなことができるのか!?なら、やってくれ!俺もできる限り協力しようじゃないか。

(…契約、成立だね。)

…え?

「ここは、どこだ?」

黒だ。辺り一面、闇しか見えない。

(ここは僕の精神世界。君はこれから僕と同化し、共にアイツを殺す為の、同志となる。)

…は?精神世界?同化?何の話だ?

(別に長話する気は無いよ。どうせ、同化すれば二人分の記憶が一つになるんだ。すぐに分かる。)

ドシュッ!

なんだ?胸のあたりが、熱い…

え?

…俺の心臓に『ナニカ』が刺さっている。

「い、ぎやああああああ!アアアアアアアア!うっ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」

痛い!熱い、苦しい。

…あれ?何も、感じないぞ?

おかしくないか?心臓を刺されたんだぞ?

あ、まさか、俺は…死ぬ、のか?

(違うよ?僕に食われて、僕の一部として生き続けられる。だから、安心して眠るといい。復讐は、僕がやっておくよ。だって、アイツを恨んだのは、僕の方が先だからね。)

そうか、死なないのか。なら、またいつか、ソフィアに会える、よな。

(うん、おやすみ。…まあ、彼女は僕が貰うけどね。)

何か、言ったか?だめだ。もう、意識が…
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