1,714 / 1,728
第四十話 クリスタル・ピックアックス
難民キャンプへ
しおりを挟む
「良いってことよッス。正直オメーがヘシキリを譲り受けたってのがビックリだったッス」
ベネットがコクコク頷いた。……と、ここで「お待たせいたしましたー」と、頼んでいた料理が届く。
「うほっ、ヴェニソン肉のステーキッス」
「わーいアタイお肉大好きー! シカ肉も慣れたら美味しいよねー」
みんなでワイワイ、食事が始まった。彼らに限らず、お昼時には少し遅いのに、まだ食堂は盛り上がっていた。
「ショッピング街がえらいことになってるぜ」
「真っ赤なゴリラ魔族のならず者だって。クエストでそんなのと当たったらどうすれば良いのよ」
「イビル教団の事件も多いんだし、おっかねえニュースが多いなぁ。モンスター倒して金も稼げたし、危なくなる前に帰ろうかなぁ」
ショッピング街を襲ったアリーマーが、もう噂になっているようだ。
「なんでも可愛い女の子冒険者とその仲間たちがやっつけたらしい」
「フフッどんな人なんでしょうね」
「………………」
「ところでマスターさんは? 私は見なかったけど」
「マスターはもう自分の部屋へ上がってったよー。すっごい不機嫌そうな顔でスカーフのにおい嗅いでたー」
「それっていつもつけてる緑のヤツにゃあ? そんな臭く感じなかったけど、マスターは繊細だにゃあ」
「…………」
首を傾げている後輩組四人。それがナガレから譲ってもらったと知っているジョーは、黙秘を貫いた。
「まぁいいわ。レディは自分の香りも気になるものね。……そんで、ナガレ先輩がいないのはどうして?」
「ああ、それはねー…………」
~☆~☆~☆~☆~☆~
「……へー、そんなことがあったんだね」
ニンフォと同じようなことを言っている人が、マリーオウにはもう一人いた。
「にーちゃんも苦労するね。そんなファンがいるなんて」
「茶化すなよスー。あんな強い奴がいるなんて、敵意剥き出しのチンピラじゃなきゃ仲間にしたかったよ」
ここはマリーオウの難民キャンプ、その奥にある『ネーベルカンパニー』のエリア。そこの一際大きなテントにて、ナガレとスーが有り合わせのベンチで話していた。
スーは分厚い毛織物のコートで厚着している。若干髪が伸びてきているが、それでもボーイッシュさに変わりはない。
「寒くないの? いくら高級といっても所詮はテントでしょ」
「まぁ、それは仕方ないよ。全部が全部、床を作ってるわけじゃない。僕のところも床は普通に地べただからね」
昼間はピクニックのように、床にシートを置いている。ずっと靴を履いて水虫にならないよう、適度に体も洗ったほうが良い。
ベネットがコクコク頷いた。……と、ここで「お待たせいたしましたー」と、頼んでいた料理が届く。
「うほっ、ヴェニソン肉のステーキッス」
「わーいアタイお肉大好きー! シカ肉も慣れたら美味しいよねー」
みんなでワイワイ、食事が始まった。彼らに限らず、お昼時には少し遅いのに、まだ食堂は盛り上がっていた。
「ショッピング街がえらいことになってるぜ」
「真っ赤なゴリラ魔族のならず者だって。クエストでそんなのと当たったらどうすれば良いのよ」
「イビル教団の事件も多いんだし、おっかねえニュースが多いなぁ。モンスター倒して金も稼げたし、危なくなる前に帰ろうかなぁ」
ショッピング街を襲ったアリーマーが、もう噂になっているようだ。
「なんでも可愛い女の子冒険者とその仲間たちがやっつけたらしい」
「フフッどんな人なんでしょうね」
「………………」
「ところでマスターさんは? 私は見なかったけど」
「マスターはもう自分の部屋へ上がってったよー。すっごい不機嫌そうな顔でスカーフのにおい嗅いでたー」
「それっていつもつけてる緑のヤツにゃあ? そんな臭く感じなかったけど、マスターは繊細だにゃあ」
「…………」
首を傾げている後輩組四人。それがナガレから譲ってもらったと知っているジョーは、黙秘を貫いた。
「まぁいいわ。レディは自分の香りも気になるものね。……そんで、ナガレ先輩がいないのはどうして?」
「ああ、それはねー…………」
~☆~☆~☆~☆~☆~
「……へー、そんなことがあったんだね」
ニンフォと同じようなことを言っている人が、マリーオウにはもう一人いた。
「にーちゃんも苦労するね。そんなファンがいるなんて」
「茶化すなよスー。あんな強い奴がいるなんて、敵意剥き出しのチンピラじゃなきゃ仲間にしたかったよ」
ここはマリーオウの難民キャンプ、その奥にある『ネーベルカンパニー』のエリア。そこの一際大きなテントにて、ナガレとスーが有り合わせのベンチで話していた。
スーは分厚い毛織物のコートで厚着している。若干髪が伸びてきているが、それでもボーイッシュさに変わりはない。
「寒くないの? いくら高級といっても所詮はテントでしょ」
「まぁ、それは仕方ないよ。全部が全部、床を作ってるわけじゃない。僕のところも床は普通に地べただからね」
昼間はピクニックのように、床にシートを置いている。ずっと靴を履いて水虫にならないよう、適度に体も洗ったほうが良い。
0
あなたにおすすめの小説
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
クロード・ディスタンスは最強の魔法使い。しかしある日勇者パーティーを追放されてしまう。
勇者パーティーの一員として魔王退治をしてくると大口叩いて故郷を出てきた手前帰ることも出来ない俺は自分のことを誰も知らない辺境の地でひっそりと生きていくことを決めたのだった。
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる