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第三話 誇りとプライドを胸に
さらに特訓!
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~☆~☆~☆~☆~☆~
そして数時間後、いつもの高台広場。オレンジ色の夕陽の中、いつもとは違う新しい砂袋を体に巻きつけたナガレがマルチスタッフを振り回す!
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
ガキン! バシッ!
「そんなもんかナガレ! んなヘナチョコアタックじゃあ、タワーシールドは破れねえぞ!」
発破をかけるのは、見た目通りの硬い防御を誇る重厚なヘヴィアーマーを纏ったタネツ。大人一人がまるまる隠れられそうな大きさの盾・タワーシールドをかざし、ナガレの攻撃を受け止めている。
「くそっ! これならどうだっ!」
ナガレは長棒を腰に構え、力強く突き出した!
ガキィン!
「うおっ!」
後ろに押されたタネツが少しだけ後ずさる。追撃しようとしたナガレだが、突然彼の左から走る影があった。
「スキだらけよ、ナガレーっ!」
「わ……しまった!」
魔力耐性に重点を置いたモフモフのロングコートを着たヒズマが、ロングソードを素早く差し込んでくる。ナガレは突きの姿勢から動けない!
「そこよーっ!」
バシィッ!
「ぐえぇーっ!」
ロングソードの薙ぎ払いは、ナガレの腹部にクリーンヒット。ナガレは受け身も取れず倒れ込んだ。鎧を着ているとはいえ、ぶん殴られたら痛いものは痛い……。
「くっそ……これじゃあダメだ」
「ナガレ、大丈夫か!」
うずくまったナガレを見て、タネツがそばに駆け寄った。ヒズマも武器を下ろし、彼のそばに駆け寄る。
「やっぱりこの特訓、無理があるんじゃない? 自分で言うのもなんだけど、私たちナガレ君より強いのよ。それを二人相手して攻防同時に特訓するなんて無茶よ~!」
二人とも、ほとんどのステータスがナガレより上だ。あの後タネツとヒズマの二人が、少し前に行ったと言うスキル鑑定の結果を見せてくれた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
氏名:タネツ・ケオージ
武器:タワーシールド
技能鑑定:
体力B-
攻撃D
防御C
魔力E
魔法防御D-
素早さG+
所持スキル:
持久(小)
回復力(小)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
氏名:ヒズマ・トーネトラ
武器:ロングソード
技能鑑定:
体力D-
攻撃B-
防御E+
魔力D
魔法防御C-
素早さD+
所持スキル:
遠距離強化
弱点アップ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二人のステータスは、こんな感じだった。ちなみにスキルの解説をすると、以前紹介した『回復力』は省くとして『持久』は長めの戦闘でも疲れにくくなる。『相殺術』では攻撃で同じくらいの威力の魔法を打ち消せる。最後に『弱点アップ』は敵の弱点を突いた時与えるダメージがハネ上がる、という効果だ。
「分かってますよ……。へへっ、やっぱりCランクはまだまだ遠いや……」
しかし言葉とは反対にナガレは顔を上げた。痛みを堪えて歯を食いしばり、キッと前を向く。傷だらけの体に鞭打って、努力しなければいけないのだ!
「まだまだ、終わるもんか! 続けましょーっ!」
本気のナガレを見て、先輩二人も立ち上がった。
「へっ、よく言ったぜナガレ。だが手は抜くんじゃないぞ。シールドを構えた俺に通用するほどの攻撃をしなくちゃならねえからな!」
「それと同時に、私からの奇襲を上手く受け流せないとね~。でも手加減なんてしないわよ~っ!」
「望むところです! さぁ行くぞ! だぁぁぁぁぁぁぁっ!」
マルチスタッフを振り回し、シールドを構えたタネツに飛びかかるナガレ。
「ひえぇ、こんなの見てられないよ……」
近くのベンチに座ったアリッサは、思わず両目を覆っていた。
「……ちゃんと見てるじゃねーか」
その横に座ったルックがツッコミを入れる。アリッサは両目を覆うように見えて、指の隙間から特訓をバッチリ見守っていた。
「いやいや、目を離した途端にすごいケガしそうで不安なんだってぇ」
「そう心配するこたぁねーだろうよ。ナガレの奴、あんな重たいモンぶら下げてんのにずいぶん軽快に動いてるじゃねーか」
ナガレ本人に自覚はないようだが、アレからずっと見守っていたルックには分かる。砂袋の数は増えているのに、当人の動きがほとんど鈍っていない。
「しっかし……ありゃやりすぎだと思うがなぁ……」
「うん、あたしもそう思う。でも止めるのはなんか違うかなって。でもねぇ、なんだかねぇ~……」
兄弟揃って不満げに口を尖らした。散々止めたにも関わらず、ナガレは『格上とぶつかり稽古特訓』を強行する。(ちなみにこの名前は、ルックがつけた敬称である)
ガンッ!
「ぐはぁっ!」
バシッ!
「ぐえぇっ!」
ゴンッ!
「うぎゃっ!」
タワーシールドでどつかれ、ロングソードで殴られ、挙げ句の果てには一人で勝手にすっ転ぶナガレ。これでは特訓というよりただのリンチだ……。
そして数時間後、いつもの高台広場。オレンジ色の夕陽の中、いつもとは違う新しい砂袋を体に巻きつけたナガレがマルチスタッフを振り回す!
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
ガキン! バシッ!
「そんなもんかナガレ! んなヘナチョコアタックじゃあ、タワーシールドは破れねえぞ!」
発破をかけるのは、見た目通りの硬い防御を誇る重厚なヘヴィアーマーを纏ったタネツ。大人一人がまるまる隠れられそうな大きさの盾・タワーシールドをかざし、ナガレの攻撃を受け止めている。
「くそっ! これならどうだっ!」
ナガレは長棒を腰に構え、力強く突き出した!
ガキィン!
「うおっ!」
後ろに押されたタネツが少しだけ後ずさる。追撃しようとしたナガレだが、突然彼の左から走る影があった。
「スキだらけよ、ナガレーっ!」
「わ……しまった!」
魔力耐性に重点を置いたモフモフのロングコートを着たヒズマが、ロングソードを素早く差し込んでくる。ナガレは突きの姿勢から動けない!
「そこよーっ!」
バシィッ!
「ぐえぇーっ!」
ロングソードの薙ぎ払いは、ナガレの腹部にクリーンヒット。ナガレは受け身も取れず倒れ込んだ。鎧を着ているとはいえ、ぶん殴られたら痛いものは痛い……。
「くっそ……これじゃあダメだ」
「ナガレ、大丈夫か!」
うずくまったナガレを見て、タネツがそばに駆け寄った。ヒズマも武器を下ろし、彼のそばに駆け寄る。
「やっぱりこの特訓、無理があるんじゃない? 自分で言うのもなんだけど、私たちナガレ君より強いのよ。それを二人相手して攻防同時に特訓するなんて無茶よ~!」
二人とも、ほとんどのステータスがナガレより上だ。あの後タネツとヒズマの二人が、少し前に行ったと言うスキル鑑定の結果を見せてくれた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
氏名:タネツ・ケオージ
武器:タワーシールド
技能鑑定:
体力B-
攻撃D
防御C
魔力E
魔法防御D-
素早さG+
所持スキル:
持久(小)
回復力(小)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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氏名:ヒズマ・トーネトラ
武器:ロングソード
技能鑑定:
体力D-
攻撃B-
防御E+
魔力D
魔法防御C-
素早さD+
所持スキル:
遠距離強化
弱点アップ
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二人のステータスは、こんな感じだった。ちなみにスキルの解説をすると、以前紹介した『回復力』は省くとして『持久』は長めの戦闘でも疲れにくくなる。『相殺術』では攻撃で同じくらいの威力の魔法を打ち消せる。最後に『弱点アップ』は敵の弱点を突いた時与えるダメージがハネ上がる、という効果だ。
「分かってますよ……。へへっ、やっぱりCランクはまだまだ遠いや……」
しかし言葉とは反対にナガレは顔を上げた。痛みを堪えて歯を食いしばり、キッと前を向く。傷だらけの体に鞭打って、努力しなければいけないのだ!
「まだまだ、終わるもんか! 続けましょーっ!」
本気のナガレを見て、先輩二人も立ち上がった。
「へっ、よく言ったぜナガレ。だが手は抜くんじゃないぞ。シールドを構えた俺に通用するほどの攻撃をしなくちゃならねえからな!」
「それと同時に、私からの奇襲を上手く受け流せないとね~。でも手加減なんてしないわよ~っ!」
「望むところです! さぁ行くぞ! だぁぁぁぁぁぁぁっ!」
マルチスタッフを振り回し、シールドを構えたタネツに飛びかかるナガレ。
「ひえぇ、こんなの見てられないよ……」
近くのベンチに座ったアリッサは、思わず両目を覆っていた。
「……ちゃんと見てるじゃねーか」
その横に座ったルックがツッコミを入れる。アリッサは両目を覆うように見えて、指の隙間から特訓をバッチリ見守っていた。
「いやいや、目を離した途端にすごいケガしそうで不安なんだってぇ」
「そう心配するこたぁねーだろうよ。ナガレの奴、あんな重たいモンぶら下げてんのにずいぶん軽快に動いてるじゃねーか」
ナガレ本人に自覚はないようだが、アレからずっと見守っていたルックには分かる。砂袋の数は増えているのに、当人の動きがほとんど鈍っていない。
「しっかし……ありゃやりすぎだと思うがなぁ……」
「うん、あたしもそう思う。でも止めるのはなんか違うかなって。でもねぇ、なんだかねぇ~……」
兄弟揃って不満げに口を尖らした。散々止めたにも関わらず、ナガレは『格上とぶつかり稽古特訓』を強行する。(ちなみにこの名前は、ルックがつけた敬称である)
ガンッ!
「ぐはぁっ!」
バシッ!
「ぐえぇっ!」
ゴンッ!
「うぎゃっ!」
タワーシールドでどつかれ、ロングソードで殴られ、挙げ句の果てには一人で勝手にすっ転ぶナガレ。これでは特訓というよりただのリンチだ……。
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