崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

文字の大きさ
49 / 1,768
第三話 誇りとプライドを胸に

さらに特訓!

しおりを挟む
~☆~☆~☆~☆~☆~

 そして数時間後、いつもの高台広場。オレンジ色の夕陽の中、いつもとは違う新しい砂袋を体に巻きつけたナガレがマルチスタッフを振り回す!
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
 ガキン! バシッ!
「そんなもんかナガレ! んなヘナチョコアタックじゃあ、タワーシールドは破れねえぞ!」
 発破をかけるのは、見た目通りの硬い防御を誇る重厚なヘヴィアーマーを纏ったタネツ。大人一人がまるまる隠れられそうな大きさの盾・タワーシールドをかざし、ナガレの攻撃を受け止めている。
「くそっ! これならどうだっ!」
 ナガレは長棒を腰に構え、力強く突き出した!
 ガキィン!
「うおっ!」
 後ろに押されたタネツが少しだけ後ずさる。追撃しようとしたナガレだが、突然彼の左から走る影があった。
「スキだらけよ、ナガレーっ!」
「わ……しまった!」
 魔力耐性に重点を置いたモフモフのロングコートを着たヒズマが、ロングソードを素早く差し込んでくる。ナガレは突きの姿勢から動けない!
「そこよーっ!」
 バシィッ!
「ぐえぇーっ!」
 ロングソードの薙ぎ払いは、ナガレの腹部にクリーンヒット。ナガレは受け身も取れず倒れ込んだ。鎧を着ているとはいえ、ぶん殴られたら痛いものは痛い……。
「くっそ……これじゃあダメだ」
「ナガレ、大丈夫か!」
 うずくまったナガレを見て、タネツがそばに駆け寄った。ヒズマも武器を下ろし、彼のそばに駆け寄る。
「やっぱりこの特訓、無理があるんじゃない? 自分で言うのもなんだけど、私たちナガレ君より強いのよ。それを二人相手して攻防同時に特訓するなんて無茶よ~!」
 二人とも、ほとんどのステータスがナガレより上だ。あの後タネツとヒズマの二人が、少し前に行ったと言うスキル鑑定の結果を見せてくれた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 氏名:タネツ・ケオージ
 武器:タワーシールド
 技能鑑定:
 体力B-
 攻撃D
 防御C
 魔力E
 魔法防御D-
 素早さG+

 所持スキル:
 持久(小)
 回復力(小)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 氏名:ヒズマ・トーネトラ
 武器:ロングソード
 技能鑑定:
 体力D-
 攻撃B-
 防御E+
 魔力D
 魔法防御C-
 素早さD+

 所持スキル:
 遠距離強化
 弱点アップ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 二人のステータスは、こんな感じだった。ちなみにスキルの解説をすると、以前紹介した『回復力』は省くとして『持久』は長めの戦闘でも疲れにくくなる。『相殺術』では攻撃で同じくらいの威力の魔法を打ち消せる。最後に『弱点アップ』は敵の弱点を突いた時与えるダメージがハネ上がる、という効果だ。


「分かってますよ……。へへっ、やっぱりCランクはまだまだ遠いや……」
 しかし言葉とは反対にナガレは顔を上げた。痛みを堪えて歯を食いしばり、キッと前を向く。傷だらけの体に鞭打って、努力しなければいけないのだ!
「まだまだ、終わるもんか! 続けましょーっ!」
 本気のナガレを見て、先輩二人も立ち上がった。
「へっ、よく言ったぜナガレ。だが手は抜くんじゃないぞ。シールドを構えた俺に通用するほどの攻撃をしなくちゃならねえからな!」
「それと同時に、私からの奇襲を上手く受け流せないとね~。でも手加減なんてしないわよ~っ!」
「望むところです! さぁ行くぞ! だぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 マルチスタッフを振り回し、シールドを構えたタネツに飛びかかるナガレ。

「ひえぇ、こんなの見てられないよ……」
 近くのベンチに座ったアリッサは、思わず両目を覆っていた。
「……ちゃんと見てるじゃねーか」
 その横に座ったルックがツッコミを入れる。アリッサは両目を覆うように見えて、指の隙間から特訓をバッチリ見守っていた。
「いやいや、目を離した途端にすごいケガしそうで不安なんだってぇ」
「そう心配するこたぁねーだろうよ。ナガレの奴、あんな重たいモンぶら下げてんのにずいぶん軽快に動いてるじゃねーか」
 ナガレ本人に自覚はないようだが、アレからずっと見守っていたルックには分かる。砂袋の数は増えているのに、当人の動きがほとんど鈍っていない。
「しっかし……ありゃやりすぎだと思うがなぁ……」
「うん、あたしもそう思う。でも止めるのはなんか違うかなって。でもねぇ、なんだかねぇ~……」
 兄弟揃って不満げに口を尖らした。散々止めたにも関わらず、ナガレは『格上とぶつかり稽古特訓』を強行する。(ちなみにこの名前は、ルックがつけた敬称である)
 ガンッ!
「ぐはぁっ!」
 バシッ!
「ぐえぇっ!」
 ゴンッ!
「うぎゃっ!」
 タワーシールドでどつかれ、ロングソードで殴られ、挙げ句の果てには一人で勝手にすっ転ぶナガレ。これでは特訓というよりただのリンチだ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界

小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。 あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。 過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。 ――使えないスキルしか出ないガチャ。 誰も欲しがらない。 単体では意味不明。 説明文を読んだだけで溜め息が出る。 だが、條は集める。 強くなりたいからじゃない。 ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。 逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。 これは―― 「役に立たなかった人生」を否定しない物語。 ゴミスキル万歳。 俺は今日も、何もしない。

氷弾の魔術師

カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語―― 平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。 しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を―― ※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...