崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第三話 誇りとプライドを胸に

出るか⁉︎ 受け流し!

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「うがぁっ……なんて、寝そべってられるかぁっ!」
 なすすべなく地面を転がるナガレ……いや、無茶な体勢を根性で立て直す! 後転で受け身を取ってすぐに向き直った。
「ナガレ! 無理するな!」
 すぐさま飛んでくるジョーの声。こちらを案じてくれて、少し嬉しくなる。だが、ナガレはここで無理しなくてはいけない!
「くっ……へへ、体力は元通りか。でも、こんなの慣れっこだ!」
 何度も何度も諦めずに立ち上がった。今更この程度の痛みでくたばるナガレではない。
 しかしピンチなのは変わりない……。攻撃をもう一発食らったら、今度こそおしまいだろう。
「でぇりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
 ガラガラマムシが振り向くより早く、ジョーがマルチスタッフを振り上げる。その大きな頭へ横薙ぎの一撃!
 バシッ!


(でも……ジョーの気持ちに答えたい。ここまで来て、一緒に戦ってくれている)
 ナガレの心はさらに燃え上がる。体中から元気が溢れて、痛みや苦しみをかき消してくれる。

「ギシャアーーッ!」
 ガラガラマムシは牙を剥き出し大きな口を開けた。麻痺毒の乗った必殺の噛みつき! 真っ正面に立ったナガレには、その喉奥までよく見える。

(ジョーにとっても苦しい相手なのに、逃げたりしない……あいつ、オレを信じて戦ってるんだ。オレが必ずコイツの隙を作って、攻撃のチャンスを生み出すと!)

 ナガレの腕が不意に動き、マルチスタッフを真横に構えた。力を入れるのは、攻撃が当たるその一瞬のみ。敵の動きに期待するのではなく、自ら体を躱し、後ろに受け流すのだ。
「シャアァァァァッ!」
 ガラガラマムシの牙がナガレを斬り裂かんとする時、腕にグッと渾身の力を込めた。

 ゴォッ!

 突然、突風が吹くような音がした。それと同時にナガレの体から、緑色の未知なるオーラが吹き出す!
「なにっ⁉︎」
 未知の光景、そしてナガレの力の高まりを感じ驚くジョー。しかしガラガラマムシは止まらない。
「シャシャーーッ!」 
(見えた……そこだぁっ!)
 キィン!
 ほんの一瞬、大きな牙とマルチスタッフが交わる。あらゆる物を麻痺毒で沈めるガラガラマムシの牙が……。

 ドガァッ!

 何かに押されたように少しズレて、後ろの岩壁に突き刺さった。

 ナガレは……そのすぐ真横に立っていた。受け流しは成功だ!

「な、なんじゃと……⁉︎」
 その光景は、崖上で見守るアリッサたちにもよく見えた。その中でもレンは、ナガレが一瞬ガラガラマムシの勢いをしっかり受け止めるのを……。
「う、うそ……何が起こったのか、わ、わっかんないよ……⁉︎」
「な……す、すげえ……」
 驚きを隠せないアリッサとルックの声。しかしレンはそれすら反応できないほどに驚愕していた。
 コツン……。
 思わず、ずっと持っていた杖から手が離れる。静寂の中、杖の倒れる音だけが響いた。
(あれはまさしく、スキル発生のオーラ! まさか……この土壇場で、ナガレ君のスキルが覚醒したというのか⁉︎ そ、そんな馬鹿な! そんな偶然、あるわけが……!)

「ギシャッ⁉︎ ギギギッ⁉︎」
 力尽くで牙を引き抜いたガラガラマムシも、いきなり壁に激突したことに驚いたようだ。頭を逸らして後退り、ナガレから距離を取る。
「これだ……これが受け流しか! やった……成功だ、成功だぁーっ!」
 ナガレはニカッと笑う。彼には死ななかったことよりも、今までの努力がギリギリの状況から救ってくれたこと……。受け流しを成功させたことの方が、何より嬉しかった。
「ジョーッ! 聞いてるか!」
 ナガレは意気揚々と叫んだ。ジョーは目だけで合図を送る。
「オレがコイツのヘイト集めを引き受ける! ジョーは隙を見て、必殺の一撃を決めてくれ! お前に全てを託したぜ!」
「全てを託す、か。……フッ、いいだろう!」
 ジョーは大きくバックステップして距離を取る。大きなガラガラマムシを前に、ナガレはマルチスタッフを構える。何度この対面をしただろう……だが、これで最後だ。
「さぁーっ、もう負けないぞ! かかってこい!」
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