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序章
止められぬ狂気
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暗い。
とても暗い。
周囲は漆黒の影に覆われている。
しかし、小さな松明だけがぼんやりと闇を照らしていた。
ゆらゆらと燃える、紫色の炎が……。
足元はぼうぼうの草地、周囲には背の高い無数の木々……森の中のようだ。
空を見上げても、月も星もない曇り空である。
その松明に照らされながら、一人の老人が立っていた。
真っ黒なローブを身に纏った、幽霊と見間違うほどひょろりと背が高い不気味な姿。
人形のように無表情で、なんの感情も感じられない。
「……よ。我が主人よ……」
老人は虚空を見上げて、なぜか悲しそうに呟く。その声に応えるものは、誰もいない。
「私の祖先は、我が主人が与えてくださった力に溺れ、その報いを受け死にました」
見た目相応の掠れた声だ。
「ですが、我が主人の断罪も虚しく、今度は私の弟子が暴走を始めております。私を形だけの大司祭として、使徒を手駒にしているのです」
老人は虚空を見上げる。そこにあるのは、やはり暗闇だけだ。
「彼女は我が主人の全てを、望まぬ人間にまで広めようとしております。このままでは世界は暴力によって貴方を讃える、間違った姿へ変わってしまう……ですが、私にはどうすることもできないのです」
老人は地に両膝を付き、頭を下げた。両手を合わせひたすら祈る。
「我が主人よ……どうか貴方の尊き力を、今一度お貸し下さい。このか弱き私に、立ち向かう勇気を下さい………………」
ただ祈り続ける老人。
その声に応えるものは、何もなかった。
とても暗い。
周囲は漆黒の影に覆われている。
しかし、小さな松明だけがぼんやりと闇を照らしていた。
ゆらゆらと燃える、紫色の炎が……。
足元はぼうぼうの草地、周囲には背の高い無数の木々……森の中のようだ。
空を見上げても、月も星もない曇り空である。
その松明に照らされながら、一人の老人が立っていた。
真っ黒なローブを身に纏った、幽霊と見間違うほどひょろりと背が高い不気味な姿。
人形のように無表情で、なんの感情も感じられない。
「……よ。我が主人よ……」
老人は虚空を見上げて、なぜか悲しそうに呟く。その声に応えるものは、誰もいない。
「私の祖先は、我が主人が与えてくださった力に溺れ、その報いを受け死にました」
見た目相応の掠れた声だ。
「ですが、我が主人の断罪も虚しく、今度は私の弟子が暴走を始めております。私を形だけの大司祭として、使徒を手駒にしているのです」
老人は虚空を見上げる。そこにあるのは、やはり暗闇だけだ。
「彼女は我が主人の全てを、望まぬ人間にまで広めようとしております。このままでは世界は暴力によって貴方を讃える、間違った姿へ変わってしまう……ですが、私にはどうすることもできないのです」
老人は地に両膝を付き、頭を下げた。両手を合わせひたすら祈る。
「我が主人よ……どうか貴方の尊き力を、今一度お貸し下さい。このか弱き私に、立ち向かう勇気を下さい………………」
ただ祈り続ける老人。
その声に応えるものは、何もなかった。
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