崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

文字の大きさ
254 / 1,768
第十二話 猛き冠、森林の蹄

まさかの再会

しおりを挟む

~☆~☆~☆~☆~☆~

 そうして運ばれてきたお酒で、一同乾杯!
「「「「カンパーイ!」」」」
 カチャンッ!
 グラスを合わせてから、ぐいっと一飲み。ナガレのことをみんなが心配そうに見ているが……。
「う……うげっ!」
「ホラやっぱり無茶やん! えずいてるやんけ……」
「に、苦いっ……! そのフライドポテトちょっとちょうだい……!」
「……そっちかい。ちょっとと言わずぎょうさん食べてええで」

 そんな感じで数十分過ぎたのだが……。
(……なんかみんな、全然飲んでないし食べてないぞ)
 ナガレには気になることがあった。
 ベアンたちはグラスのお酒に全然口を付けていない。フライドポテトもサラダもあんまり減っていない。
(どうしたんだろ?)
 ナガレがそんな事を気にしていると、ベアンが「おーい!」と手を挙げてベルナーさんを呼んだ。
「はいはい、なんだい?」
「おっさん、今何時だ」
「さぁ……そろそろ八時くらいじゃないか?」
「そっか。おっせぇなアイツ、そろそろ来ても良いと思うんだが……」
「誰か来るんですか?」
 そう聞くと、ベアンはナガレへ振り向いた。
「いやあのな、実はもう一人呼んでたんだけど、遅くなりそうだから現地集合にしたんだ。しかし流石に遅いよなぁ……七時半には来るって言ってたのに」
「へー、そうなんですね」
 あんまり興味無さそうに返事するナガレ。よっぽど嫌なヤツじゃなかったら、適当におだてて仲良くすればいい。
 ……はずだったのだが……。

 タッタッタッ……ガチャ!
 店のドアが開いて、カランカラーン! と良い音のベルが鳴った。
「ご、ごめんなさい! ベアン先輩いらっしゃいますか?」
(え? 誰か来たぞ)
 なんだか妙に聞き覚えがある声だ。入ってきた人物を見るなりナガレは……。

「……って、えぇーーっ⁉︎」
 目を丸くして驚いた。
「す、すいません先輩。遅くなっちゃいました……」
「やー来たか。遅かったなぁ……フローレンス」

 そこにいたのは肩下げバッグを持った、金髪糸目のまな板長身僧侶フローレンスだったからだ。
「どしたんレガーナちゃん、そない大声出して」
「い、いや! なんでもない、なんでも……」
 言葉を濁しつつ、内心は(ヤバいヤバいヤバい!)と頭を抱えるナガレ。正直いつか会うだろうなとは思っていたが、まさかこんな身近になってしまうとは!
「こっちッスよデカちゃん! 先に始めさせてもらってるッス。今日はこのレガーナちゃんの歓迎会ッスからね!」
(げぇっ! しかもデカちゃんってフローレンスの事だったのか!)
 多分身長がデカいからデカちゃんなんだろうが、全然脈拍なかった……。そんなフローレンスはナガレの気持ちなんて知らずに、汗かきながら向かいの席に座ってくる。
「そうそう、コイツがレガーナちゃん! このボーイッシュでクールな瞳、ちょー可愛いよなァ? ……ん、どうしたレガーナちゃん。顔色が悪ぃけど、今になって酒が来たか?」
「い、いや、そんなこと……」
「そ、そうか? まぁ無理すんなよ。それじゃあ自己紹介頼むわ」
 
「え、えと、ワタシ……レガーナ。レガーナ・ウェストです。よろしくお願いします……」
 その声を聞いてフローレンスは「ん……?」と首を捻った。そしてナガレへぐいっと顔を近づける。
(ひえぇぇぇ! ヤメロー! ヤメロー!)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界

小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。 あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。 過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。 ――使えないスキルしか出ないガチャ。 誰も欲しがらない。 単体では意味不明。 説明文を読んだだけで溜め息が出る。 だが、條は集める。 強くなりたいからじゃない。 ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。 逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。 これは―― 「役に立たなかった人生」を否定しない物語。 ゴミスキル万歳。 俺は今日も、何もしない。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...