崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第十四話 女王への叛逆

スライムの逆襲

「え……？」
「ナガレ君っ！　上よっ！」
「プルル～ッ！」
　ヒズマに言われて上を見上げると……なんとクイーンスライムは空中にいた！　天井が崩れている分高く跳躍し、ナガレを押し潰そうと落下してくる！
「危ない！　避けてっ！」
「うひゃあぁぁぁ⁉︎」
　ドォォォォン！
　頭から滑り込むヘッドスライディングで、　かろうじて回避した。……だが次の瞬間クイーンスライムの体がペシャンと潰れて、弾丸の如きスピードでジェルの破片が飛んでくる！
　パリーン……ビュンビュンビュンビュン！
「うげぇっ⁉︎」「くっ！」「きゃあぁぁ！」
　唐突な全体攻撃だ。防御しても防ぎきれない弾丸の雨！　鎧にガンガンぶち当たって、確実にダメージを与えてくる！
「ブ……ブユ～ッ……」
　シュウゥゥゥ……。
　ようやくクイーンスライムがへなへなと体を崩して弾幕が止んだ。衝撃ですっ転んだ一同も息を切らせて立ち上がる。
「ぐ……！」
「ち、ちょっと、や、ヤバいかも～……」
　おそらく今の技こそ、クイーンスライムの必殺技と言ったところだろう。今の一撃でナガレたちは凄まじいダメージで全員倒れている。
「な、なんて技だチキショウ！」
　体のあちこちに切り傷を作ったタネツがうめいた。サニーたちも似たような状況だ。立ち上がることがやっとの状況……。
「いったぁ……大丈夫ですかナガレさん……ってあれ？」
　伏せた姿勢のまま、フローレンスは周囲をキョロキョロ見回した。ナガレの姿が見当たらない？
　タッタッタッタッタッ……。
「え……ウソ⁉︎　ナガレさんっ⁉︎」
　
「だぁぁぁぁぁっ！」
　なんとナガレはすぐさま立ち上がり、ふにゃけてしまったクイーンスライムへ向かって行った！　細いマルチスタッフでは捌ききれなかったのか、体のあちこちから出血している。なのにふらつく足で全力疾走、クイーンスライムへ駆ける！
「そんな、無茶ですよ……！」
「無茶なんかじゃないっ！　うぐっ……や、奴は今、体が崩れてる。ジェルがまだ柔らかくほぐれてる今がチャンスなんだっ！」
　ナガレの目には、クイーンスライムの体の隙間から見えるベアンの手先が映っていた。先ほどのボディプレスで位置がズレたようだ。
　タッタッタッ……パシッ！
「ぐ……はぁはぁっ……うんぐぐぐぐぐ……ッ！」
　その手を掴んで、思い切り後ろへ引っ張る。クイーンスライムはまだぐったりして動かない、今がチャンスだ！　額からドクドク鮮血が流れているのも気にしない！
「ナガレ君っ！」
「うぐっ……体が……くそっ……！」
　タネツたちもなんとか立ちあがろうとするが、ダメージが大きくすぐに動けない。