崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍

解き放たれた封印

「ど、どうですかナガレさん？　ハイランドバットってのは話でしか聞いたことないんですけど……」
「な、なんだと？　ジェネラルディール？　それがシカのことか？」
「……ココリョナカイマン。なるほどな」
　その三体全員と戦ったのはナガレのみ。ジョー以外はまだ納得できていない様子だ。
「パルゴゴーーッ！」
　ゴォォォォッ！
「じ、じゃあこの紫の炎はなんなんだぁーっ⁉︎」
　またも炎を吐き出して来て、ダッシュで回避するナガレたち。だが……ジョーは安全地帯でじっとキメラドラゴンを見つめていた。
「……モンスターを合体させた合成獣、紫色の炎。それもサラマンダーや、ナガレから聞いた話だと変身した黒いドラゴンも。まさか、こいつの正体……いや、一連の異変モンスターの正体は」
　ジョーが何か呟いたその時、キメラドラゴンは再び飛び上がり低空飛行で突進して来た。それと同時に起こった風圧で、尚も突き刺さっていた胸の大槍の火が消えて……。

　ブシュウッ！

「……あぁーーーーっ⁉︎」
　重力に負けて、ついに胸の大槍が引き抜かれてしまった。ナガレの絶叫と共に、キメラドラゴンは驚いたように突進をやめて立ち止まる。
「ポゴグッ！」
　パックリ開いたグロテスクな傷口から、まるでポンプで吸い上げた水のようにドバドバ出てくる。だがそんなことは意に介さずキメラドラゴンは不思議そうな声を出した。
「……プココッ？」
　首をくねらせて自分の体を見る。その顔がパァッと明るくなった気がした。
「ピググ！　ピグー！　ピググゥーーッ！」
　すると勢いよく咆哮して、四肢を踏ん張り力を溜める。羽を大きく羽ばたかせ、なんと空へ舞い上がろうとする！
「……！　まずい、奴が逃げる！」
「ええっ！」
　シャワーのように紫の血を放出しながら再び舞い上がるキメラドラゴン。ジョーの言葉に、一同は焦りつつも武器を振り上げた。
「くそっ、逃してたまるか！」「そうですよっ、せっかく墜落させたのに！」
　ケンガは腕に一際巨大な、青白い氷の結晶を生成。フローレンスは鉄球に力を込め巨大化させた。二人の必殺技だ！　
　ジョーも全力で大地を駆けダガーに赤黒いオーラを纏わせる……が！

「でぇりゃあーーっ！」

　少し視線を離した隙に、いつのまにかナガレがスカルドラゴンに肉薄するほど接近していた。そして……。

「そこだぁーーっ！」
　ダンッッッ……ガシィッ！

「え！」「ちょ⁉︎」
「……な、何をしているんだナガレ！」

　なんとナガレは……スカルドラゴンの頭のすぐ近く、タテガミのようなフサフサした黒毛にしがみついた！