崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十五話 リベンジ！ スカルクリーチャー

闇を焦がす炎

「……ふん。あのジョー・アックスとは違って、お前はやるようだ。悪いが最初から本気で行かせてもらうぞ！」
　タオティエの表情から、一切の油断が消える。拳を握るのではなく自然に開き、ゆらゆらと手を揺らし……次の瞬間、再びバンドへ駆け出した。残像が見えるほどの高速移動だ！
「キエェーーッ！」
「……！」
　顔面への掌底を、体を逸らして避けるバンド。だがすぐに手を引っ込め、その間に手足をフル活用したラッシュを叩き込む！
「アチョチョチョーッ！」
　奇怪な叫び声だが、色男のタオティエだとサマになっている。手刀の突きや足払い、二段蹴りに連続ビンタなど、バンドは防戦一方だ！
「ハッハッハ！　守るだけかベンダンノロマ！　貴様の死は近いぞ！」
「……！」
　バンドは突然横へステップして回避。その直後タオティエがしゃがんで、前方へ飛び膝蹴りを放つ！
「ホアチョーーッ！」
　ギュンッ……ドガァン！
「うひゃあ⁉︎」
　なんとたった一撃で、大岩が砕け散った！　ナガレのところにまで破片が飛んできて、慌てて頭を抱えるナガレ。
「いっいだだだだだーーっ！」
　骨折したのに動かしてしまい悲鳴を上げるナガレ。だがそんなことなど、タオティエはもはや気にしていなかった。
「避けたか。直撃していれば……！」
　

「……もういいだろう」
　しかしバンドはつまらなさそうに吐き捨てた。そして剣を思い切り横に振りかぶる。ショルダータックルのように肩を前へ出し、剣を握る手に力を込める……！
「な、なに？　降参か？」
　妙なポーズに訝しむタオティエ。いくら鎧があるとはいえ、あんなポーズでは隙だらけだ。
「…………ッ！」
　ゴゴゴゴゴ……！
　だがバンドからは、凄まじい力の増幅を感じる。時が経つごとに、どんどんパワーが大きくなっていく……！　おそらくあのポーズで力を溜めているのだ。
「……フン、あいにく私はそこまで親切ではない。貴様の必殺技を待っているほどな！　これで終わりだ！」
　ダッッッ！
「ジョイムゲンあばよ、バンド！　ホァチョォーーーーッ！」
　渾身の飛び膝蹴りがバンドを襲う。だがその姿勢のまま、直立風土で避けも隠れもしなかった。
「あぁっ、バンド！」
　心配になったナガレが声を上げる。当然、答える者はいない。

　そして岩をも砕く飛び膝蹴りが、バンドに直撃した。
「あぁぁぁぁーーッ⁉︎」
「ハッハッハッハ！　死ねぇ！　バン……ドッ……⁉︎」

　タオティエの高笑いが、途中で止まる。

「……！」
　あんなキックを喰らおうと……バンドはほんの少しも怯まなかったからだ。