崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十六話 荒野に叫ぶロックスター

サイレンコンドルを探せ

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「はやく歩くにゃあ。それかもっと早口で喋れ。話すか歩くかしか出来ないのかお前はにゃあ」
 二分くらいかけて、まるで政治家の演説の如く壮大に話すベネット。その間変なポーズを取ったり全く進まない。
 あと彼の足は思いっきりニンフォの背中を踏みつけている。彼女の顔はとても不満げだ。
「私、踏まれるより踏みたいタイプなんだけど……しかもアンタ重いし」
「全くもって素晴らしいッス! まるで神話ッスよ! 圧倒的な強さ、人々を惹きつけるカリスマ、誰もが振り返るような、その美貌……ナガレ先輩、いやナガレ様! もしや貴方は、人の形をした神の使いではないッスか⁉︎」
「え、えーと……」
 褒められて悪い気はしないと思いきや、ここまで豪快に外れていると不気味に思えてくる。
 ぜひとも補足したいが、彼は決してスカルドラゴンと話して和解したのではない。あんな強大な龍がちっこい人間の言うことなんて聞いてくれるわけがない。つまり、スカルドラゴンは協力どころか、ナガレごと撃ち落とそうとしていたのだ。
「いやあ、こんな方が謙虚な姿勢を崩さないなんて。世界はまだ明るいッス。捨てたものじゃないッス」
 ……まぁ、ベネットは妄想がたくましい以外は普通に常識人。ニンフォのイカれっぷりを見た後では、十分妥協、いや頼れる存在になるだろう。

「ところでさ、サイレンコンドルってどんなヤツなの?」
「えー、ナガレパイセン知らないの? 全く勉強不足なんだからぁ」
「そう言うお前も昨日まで知らなかっただろにゃ」
 そんなことを話しながら歩き出す。ベネットも小走りでナガレに追いついた。(そしてニンフォはようやく踏みつけから解放された)
「サイレンコンドルは、危険度D級のモンスターッス。その名の通りコンドル、嘴が長い鳥ッスね」
「サイレンコンドルはめっっちゃ鳴き声がうるさいんだー! それに怒ったら口から爆音波で攻撃してくるよ。アタイとミケは耳がいいから、この日のためにちゃんと耳栓をつけてきたんだ」
「心配せずとも、アンタ方の声は聞こえるにゃ。だからどっかのデカブツと違って、人の話はちゃんと聞くにゃあ」
「まったく、どこの誰のことッスか」
「おみゃーのことだにゃあ!」
「そうよそうよ。人の話もスルーして……もしかして見えないふりしてる? それじゃあイタズラしちゃおっかな♡」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「ねぇっ、そろそろ泣くわよ! これってもはやイジメじゃん! ちょっと脳内ピンクなサキュパスだからってイジメはダメでしょ!」
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