崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十七話 粉骨砕身カルテット

アズラの特訓へ

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(……でも、よく見たら美味しそうだな)
 ナガレも食欲をそそられ、席に座る。サキミの表情もパァッと明るくなった。
「そうですよ。のんびり頂きましょう。せっかくのサービスなんですから、ありがたく……」
「そ、そう? ……そうだね!」
 まあ、ちょっとくらい遅れてもバンドは何も言わないだろう。ジョーもどうせ、こよ光景をどこかで見ているに違いない。
 それにちょっと冷静になって考えると、好きな女の子が自分を誘っているのだ。断る理由がどこにある! 
「それじゃあもいっちょ、いただきま~す!」
 スプーンで掬って、ジェラートを口の中へ。芳醇な甘酸っぱいフルーツ味が口の中で広がって、ほっぺがとろけそうな美味しさだ。
「ん~っ♡ うんま~♡」
「美味しいですね。私、ジェラート大好きなんです。コウヨウ地方にいた頃も、蒸し暑い夏によく食べてました」
「へぇ~そうなんだ。コウヨウ地方にもジェラートがあるんだなぁ」
「いえいえ。でも一部の場所ではジェラートのことを『あいすくりん』って呼ぶところもあって……」

「よかったねパパ。これでウチのお店もイメージアップに繋がったかな」
「だと良いが。だけどなディーネ。たとえお得意様にしたいお客様を見ても、絶対にわざとコーヒーをかけたりするんじゃないぞ……」
 仲良さそうに話す二人を見て、エディ店長もディーネちゃんもホッとした顔になった。だがすぐに首を傾げる。
「……しかし、レザージャケットと緑のスカーフを見事に避けたのは幸運だった。あんな風に飛んだら、普通は全身に飛び散りそうなものだが……?」
 
 そしてヴァレリーは後ろを向いて、厨房の方へグーサインを出す。
「でかした、Gさん。なかなかの腕じゃん」
「…………」(グッ)
 そこにはコーヒーカップを乗せるような小皿を持った、オギンさんが立っていた。ヴァレリーの賞賛に、こちらもサムズアップで答えた……。


~☆~☆~☆~☆~☆~


 その後もしっかりお食事デートを楽しみ、あまりの美味しさにおかわりを頼んだサキミと一旦別れたナガレ。
 その足ですぐさま家に行き鎧に着替えマルチスタッフを持ち、駆け足で高台広場へやってきた。
「行けない、もう三十分くらいしかないや……楽しかったけど、流石に長居しすぎたか」
 怒られたらどう言い訳しよう。ジョーはともかくバンドが分かってくれるかどうか……そんな一抹の不安を抱えながら、階段を上り切る。

「……ナガレか。今日はもう来ないかと思っていた」
「……」
 いつも通り二人のジョーが迎えてくれた。
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