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第三十一話 地獄への案内役
ヒーローの矜持
しおりを挟む「くっ! がんばれナガレ! すぐになんとかする……!」
咄嗟に飛び出したジョーとセンチアはなんとか逃れた。動ける自分たちがなんとかしてナガレたちを助けなければ!
「だがどうする……どうすれば良い……! ナガレ! 火炎放射で怯ませられないか!」
「や、やってみる!」
だが、ジョーにはひとまず指示を出すことしかできない。ロープでもあれば是非とも使ってやりたい……のだが、長い復讐の旅では孤独に戦っていた彼。その身一つでなんでもこなしていたが故に、便利な道具などは持っていなかった。
ボォォォォーーッ! カチッ……カチカチッ……。
「だ、ダメだぁ全然聞いてない!」
「くっダメか。……どうする、どうすれば良いんだ。考えろ! くそっ……」
これが普段のジョーならば、すぐに何かアイデアを思いつくかもしれない。だが……今の彼は、ナガレの、そして仲間たちの危機を前に焦っていた。自分がなんとかしなければと思い詰めていたのだ。
これは復讐の中で失ってしまったもの……ジョーが長きに渡り忘れていたものだった。焦るあまり冷静さを欠き、良い作戦も思いつかない。
「く……落ち着け、落ち着くんだ、ジョーアックス。ナガレたちを助けるには冷静にならなければ……」
焦る心をなんとか鎮める。だが『こうしている間にも、バリジゴクにみんなが食べられてしまうかもしれない』という意識にせき立てられ、なかなか上手くいかない……。
「……そうだ、一号! お前は鉤爪がついたロープを武器に使っていたはずだ」
だが深呼吸までして少し落ち着いた瞬間、ジョーはすぐに思い出した。一号の武器は硬い鉤爪のフックがついた、頑丈なロープ。それを使えばナガレたちを引き上げられる!
先にナガレとニンフォをあげて、四人の力を合わせてタネツとベネットをあげれば良い。
「よし! ……一号、お前の武器を……?」
意を決して振り向いたジョー。……だが、その表情が固まった。
メタルカブトンに力無く跨がる一号。彼の視線の先には……ツノの上に立つセンチアの姿があった。
「……お願い、助けて。助けてブリーダマン! あーしの……いや、私の友達がピンチなの……!」
「な、なに……?」
そう、センチアの口調には、いつものはっちゃけた言葉が一つもない。ジョーは一瞬聞き間違いかと思うほど混乱した。
「うわぁどうにもならないんッスか~⁉︎」
「嘘嘘嘘! いやよこんな最期! まだ五十人くらいしかヤッてないのに~!」
(い、いや、こんなことをしている場合ではない!)
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