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第三十三話 ジョーの傷跡
遠征の知らせ?
しおりを挟むピーピョロロロロ……と、コンドルが鳴く声がする。バッファローの町も少しずつ暑くなってきた。日差しが激しくなり、薄着の人やスカーフで肌を隠した人も現れ始める。
そんな晴天の中、ギルドにてナガレとその仲間たちがレンと話していた。
「遠征だって?」
「そうじゃナガレ君。コナキ地方に行く気はないかの?」
レンが提示したのは、一枚の書類。テーブルに置かれたそれを、エフォーツの冒険者が囲んで見ていた。
「……ふむ。コナキ地方で、次々と強力なモンスターが現れているのか」
「それで冒険者を集めてるんッスね~」
その内容は、冒険者を集めているものだった。
『急募・コナキ地方生息異変対策本部
現在コナキ地方全域において、モンスターを多数確認しています。
その中にはサラマンダーやビングダム、マッドゴーレムなど生息域の異なる個体も確認できております!
冒険者の皆様、ぜひお力添えください!
興味のある方は、お近くのギルドの従業員まで!
調査系クエストの報酬は、ギルド本部により報酬を二割増しにさせていただきます。
また、一日あたり百ダラー未満の宿泊費である場合は、ギルド本部が最大六ヶ月まで全額負担いたします。
アルファダム冒険者ギルド本部』
「すでに百を超える冒険者チームから応募が来てるらしい。エフォーツもどうよ?」
「ほう、二割か! しかも宿泊費用まで向こうが全額負担してくれるとは。なかなか気前がいいな」
「それだけ危険なモンスターなんでしょうか? お金を払わないと集まってくれないような、強い冒険者を集めるための……」
「いえ、そういう訳ではないでしょう。危険なモンスターがいるのなら、血気盛んな暴れん坊や名を上げたいルーキーを呼び寄せるためにそのことをアピールするはず。これはそうではありません」
「アタイもそーゆーの見たことあるー。去年くらいにガラガラマムシがスラガン地方に出たって時はとんでもないニュースだったよね。なんか紫色のやつ。可愛い顔のルーキー冒険者に倒されたってー……」
よく見えるように、サニーに肩車されたシャットがそう言った。近くにそれを倒した本人がいることに気づいていなさそうだ。(第三話)
「ま、どーするよ? みんなはどう思う?」
タネツがそう聞くと、みんな「うーん……」と考え込んだ。
確かに報酬二割増しは悪くない。それにコナキ地方は涼しい(というか寒い)寒帯の地方だ。バッファローの暑い夏よりずっと快適。リフレッシュになるだろう。
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