崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第三十四話 決別の時

衝撃のニュース

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 三人の手から紙が離れた。ファサッと風に靡いて地面に落ちる。それは王国の民間印刷カンパニーが発行している新聞だった。
 その一面見出しでデカデカと描かれていた……。

『イビル教団壊滅・司祭ペトロ逮捕』

「なん……だとっ……⁉︎」
「おっちゃん、こりゃ本当なのか⁉︎」
 驚いて言葉が出ないナガレ。ルックの言葉にクリストフは「もちろんだとも!」とさらに胸を張った。
「イビル教団のリーダーであるペトロ・シプトン。それがエンペリオン地方にで、王国騎士団に逮捕されたのだ。信者数人を連れて森林に潜んでいたところを発見され、そのまま手下ともどもとっ捕まえたというわけだ」
 自分が逮捕したわけじゃないのにずいぶん得意げなクリストフ。
 ……しかし、それを見ている人の顔には驚きや不信感もあれど、基本的にはみんな笑顔だった。世界を脅かす悪が消えた……一般市民にとっては安堵する案件である。
「ナガレ君……」「ナガレ……」
 しかしイビル教団をこの手で倒すことこそナガレの目標だった。これにはショックもあるのではないかと、アリッサとルックは心配そうにナガレを見るが……。

「……ほら、おっちゃん。コレ返すよ」
 ナガレは想像以上に爽やかに、クリストフへ新聞を返した。何を期待していたのか、クリストフも「……えっ?」と呆気に取られる。
「いやぁ、これでイビル教団も壊滅するかな?」
「え? お、おい待てよナガレ!」
「そうだよ。イビル教団の支配者がやられたって、ショックじゃないの?」
 そのまま返り出したナガレ。その背中をアリッサとルックが慌てて追いかける。振り向いたナガレの顔はとても晴れやか、普段通りだ。そこに無念や残念な感情など全く感じられない。
「いや、むしろショックって何? い、いやマジで怖いんだけど。これでイビル教団もオシマイかなぁ」
「でもナガレ君……あんなにイビル教団を倒そうって頑張ってたのに」
「ははは、そんなこと? ……確かに、出来ることならオレが倒したかったよ。だけど、まだ出来ることはある。違う?」
 ポジティブなナガレ。彼からの問いに、二人はまたも顔を見合わせる。
「出来ること……人助けとか?」
「いや、残党狩りじゃないか」
「おぉ、二人とも大正解だよ!」
 適当に言ったつもりが正解してしまった。嬉しそうなナガレを見て、二人はその事実を言おうとしなかった。
「へへへ、わかってくれて嬉しいぞ。そうさ、オレたちの戦いはまだ終わっちゃいない! 完全にイビル教団が無くなるまでね」
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