崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第三十四話 決別の時

ギルドの一コマ

　……と言ったところで、急にギルドのドアがバタン！　と開いた。
「たたたったた大変大変大変～ッ！　イビル教団の司祭が……ってアレ？」
　泡を食ったセンチアが、新聞片手に突っ込んできた。しかしみんなして冷静に新聞を見る様子を確認してキョトンとするセンチア。
「おお、今知ったのか。ちょうど俺たちもついさっき見たところさ」
「そ、そーなの？　なんだぁ、あーしだけ馬鹿騒ぎして恥ずかしマンボだしぃ」
「いやいや、俺たちもおんなじくらいおったまげたもんさ」
　恥ずかしそうに顔をパタパタ仰ぐセンチア。アルクルは気を利かせて耳に良い言葉を並べている。

「……んまぁ、これで一安心ですね。あとは騎士の皆様がなんとかしてくれるでしょう」
　フローレンスはセンチアにニコリと笑いかけた。安心した感情を共有しようとしている。
「んぇ、どーゆーことだし？」
「ウソかもしれないってサニーさんたちは言ってましたが、じゃあ王国政府が嘘ついたんですか？　国の皆さんを安心させるために？」
「む……確かにそうだな」
　フローレンスの言葉に、タネツはハッとした。ギルド内の注目が彼女に集まる。
「そんなことがバレたら、王国の信用は地に落ちます。それに、元凶が捕まってもないのに『逮捕しました！　みなさんもう安心です』なんて言う方が被害も増えるでしょ。警戒心が下がった国民を誘拐し放題ですよ」
「ふーん、一理あるにゃあ」
　なかなか的を得た説明だ。流石に王国政府はそんなことをしないだろう。あのショタジジイエルフ王様のカイリス王が、そんなフニャけた行動を許すはずもない。
　開いた窓からは、生暖かい風が入ってくる。青空と白い雲、それに対抗する褐色の大地は絵にできそうな風景だ。シャットはボーッとしながらそれを見ている。すると……。
「大変大変大変ーーッス～～～～ッ！」
　ガバァッ！
「ドボゲベバァッ⁉︎」
　突然窓の向こうから、ベネットがひょっこりデカい顔を出した！　驚いて頭からひっくり返るシャット。なんと彼はそのまま窓枠に体を捩じ込んで突入してきた。
「ど、どえりゃー騒ぎになったッス！　イビル教団の司祭が……ってあれ。なんだ、みなさん知ってたッスか？」
「ベネットは飲み込みが早いにゃ。んま、そう言うことにゃあ。かくかくしかじかで……」
　ミケが現状を解説する。ベネットは歪んだ窓枠を直しながら「なんだ、そうッスか」と肩をすくめた。
「大ニュースかと思ったッス。それで先輩方は何を話してたんッスか？」
「ああ、それはにゃあ……」