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王子さま、ともだちを助ける
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王子さまとアルヴィスと彼のお父さんは、ヴァニオンの体を抱えてふたたび穴ウサギのワナから地下道へ戻りました。穴はおとなの魔族の身長ぐらいあるのですから、気を失っているヴァニオンを下まで運ぶのは大変な苦労でした。彼らはまた広大な地下通路を通り、アルヴィスの家の一番大きな部屋にヴァニオンを寝かせました。メリンおばさんに頼んでたくさん湯を運び、体を洗って薬を塗ってやると、ヴァニオンの呼吸は少し落ち着き、深い眠りの中に入っていきました。王子さまも心の底からほっとして、ヴァニオンにつきそいながら少しウトウトと眠りました。
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「お前の短剣、すごいのな。食人樹の蔦があんなに綺麗にすっぱり斬れるところなんて、はじめてみた」
起きていくと、アルヴィスが王子さまの短剣を指していいました。
「でも、変だなあ。じいちゃんの作った短剣は、切れ味はいいけど、ごく普通の短剣のはずだ。とても食人樹の蔦を切れるようなシロモノじゃない。それに本当にじいちゃんの作った短剣なら、どうしてナシェルが持っているんだろう?」
アルヴィスのお父さんは、ずんぐりした体を椅子に沈め、パイプを吸って一服していました。彼は王子さまにも向かいの椅子を勧めてこういいました。
「その話だが、実は、おれは、あんたのお母さんに会ったことがあるかもしれない…」
「母さまに?」
王子さまは驚いてしまいました。どういうことなのでしょう?
アルヴィスのお父さん・鍛冶屋のベンツァーは語り始めました。
「おれがまだアルヴィスぐらいの年だったころの話だ。今よりももう少し、炎獄界寄りの地下坑道にすんでいた頃のな。
もう死んじまったが、うちのおやじも刀鍛冶をやっていた。炎獄界あたりはよく黒曜石や鉄鉱石がとれたんで、あのあたりを縄張りにしていて、よく鉱石掘りに俺もかり出されたさ。大火山のふもとは地熱が凄くてあまりにも暑いんで、今はこっちに越しちまったが。
まだ、魔族の都なんかなかったころのことさ。あるとき、ひとりの女が道に迷って、おれんちの地下坑道に迷い込んできたことがあった。驚いたよ。見た目が魔族とはまるきり違うんだ。髪は黄金色で、眼は、ちょうどあんたと同じ群青石を溶かしたような色をしていた。地上に行けば見られるという夜明けの空ってのは、こんな色をしているのかと思ったさ」
ベンツァーは王子さまの瞳を指さしました。
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「お前の短剣、すごいのな。食人樹の蔦があんなに綺麗にすっぱり斬れるところなんて、はじめてみた」
起きていくと、アルヴィスが王子さまの短剣を指していいました。
「でも、変だなあ。じいちゃんの作った短剣は、切れ味はいいけど、ごく普通の短剣のはずだ。とても食人樹の蔦を切れるようなシロモノじゃない。それに本当にじいちゃんの作った短剣なら、どうしてナシェルが持っているんだろう?」
アルヴィスのお父さんは、ずんぐりした体を椅子に沈め、パイプを吸って一服していました。彼は王子さまにも向かいの椅子を勧めてこういいました。
「その話だが、実は、おれは、あんたのお母さんに会ったことがあるかもしれない…」
「母さまに?」
王子さまは驚いてしまいました。どういうことなのでしょう?
アルヴィスのお父さん・鍛冶屋のベンツァーは語り始めました。
「おれがまだアルヴィスぐらいの年だったころの話だ。今よりももう少し、炎獄界寄りの地下坑道にすんでいた頃のな。
もう死んじまったが、うちのおやじも刀鍛冶をやっていた。炎獄界あたりはよく黒曜石や鉄鉱石がとれたんで、あのあたりを縄張りにしていて、よく鉱石掘りに俺もかり出されたさ。大火山のふもとは地熱が凄くてあまりにも暑いんで、今はこっちに越しちまったが。
まだ、魔族の都なんかなかったころのことさ。あるとき、ひとりの女が道に迷って、おれんちの地下坑道に迷い込んできたことがあった。驚いたよ。見た目が魔族とはまるきり違うんだ。髪は黄金色で、眼は、ちょうどあんたと同じ群青石を溶かしたような色をしていた。地上に行けば見られるという夜明けの空ってのは、こんな色をしているのかと思ったさ」
ベンツァーは王子さまの瞳を指さしました。
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