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序章2
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美月と樹が教室に入ると、クスクスと笑い声が聞こえてきた。小学校からのいじめの主犯格である。滝本ありさとその取り巻きのない声である。美月の机にはぶす、バカ、ちびなど暴言が書かれていた。教科書にも落書きがしてあった。まるで、小学生がやるいじめである。
なぜ、このようなくだらないいじめを止めることができなかったのか。
樹が情けなくなるぐらいだった。
(やることが幼稚だな。二年前と何も変わっていない)
掃除道具を手に取ると机の落書きを消していく。取り巻きたちはその様子をオロオロと見ていた。ありさの父親は市会議員だ。彼女に楯突いたら、自分たちがいじめられると思っているのだろう。
「笹木君?」
ありさが声をかけてきた。まさか、今まで傍観者だった樹が行動を起こすとは予想外だったらしい。
「滝本さん、何か用?」
思っていたよりも、冷たい声が出た。
「何をしているの?」
「「何をしているの?」 君は見て分からないほど、目が腐っているのかな?」
樹の辛辣な言葉にありさの顔が真っ赤になる。
「あなただって、見ていただけなのに急に何なのよ!」
彼女がヒステリックに叫ぶ。
「好きな人を守って何が悪い? それと、僕と美月は付き合うことになったから」
樹は宣戦布告のつもりでありさに言い放った。彼女と対立することを選んだのである。ざわざわとクラス内が騒がしくなった。
好奇心の目がありさに向けられる。
「私に楯突いたらどうなるのか分かっているの?」
「可哀そうに」
樹がぽつりと呟く。
「え?」
彼女は聞き取れなかったらしい。
「可哀そうにと言ったのに聞こえなかった?」
「どうして、私が可哀そうなのよ!」
「権力にしかすがるものがなくて可哀そうと言ったけれど何か問題でもあるのか?」
「樹」
美月が樹の制服を引っ張ってきた。
「美月?」
「私たちはあなたたちの権力なんかに負けないから」
ありさは鼻で笑うと取り巻きたちと教室を出て行った。
なぜ、このようなくだらないいじめを止めることができなかったのか。
樹が情けなくなるぐらいだった。
(やることが幼稚だな。二年前と何も変わっていない)
掃除道具を手に取ると机の落書きを消していく。取り巻きたちはその様子をオロオロと見ていた。ありさの父親は市会議員だ。彼女に楯突いたら、自分たちがいじめられると思っているのだろう。
「笹木君?」
ありさが声をかけてきた。まさか、今まで傍観者だった樹が行動を起こすとは予想外だったらしい。
「滝本さん、何か用?」
思っていたよりも、冷たい声が出た。
「何をしているの?」
「「何をしているの?」 君は見て分からないほど、目が腐っているのかな?」
樹の辛辣な言葉にありさの顔が真っ赤になる。
「あなただって、見ていただけなのに急に何なのよ!」
彼女がヒステリックに叫ぶ。
「好きな人を守って何が悪い? それと、僕と美月は付き合うことになったから」
樹は宣戦布告のつもりでありさに言い放った。彼女と対立することを選んだのである。ざわざわとクラス内が騒がしくなった。
好奇心の目がありさに向けられる。
「私に楯突いたらどうなるのか分かっているの?」
「可哀そうに」
樹がぽつりと呟く。
「え?」
彼女は聞き取れなかったらしい。
「可哀そうにと言ったのに聞こえなかった?」
「どうして、私が可哀そうなのよ!」
「権力にしかすがるものがなくて可哀そうと言ったけれど何か問題でもあるのか?」
「樹」
美月が樹の制服を引っ張ってきた。
「美月?」
「私たちはあなたたちの権力なんかに負けないから」
ありさは鼻で笑うと取り巻きたちと教室を出て行った。
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