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第四章
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こぽこぽとした水音が響く。何体もの人間がそこで眠っている。ここは、あおい製薬会社の実験室でもあり佐伯真一の職場でもあった。
真一の目的は強化人間を作ることである。そして、戦争を起こして、今の日本を滅ぼし新しい国を作ることだった。その後は、自分たちでルールを作り、支配するまでが彼の企みでもある。
現在、人体実験に利用しているのは、ありさにいじめられて精神を病んだ生徒や滝本家が経営している福祉施設の子供たちだった。あとは、家出をして深夜に徘徊している中・高校生たちにも声をかけている。深夜にさ迷っている子供たちは家庭に問題がある場合が多い。
カウンセリングと生じて呼び出して何回も会い、自分たちに従うようにマインドコントロールをしてきた。真一が連れて来た子供たちは、数でいえば数百人である。数えきれていないだけで、もっといるかもしれない。
彼・彼女らの腕には№がつけられており、その中で無作為に実験に選ばれている。この№管理は逃走を防ぐためでもあった。
この実験のことを勘のいい聡に気が付かれて、滝本家の権力で佐和を使い殺害して握りつぶした。政府からの権力を恐れて、警察は事故と認定。
幕引きを図ったのである。
真一は席につくと、パソコンのメールをチェックした。雄一からのメールは彼あてではなく佐和へのメールである。中学生らしき男女の写真が添付されていた。
「笹木樹? あの新聞記者の息子か?」
(目障りだ。殺すとしても滝本の娘が騒ぐだろうし、甚大実験ぐらいには使えるだろう)
聡の死を子供が暴こうとしている。真一にとって邪魔者でしかなかった。早くからチェックリストに入っているということは、すでに雄一に目をつけられているだろう。
弱者は強者に勝てない。
弱者などいらない。
弱者は死に強者だけが生き残っていく世界。
それは、裏社会で必要な力。
この樹という少年、戦う相手を間違えた。
誰にも知らずに闇に葬られることだろう。
自分たちと戦うということはこういうことだ。
「佐和」
「何?」
真一は滝本佐和を呼びつけた。しっかりと反応していることから、人殺しを抑える薬が効いているのだろう。佐和に殺されたらたまらない。
真一が急ピッチで作った薬だった。
「女を殺して男を連れてこい」
「ふふ。私たちの生贄になって可哀そうな子羊ちゃんたち」
「佐和。男を殺すことができたら、いずれ滝本に会わせてやる」
「相変わらず、口が上手ね」
「この世界は口が上手でないとやっていけない」
「笹木という子供もバカね。父親の死を調べなければ、私たちに関わらずにすんだのに」
「親子揃って私たちの手にかかるとはついてないな」
「そういう運命だったのよ」
「なら、私たちの関係も運命と言ってもいいのか?」
「勘違いしないでよ。私が愛しているのは雄一さんだけよ」
「今は誰が主人なのかを教えてやるよ」
真一は佐和の唇をふさぐ。真一は佐和の舌に自分の舌を絡ませた。濡れた音が部屋に響く。佐和は今まで抱いた女性の中で一番気持ちがよかった。真一を思い嫌がる彼女を抱いた時の体は最高だった。
彼は気分次第で媚薬を使う。今日は使う日ではないのだろう。真一は佐和の服を脱がしていく。彼女の体は子供一人生んでいるとは思えないほど綺麗で美しかった。
真一は佐和の肌に花を咲かせていく。彼女の白い肌にはよくはえていた。
*
佐和にとって愛がないセックスは気持ちが悪いものしかなかった。
(早く――終わって)
佐和はそう思いながら真一を満足させるために、感じるふりをして喘いで腰を揺らす。足を開いて彼を受け入れて喜ぶふりをする。
その演技は女優そのものだ。
完璧すぎて真一ですら気が付いていない。もちろん、避妊をしていてピルを飲ませている。子供などほしくなかった。愛人関係とはいえ二人の間に愛情はない。決して、二人に間に愛情はない。真一や雄一にとって、佐和は操り人形でしかなかった。
何本もの細い糸で操られているだけ。
ならば、今は操られたままでいよう。
踊らされたままでいよう。
(そうすれば、逃げ出すチャンスがあるはず)
それまで、大人しくしておいた方がいい。
舌だっていた方がいいだろう。
真一に髪を引っ張られて四つん這いにされた。その反動で佐和の中は彼のものを締め付ける。
佐和は軽く達してしまう。
いつも、冷静な真一が軽く達してしまった彼女に興奮したのか、さきほどの緩やかな腰の使い方とは違い乱暴なものだった。シーツを握りしめて耐えしのぐ。必死に耐える姿を見たいためだけに、わざと媚薬を使わなかったらしい。
必死に乱暴なセックスに耐える佐和の姿は真一にとって妖艶に見えた。彼女の気持ちは裏腹に、体は絶頂へとのぼりつめていく。毎日、繰り返し抱かれて、調教された体は熱を帯びていく。
「やぁ――いやぁっ」
弱い場所を容赦なく揺さぶられて、佐和は体を震わせ、ついに、絶頂をむかえる。同時に彼が達したことが分かった。終わるのを佐和はその場に崩れ落ちた。
今みたいに体をいたぶられても、佐和が愛しているのはただ一人。
雄一のみ。
本当に抱けたいと思うのは彼だけ。
動けない彼女を無視して真一は服を着て部屋を出て行く。
(あの男、いつか、殺してやる)
佐和は心の中で誓った。
真一の目的は強化人間を作ることである。そして、戦争を起こして、今の日本を滅ぼし新しい国を作ることだった。その後は、自分たちでルールを作り、支配するまでが彼の企みでもある。
現在、人体実験に利用しているのは、ありさにいじめられて精神を病んだ生徒や滝本家が経営している福祉施設の子供たちだった。あとは、家出をして深夜に徘徊している中・高校生たちにも声をかけている。深夜にさ迷っている子供たちは家庭に問題がある場合が多い。
カウンセリングと生じて呼び出して何回も会い、自分たちに従うようにマインドコントロールをしてきた。真一が連れて来た子供たちは、数でいえば数百人である。数えきれていないだけで、もっといるかもしれない。
彼・彼女らの腕には№がつけられており、その中で無作為に実験に選ばれている。この№管理は逃走を防ぐためでもあった。
この実験のことを勘のいい聡に気が付かれて、滝本家の権力で佐和を使い殺害して握りつぶした。政府からの権力を恐れて、警察は事故と認定。
幕引きを図ったのである。
真一は席につくと、パソコンのメールをチェックした。雄一からのメールは彼あてではなく佐和へのメールである。中学生らしき男女の写真が添付されていた。
「笹木樹? あの新聞記者の息子か?」
(目障りだ。殺すとしても滝本の娘が騒ぐだろうし、甚大実験ぐらいには使えるだろう)
聡の死を子供が暴こうとしている。真一にとって邪魔者でしかなかった。早くからチェックリストに入っているということは、すでに雄一に目をつけられているだろう。
弱者は強者に勝てない。
弱者などいらない。
弱者は死に強者だけが生き残っていく世界。
それは、裏社会で必要な力。
この樹という少年、戦う相手を間違えた。
誰にも知らずに闇に葬られることだろう。
自分たちと戦うということはこういうことだ。
「佐和」
「何?」
真一は滝本佐和を呼びつけた。しっかりと反応していることから、人殺しを抑える薬が効いているのだろう。佐和に殺されたらたまらない。
真一が急ピッチで作った薬だった。
「女を殺して男を連れてこい」
「ふふ。私たちの生贄になって可哀そうな子羊ちゃんたち」
「佐和。男を殺すことができたら、いずれ滝本に会わせてやる」
「相変わらず、口が上手ね」
「この世界は口が上手でないとやっていけない」
「笹木という子供もバカね。父親の死を調べなければ、私たちに関わらずにすんだのに」
「親子揃って私たちの手にかかるとはついてないな」
「そういう運命だったのよ」
「なら、私たちの関係も運命と言ってもいいのか?」
「勘違いしないでよ。私が愛しているのは雄一さんだけよ」
「今は誰が主人なのかを教えてやるよ」
真一は佐和の唇をふさぐ。真一は佐和の舌に自分の舌を絡ませた。濡れた音が部屋に響く。佐和は今まで抱いた女性の中で一番気持ちがよかった。真一を思い嫌がる彼女を抱いた時の体は最高だった。
彼は気分次第で媚薬を使う。今日は使う日ではないのだろう。真一は佐和の服を脱がしていく。彼女の体は子供一人生んでいるとは思えないほど綺麗で美しかった。
真一は佐和の肌に花を咲かせていく。彼女の白い肌にはよくはえていた。
*
佐和にとって愛がないセックスは気持ちが悪いものしかなかった。
(早く――終わって)
佐和はそう思いながら真一を満足させるために、感じるふりをして喘いで腰を揺らす。足を開いて彼を受け入れて喜ぶふりをする。
その演技は女優そのものだ。
完璧すぎて真一ですら気が付いていない。もちろん、避妊をしていてピルを飲ませている。子供などほしくなかった。愛人関係とはいえ二人の間に愛情はない。決して、二人に間に愛情はない。真一や雄一にとって、佐和は操り人形でしかなかった。
何本もの細い糸で操られているだけ。
ならば、今は操られたままでいよう。
踊らされたままでいよう。
(そうすれば、逃げ出すチャンスがあるはず)
それまで、大人しくしておいた方がいい。
舌だっていた方がいいだろう。
真一に髪を引っ張られて四つん這いにされた。その反動で佐和の中は彼のものを締め付ける。
佐和は軽く達してしまう。
いつも、冷静な真一が軽く達してしまった彼女に興奮したのか、さきほどの緩やかな腰の使い方とは違い乱暴なものだった。シーツを握りしめて耐えしのぐ。必死に耐える姿を見たいためだけに、わざと媚薬を使わなかったらしい。
必死に乱暴なセックスに耐える佐和の姿は真一にとって妖艶に見えた。彼女の気持ちは裏腹に、体は絶頂へとのぼりつめていく。毎日、繰り返し抱かれて、調教された体は熱を帯びていく。
「やぁ――いやぁっ」
弱い場所を容赦なく揺さぶられて、佐和は体を震わせ、ついに、絶頂をむかえる。同時に彼が達したことが分かった。終わるのを佐和はその場に崩れ落ちた。
今みたいに体をいたぶられても、佐和が愛しているのはただ一人。
雄一のみ。
本当に抱けたいと思うのは彼だけ。
動けない彼女を無視して真一は服を着て部屋を出て行く。
(あの男、いつか、殺してやる)
佐和は心の中で誓った。
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