上 下
32 / 46
3章:襲撃編

聖女レイナの予知 後編

しおりを挟む
魔大陸の協力を求める発言をした海洋国家の国王。
そんな言葉に冷や汗ものの王国の王は、言葉を詰まらせていた。

「残念ながら、かの国は、魔道国家の留学時のみの滞在でそれ以外の国交は開かれておりません」と返答したのはフローシア王だった。
「しかし、魔界の魔族といったら人類の敵。 皆が協力せねば。」という海洋国家の国王に、そうだと言わんばかりの者達だ。
「そういう決まりなんじゃ。協力は得る事はできないのじゃ。」と王国の王だ。

「はぁ、では、聖女様の予知夢があたった場合の魔界の魔族の戦力はいかほどか?」と質問を変えた海洋国家の国王だ。 他の者も同意見のようだ。 なんせ、戦力がわからなければ対策ができないからだ。

「わが国の宰相が説明するのじゃ」と王国の国王だ。
「はい。 ギルドの0番隊が存在した時代までさかのぼります。 
 その際、0番隊隊員3名、ギルド隊員300名と国軍10万人で魔物30万と魔王を含む魔族4名との闘いの記録がございます。 
その際、0番隊隊長の白銀の黒帝様と相棒様の参加はありませんでしたが、その前までに相当ギルド隊員達は鍛えられたという記録があります。 
0番隊隊員メンバーと当時3番隊隊長であった後に英雄となっておられますグラン・グローリア様達で互角だったとなっています。」と説明する宰相である。
「強さとして参考になるかわかりませんが、ギルドランクSSSS以上、最上級演唱破棄を30発以上、半日以上戦い続けても息が上がらないレベルです」と補足するギルドマスターのフリークス家だ。

それを聞いて息をのむ周りの者達。
「そんな人間いるわけないでしょ」とばかりに突っ込む海洋国家の国王だ。 それを聞いて、周りも頷いている。

なんせ、今回の魔物の襲撃といっても数千単位が連続した程度だ。 しかも、場所も特定されていたため、十分な戦力を準備して交戦してきたからだ。 数十万単位など夢物語か、おとぎ話でしかない。 そもそも0番隊でさえ今やおとぎ話での話だ。

そんな、架空の話を挙げられても信じない者のが多い中、口火を切ったのはフローシア王であった。
「いえ、本当です。 その前にあった同日で30万の魔物の襲撃と100万の魔物襲撃の際は、0番隊隊長含む5名で討伐をしており、記録上30万を5名で1時間、100万は数時間で半分が隊長であった白銀の黒帝様が討伐したと。 

彼らの強さをたたえ、今でもギルドでは0番隊は永久欠番となり、最強の称号のランクXにいたっては、白銀の黒帝様が最後となっております。 ですよね王国の国王」
「尋常じゃないくらいの強さだと聞く」と返事する国王だ。

「どんな広域殲滅魔法を連発したんですか!」って驚きながら聞く勇者レツ。
「接近戦が好きだったという事で、ほとんど魔法は使っていなかったという記録があります。」と苦笑いのフローシア王だった。

「もし、本当にそんな戦力であれば我々はどうしたら」と意気消沈する者達が多数続出である。
「僕は、勇者として人類を守るため、魔界の魔族と戦います!」と宣言したのは勇者レツだった。

そんな彼の意気込みに押されてか、皆勇者の力を信じだすのであった。
「そうだ。 戦力強化のため、わが学園にいる魔術を使える留学生は、もし襲撃が起きた場合の協力を既にあおっておる。 アデル先生のもと、みな備えておる。 勇者レツに続く予定だ」といったのは学園長のアドルフだ。

「「では、みな戦力強化し、来るべき日に備えよう。 勇者レツに続こう!!」」と盛り上がるのであった。

一方、そんな様子を見守る王国の国王と魔道国家の国王フローシア王、そしてギルドマスターのフリークス家もなんとも言えない状況になってしまっている。

席の近い3人。
「はぁ、この状況じゃ。 警備強化に、騎士団、魔法騎士団に竜騎士団の強化じゃ。 備えるだけ備えておくでよいじゃろうかフローシア王よ」
「ええ、あまり考えにくいのですが。 ただ1つだけ、万が一あの方、もしくはあの方の縁者が現れた場合は、撤退という約束を」
「ああ、わかっておる」
「「「古の盟約のため」」」と、盛り上がる周りを放置して一致団結している3人であった。

そんな事は、露程も気づかない勇者レツは、来る日にむけて戦力強化に尽力するのであった。
しおりを挟む

処理中です...