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3章:学園都市編

竜騎士のお披露目式典へ

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竜騎士科生徒のお披露目の式典会場。

学園都市から離れた平原には特設会場が設けられ、新たな竜騎士学生のお披露目の日だ。
お披露目には王、竜騎士団長及び各師団長そして騎士団長が参列、貴族達もいる。そして護衛と警備のため、竜は連れてきていないものの竜騎士及び上流騎士も参加している。
2年、3年の生徒も見学できていた。 

イズミは、1人暗い。 他ライナスを慕っているものも暗い。 既にライナスが姿を消して2ヶ月である。その間、学園では逃げたなど様々な噂が飛び交っていた。

1人残されたイズミは、何も出来ない不甲斐なさと、ライナスの居所を探そうと試みるが方法もわからないし、見つからないままだった。 もしかしての可能性を込めて今日この場にきていた。 そんなイズミの気持ちとは裏腹に式典は進みもう終盤だ。 飛竜系が隊列を組んで飛来し着地する。 周りは大喝采だ。

 国王の演説のため、竜を移動させ中央が空いた。

その時ドーンと音がし、黒の外装でフードを被ったタバコをふかした男が現れた。
「間に合ったみてぇーだな。」すると地面に光の輪をだす。 大声で、上空に向こうて「ここだ。 失敗すんなよ!」

その合図とともに、体長20mもの巨大な竜が突っ込んできて着地する。 
が、勢いがありすぎて、このままでは、国王のほうに突っ込むところで、何かの壁にあたる音がしてとまる。 あたり砂埃だ。
 
「ったくよー 勢いありすぎだ。 張り切りすぎだぞ、ライ」とい言葉で騎乗していたのがライナスであると気づくのだった。 イズミはあまりの驚きにライへ向かって抱きついた。

そんなのお構いなしのシュンは、「学園長、連れてきたぞ。 んじゃ、俺 帰るわ」とさっさと転移した。

いきなりのライナスの登場。 
連れてきたのは過去みたこともない白と黒の翼に、身体は白と黒のマーブルで目はオッドアイ。 そして巨体だ。
 
騒然とした中、学園長アンガスは、本当に見つけてくるとは流石です。 後処理は私の役目ですね。 と気分を変え、騒然としている会場にむけて「ごほん、えー少しのイレギュラーがございましたが、本年度の竜騎士生徒10名と契約竜達です。  マクレーン君、竜をつれて下りなさい。」といわれ、我に返ったイズミはライナスから離れ去る。 ライナスもドランを下げて定位置に。


それから、つつがなく式典は終わる。

式典後、ライナスの所には竜騎士団長が来てしつこくドランをどこから連れてきたかと聞かれたがさすがに竜界とはいえず竜の里で人ははいれない所に偶然辿りついたとした。
ドランの属性に多くの者が驚いたのは言うまでもない。
そのあと学園の既存の竜舎にはいれないドランをどうするかという事になったが、小さくなったドランを見てこれまた大騒ぎとなったのはいうまでもない。 ドランの特種脳力とし、小型と元の姿のどちらかという事にした。 それ以降、小型時はライナスの頭の上がドランの定位置になるのだった。

◇◇◇
一方、式典後 王と学園長は密談していた。
「アンガス、例の黒の服を着たものが あの方の縁者か? 若いな。」
「ええ、黒帝様の縁者です。 黒帝様は素顔を隠していたり、変装していたという記録がありますので、彼もまた素顔ではないのでしょう。 私にも目的はわかりません。 ただ、王よ、わかっておりますよな。」

「ああ、王家伝承だ。 黒帝は、この世界の傍観者であり調停者だ。 人間の味方になることも、敵になることも。 万が一黒帝の怒り買う時は、己の罪を認め裁かれよ。 不干渉、命令することなかれ。 それは、縁者も同じ  して、縁者もやはり伝承通りか?」
「おや、ギルバートに聞いたのでは? 自由、我関せず、破天荒ですかね。 基本人間に興味がないのでしょう。 面倒くさがりですね。 ですが、自分を害するものには容赦ないでしょう。 触らなければ、表むき至って優秀な生徒です。」とニッコリ笑うアンガスだ。

「はは、掴みどころがないようだの。 我もなにもせん。 眠れる獅子を起こしたくないしのう。 ただ、機会があれば、会いたいがな。」
「それが1番よろしいかと。 まぁ、非公式で大々的でなければ会えるかもしれませんね。」と苦笑するアンガスだ。

この国王もまたシュンとリンには、干渉するつもりはないようだ。
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