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2章:臨海国家

ボブの食堂 臨海支店

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臨海国家の中心街から裏通りに入った比較的安全な地区にたたずむレトロな食堂で、看板には『ボブの食堂』となっている。 
まだ、開店前なのか昼だというのに、店には客の姿がない。 
通りを通る人達も特に店を気にする事なく、通りすぎていく。

食堂の中では、昼食をたべ終わった俺シュン、リン、シリルの姿がある。
「ったくよ、水晶様様だったな。 毎回思うが、商会いくと年齢確認だよな俺ら」って俺がタバコに火をつけて一服しながら愚痴る。
「シリルが一番笑えたがな」ってリン。
「そうだぞ。 水晶が壊れてるかもで、5回もやったぞ」と不貞腐れながらエールを飲むシリルだ。

俺たちの見た目年齢だけは、なんともごまかせきれない。 
そんな俺は、シリルが何度も年齢確認している姿を思いだすと、まじ笑える。
「はは、あれだな、シリルを18歳設定にすんのも楽じゃねーな」
「全部あいつのせいだぞ。 もう少し成長してからでよかったぞー」って文句いっているシリル。

あれ、シリルのやつ気づいてなかったのか。 俺とリンはそんなシリルをみて爆笑だ。
「「やっぱ抜けてんなー」」って俺とリン。
「お前、羽だけ成長しただろ、その時点でお前の成長がおわったからやつが不老にしたんだよ」って言ってやった。
事実を知ったシリルの顔は驚愕してる。 ややショックもあるのか
「あ! ってことは俺、成長とまってたのかだぞ!」
「シリル、そういう事だ」って笑いながら突っ込んでいるリン。

まさか身長は伸びないとはな。。 あいつも初のケースだって言ってたし、まぁ、シリルには可哀そうだがしかたなしだな。 いまだにショックなのか、やけ酒でエールをがぶ飲みしてるシリル。


俺がタバコをふかしながら話題を変える事にした。
「まぁ、これからの話だが、一応拠点はできたな」
「あいかわらず、作りはどこも同じだぞ」って突っ込むシリル。
「愛着があんだよ。」と俺がニヤリと笑っていつもの返事だ。 

「今回は例の塔に上るってのが目的だろ、リンはカフェやるか?」
「ここは貴族も多い。 それに治安も悪い。 カフェは当面様子見てからにする。」
「だよなー。 んじゃ、火曜~木に塔に上って、金の夜と土日の昼と夜にすんか」
「ああ、それでいい。」ってリン
「いいぞ。 どうせ、夜中はダンジョンの間引きもあるぞ。」というのだった。

人間がダンジョンに行かないせいで間引き対応がある。 シリルも当然だが、俺たちも人間社会にいるときは請け負う事にしている。 ちょっとした軽い運動にいいからな。
「だな。 とりあえず、塔は最上階いてもクリアしないでしておこうぜ。 
 どうせ、女神がなんか企んでる気がすんよなー」というと、嫌そうにうなずくリンとシリルであった。

「食堂は来週開業で、明日は、様子見で塔にいってみんか」
「うん、了解だぞ」
「われもだ」

俺たちは、とりあえず精霊の塔を見に行く事にした。
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